かる・かる・かるちゃあ

独自の視点からカルチャーを発信! またの名は、文・文次郎

かる・かる・かるちゃあ

独自の視点からカルチャーを発信! またの名は、文・文次郎

マガジン

  • 90年代邦画実況シリーズ

    90年代邦画実況がマガジンになりました。 全部で15本の邦画実況が入っています。

記事一覧

固定された記事

かる・かる・かるちゃあからのお知らせ

どどーんっ! なんと、あの、note大賞落選作品『別冊かる・かる・かるちゃあ』が、9か月の月日を経て、帰って来た!!  編集期間2か月以上 加筆、訂正、再編集された、…

かる・かる・かるちゃあが選ぶ2023年ベストアルバム

今年で二回目となる、かる・かる・かるちゃあが選ぶ年間ベストアルバム。今年のラインナップは、こいつらだ! Ed Sheeran 『ー 』 Jayda 『G- Guy』 Saucy Dog 『バットリ…

なぜ人はわかりあえないのか。ロードムービーの中で、人々のすれ違いを描いてきた、ケリー・ライカートを振り返る。

フランス代表のサッカー選手、キリアン・エムバペ(通称エムバペ)は、数年前まで、ムバッペという呼称が付けられていた。しかし、いつからか、その呼び名は変更され、エム…

ポジション取りのクズたちによる、ポジション取りのゲーム『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』

前回の『ラバー』に引き続き、もう1つだけ、カンタン・デュピュー の作品を紹介したい。殺人タイヤに負けず劣らず、強烈なインパクトのある鹿皮製品が登場する映画、『ディ…

ポストトゥルース以前につくられた先見的なコメディ『ラバー』

タイヤのロバートは、ある朝、突然目を覚まし、埋もれた砂から体を起こすと、転がる練習を始める。おぼつかない足取りでふらふらと転がりはじめるが、数メートル進むとバラ…

ドンタコスがリニューアルされた理由を考察する。

ドンタコスは、「カラムーチョ」や「のり塩」と並び湖池屋を代表するスナックだ。「ドンタコスったらドンタコス…」「ドンタコスったらドンタコス…」という印象的なフレー…

モーニング娘。の『モーニングコーヒー』がいい!それと『ザ☆ピ〜ス!』に脱帽

『モーニングコーヒー』は1998年に発売された、モーニング娘。のメジャーデビューシングルだ。モーニング娘。といえば、『LOVEマシーン』や、『恋愛レボリューション21』、…

アメリカの競争社会では、スマートドラッグなるものが必須になっているらしい。

「覚醒剤やめますか?それとも人間やめますか?」「ダメ、ゼッタイ」この有名な二つの標語は、薬物乱用防止を呼びかける目的で80年代から90年代にかけて民放連や厚労省が制…

血筋に翻弄される人々を描いた、サスペンスドラマ『柘榴館』

あらかじめ、子は親を選ぶことはできない。それは、親も同じだ。自分の家系が代々どうであるかを前もって知る事は不可能で、実際にその家庭で育ってみなければわからない。…

理屈で説明できない事は、決しておかしな事じゃない。『プープーの物語』

「電波系」という言葉が使われ始めたのは、村崎百郎をはじめとする、鬼畜カルチャーが流行っていた90年代のことだ。普段、我々が思考する際の枠組みである(原因と結果から…

帰りたくても帰れない『渋滞』

「俺のせいか渋滞!」 「あたしのせいでもないわよ。」 渋滞は人を苛立たせる。限られた束の間の時間を移動中の車内で笑って過ごすことは難しい。年末の帰省ラッシュにハ…

当時の学校教育を風刺した、ブラック・コメディ『ザ・中学教師』

本作は、1992年に公開され、斎藤博脚本、平山秀幸監督の、公立中学を舞台に生徒と教師の対立を描いた学園ドラマだ。配給は、商業映画とは一線を画し独自の路線を攻めていっ…

見ている観客の想像力が試される映画『流浪の月』

2022年公開 監督、李相日 原作、凪良ゆう本作は広瀬すず、松坂桃李、 横浜流星 、多部未華子など、豪華なキャストを迎え、孤独な少女と誘拐犯との出会いと別れ、再会を描い…

アマトリチャーナをつくる

玉ねぎを薄切りにする。 にんにくをみじん切りにする パルミジャーノチーズを擦る パンチェッタ、玉ねぎ、にんにく、鷹の爪を炒める。 いい感じになってきたら… どー…

最近観た映画5作品

    『死刑にいたる病』絶望が他人に加害を与え人を死刑にさせる監督、白石和彌原作、櫛木理宇榛村大和からの手紙祖母のサチ江の葬儀を終えると筧井家に一通の手紙が届…

300

一柳慧の『ピアノ・メディア』がすごい!

一柳慧は日本の作曲家であり、現代音楽家だ。 『ピアノ・メディア』は、ピアニストの高橋アキが、1972年に開催した、「高橋アキ、ピアノ・リサイタル」のために作られた楽…

かる・かる・かるちゃあが選ぶ2023年ベストアルバム

かる・かる・かるちゃあが選ぶ2023年ベストアルバム

今年で二回目となる、かる・かる・かるちゃあが選ぶ年間ベストアルバム。今年のラインナップは、こいつらだ!

Ed Sheeran 『ー 』
Jayda 『G- Guy』
Saucy Dog 『バットリアリー』
Alabaster DePlume 『Come With Fierce Grace』
Sparks 『The Girl Is Crying in Her Latte』
Pretenders『

もっとみる
なぜ人はわかりあえないのか。ロードムービーの中で、人々のすれ違いを描いてきた、ケリー・ライカートを振り返る。

なぜ人はわかりあえないのか。ロードムービーの中で、人々のすれ違いを描いてきた、ケリー・ライカートを振り返る。

フランス代表のサッカー選手、キリアン・エムバペ(通称エムバペ)は、数年前まで、ムバッペという呼称が付けられていた。しかし、いつからか、その呼び名は変更され、エムバペと呼ばれるようになった。当時、DAZNの熱心な視聴者であった筆者は、朝の情報番組で、エムバペという彼の呼称を聞いた時、これまでにない強い違和感を覚えた。「そっちでは、そう呼んでるのね。」その程度の話で済む事だと思っていた。残念ながら、そ

もっとみる
ポジション取りのクズたちによる、ポジション取りのゲーム『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』

ポジション取りのクズたちによる、ポジション取りのゲーム『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』

前回の『ラバー』に引き続き、もう1つだけ、カンタン・デュピュー の作品を紹介したい。殺人タイヤに負けず劣らず、強烈なインパクトのある鹿皮製品が登場する映画、『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』だ。

地位も名誉も金もない、なんにでもない情けない自分

物語の主人公は、妻に捨てられ、銀行口座も凍結された、一文無しの孤独な中年男(ジョルジュ)だ。ジョルジュは車を走らせ、ある男の家へと向かう。立ち寄ったガソリ

もっとみる
ポストトゥルース以前につくられた先見的なコメディ『ラバー』

ポストトゥルース以前につくられた先見的なコメディ『ラバー』

タイヤのロバートは、ある朝、突然目を覚まし、埋もれた砂から体を起こすと、転がる練習を始める。おぼつかない足取りでふらふらと転がりはじめるが、数メートル進むとバランスを崩してしまい、パタンと倒れてしまう。何度も倒れなが、寂寥とした荒野をただひたすら進んでいく。転がっているペットボトルを見つけると潰してみる。サソリを見つけると潰してみる。ビンを見つけるも、これはなかなか潰れない。悔しいロバートは怒りが

もっとみる
ドンタコスがリニューアルされた理由を考察する。

ドンタコスがリニューアルされた理由を考察する。

ドンタコスは、「カラムーチョ」や「のり塩」と並び湖池屋を代表するスナックだ。「ドンタコスったらドンタコス…」「ドンタコスったらドンタコス…」という印象的なフレーズを連呼するCMをまだ覚えているという人は多いのではないだろうか。1994年の発売以来、大幅なリニューアルは、これが始めてのことだそうだ。前回のチリタコス味に代わり、今回、新たにリニューアルされたのが、チリトマト味だ。焼きとうもろこし味と、

もっとみる
モーニング娘。の『モーニングコーヒー』がいい!それと『ザ☆ピ〜ス!』に脱帽

モーニング娘。の『モーニングコーヒー』がいい!それと『ザ☆ピ〜ス!』に脱帽

『モーニングコーヒー』は1998年に発売された、モーニング娘。のメジャーデビューシングルだ。モーニング娘。といえば、『LOVEマシーン』や、『恋愛レボリューション21』、『ザ☆ピ〜ス!』など、数々のヒット曲があり、一つ一つ挙げれば枚挙にいとまがない。その中でも、特に筆者が好きなのは、今回紹介する、この『モーニングコーヒー』だ。「モーニングコーヒー飲もうよ 二人で」という、彼からの誘いを受ける彼女の

もっとみる
アメリカの競争社会では、スマートドラッグなるものが必須になっているらしい。

アメリカの競争社会では、スマートドラッグなるものが必須になっているらしい。

「覚醒剤やめますか?それとも人間やめますか?」「ダメ、ゼッタイ」この有名な二つの標語は、薬物乱用防止を呼びかける目的で80年代から90年代にかけて民放連や厚労省が制作したものだ。日本に住んでいる人ならば、一度は耳にしたことがあるという人が多いのではないだろうか。その標語の言葉が示す通り、日本社会では歴史的にドラックの存在は絶対悪とみなされてきたわけだが、一方で、アメリカはというと、その逆だ。今、大

もっとみる
血筋に翻弄される人々を描いた、サスペンスドラマ『柘榴館』

血筋に翻弄される人々を描いた、サスペンスドラマ『柘榴館』

あらかじめ、子は親を選ぶことはできない。それは、親も同じだ。自分の家系が代々どうであるかを前もって知る事は不可能で、実際にその家庭で育ってみなければわからない。
少し前、親ガチャという言葉が、世間を騒わがせた。自己責任論の問題が取り上げられ、学歴社会や、貧困問題などの格差に苦しむ、若者たちの間で、広がった言葉だ。本作は、代々継がれていく、家系、血筋に、翻弄される人々を描がいた、サスペンスドラマだ。

もっとみる
理屈で説明できない事は、決しておかしな事じゃない。『プープーの物語』

理屈で説明できない事は、決しておかしな事じゃない。『プープーの物語』

「電波系」という言葉が使われ始めたのは、村崎百郎をはじめとする、鬼畜カルチャーが流行っていた90年代のことだ。普段、我々が思考する際の枠組みである(原因と結果から導かれる)因果関係によるモノの理解とは全く異なった方法での、認識を可能にする、特別な思考様式を持つ人たち、つまり、「理屈には収まり切らない人たち」のことを示した言葉だ。当時は、そんな人たちの事を面白おかしく取り上げる文化があったわけだが、

もっとみる
帰りたくても帰れない『渋滞』

帰りたくても帰れない『渋滞』

「俺のせいか渋滞!」
「あたしのせいでもないわよ。」

渋滞は人を苛立たせる。限られた束の間の時間を移動中の車内で笑って過ごすことは難しい。年末の帰省ラッシュにハマってしまった場合はなおさらだ。本作は、そんな日本の、しがない帰省ラッシュに捉われた家族の悲劇と感動のラストが描かれた、「渋滞ロードムービー」だ。監督は、黒土 三男、配給は、アルゴプロジェクト。ロードムービーといえば、謝肉祭が行われる聖地

もっとみる
当時の学校教育を風刺した、ブラック・コメディ『ザ・中学教師』

当時の学校教育を風刺した、ブラック・コメディ『ザ・中学教師』

本作は、1992年に公開され、斎藤博脚本、平山秀幸監督の、公立中学を舞台に生徒と教師の対立を描いた学園ドラマだ。配給は、商業映画とは一線を画し独自の路線を攻めていった、アルゴプロジェクト。監督を務めた、平山秀幸は、この作品が公開された3年後の、95年から『学校の怪談』シリーズを手がけている。前年の94年に公開された、短編作『よい子と遊ぼう』も、中学生を描いた作品だ。いじめや、暴力が蔓延する公立中学

もっとみる
見ている観客の想像力が試される映画『流浪の月』

見ている観客の想像力が試される映画『流浪の月』

2022年公開
監督、李相日
原作、凪良ゆう本作は広瀬すず、松坂桃李、 横浜流星 、多部未華子など、豪華なキャストを迎え、孤独な少女と誘拐犯との出会いと別れ、再会を描いた、人間ドラマだ。小学5年生の時に誘拐された家内更紗と、誘拐犯の佐伯文が、運命の再会を経て、立ちはだかる困難を乗り越え、めでたく恋愛に至るという本筋だけを追って行くと、そのあまりにも危険な内容に、見方を誤った場合にはマークチャップマ

もっとみる
アマトリチャーナをつくる

アマトリチャーナをつくる

玉ねぎを薄切りにする。

にんにくをみじん切りにする

パルミジャーノチーズを擦る

パンチェッタ、玉ねぎ、にんにく、鷹の爪を炒める。

いい感じになってきたら…

どーーーん。

YouTubeで落合さんが「トマトジュースは煮詰めるとトマトソースになる」と言っていたこと知って以来、トマトパスタをつくる時は、トマトジュースを使っている。

鷹の爪を除きトマトジュースを入れ煮詰める。

2ミリのパス

もっとみる
一柳慧の『ピアノ・メディア』がすごい!

一柳慧の『ピアノ・メディア』がすごい!

一柳慧は日本の作曲家であり、現代音楽家だ。
『ピアノ・メディア』は、ピアニストの高橋アキが、1972年に開催した、「高橋アキ、ピアノ・リサイタル」のために作られた楽曲である。一柳慧は、ニューヨークの音大で学び、そこで出会ったジョンケージの音楽に影響を受ける。帰国後、アメリカの現代音楽を紹介する一方で当時、新しかったミニマルミュージックの草分け的存在である、スティーヴライヒを自ら演奏し紹介している。

もっとみる