「覧終待終」について

皆様、初めまして!

鵲-kasasagi-というものでございます

タイトルでピンと来た方はなるほど、拙作についてよくお見知りおきで

・・・{この記事は自身が作詞・作曲した『覧終待終』という曲の歌詞について少々綴(つづ)った現代笏(しゃく)です}・・・

御誂(おあつら)え向きの拙文はここまでにして早速本題に入ります

「終わりを覧(み)ながら、終わりを待つ」

そうタイトルで語っている通り、

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私の愛したアンドロイド:P.K. Dick 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」 "Do Androids Dream Electric Sheep?"

映画「ブレードランナー」で有名な P. K. Dick の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」で登場するアンドロイドは、大手のローゼン協会の製品で、Nexus(ネクサス)- 6 という新型ユニットを持つアンドロイドである。

Nexus-6型のアンドロイドは、一部の人間をも凌駕する知性、そして自意識をも持つ。二兆の構成素子の場を持ち、一千万のちがった神経経路の選択(脳活動の組み合わせの選択の範囲)

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クビの配達引き受けます #13

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 衝撃。爆音。炸裂音。金属がひしゃげ、ガラスとコンクリートが砕け散る。
 ヘカトンケイルmk-ⅥのAIが予測した光景は、しかし当たらない。

「な、んだ」

 APの背で、モリスは息を絞り出す。彼は今、この鉄火場に最も似つかわしくない空気を味わっていた。
 即ち、静寂である。

 銀箱の、生命維持装置の小さな駆動音。聞こえるのはそれくらいだ。収音機構をどれだけ調整しても、破壊音は何一つ

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ありがとうございます!
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『火狩りの王〈三〉 牙ノ火』日向理恵子(著)

ついに首都の結界が破られた。天然の火を携えて、首都へ侵入する〈蜘蛛〉。人々に恐怖が訪れる中、煌四は自ら開発した打ち上げ機が〈蜘蛛〉を殺戮するさまを目の当たりにする。
燃え上がる地上に降り立つ、白く光る少女〈揺るる火〉のまなざし。「…もう十分に死んでしまったのに。まだ殺し合いをする」。
水に棲み、なまぐさい息を吐く、人ではなくなったものたち。そして姫神の”依巫”として、神族に連れ去られた綺羅の運命は

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あなたに幸あれ!
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韓国発SF短編集『となりのヨンヒさん』が好きすぎる件について

12月13日、チョン・ソヨン『となりのヨンヒさん』(吉川凪訳)が発売になります! 

本書は韓国のSF短編集。とはいえ、もとがYAということもあってゴリゴリのハードSFではなく、気楽に読んでもらえるSFです。実は先日、担当編集がいかにこの本が好きか、K-BOOK振興会さんの小冊子『ちぇっくCHECK』にて語らせていただきました。拙文ながら、せっかくなのでnoteにも…ということで、よろしければお付

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ありがとうございます!
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『息吹』&『ゲームの王国』合同イベントを13日(金)に開催します!

「あ~~~面白かった!」という新刊の感動&興奮をみんなで分かち合いませんか?

今月、早川書房のSFから2点の話題作が刊行されました。日本SF大賞と山本周五郎賞をダブル受賞した超話題作『ゲームの王国』の待望の文庫化と、映画「メッセージ」原作『あなたの人生の物語』のテッド・チャンによる17年ぶりの新刊『息吹』です。

この2作の感動を一緒に分かち合うことができるイベントが開催されます!

【日時】

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スキありがとうございます!
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ヒカリGO

拙著『未来技術奇譚集 素顔のままで』より『ヒカリGO』というショートショートをご紹介します。
 ヒカリGOは文字通り光速での旅行を可能とする乗り物です。乗り物というより瞬間転送装置といったほうが正確かな。スタートレックで乗員が惑星に上陸する際に使われる、あれですね。「ぼく」の身体がスキャンされているときにヒカリGOが故障します。転送は正しくおこなわれ遠隔地で再生されたものの、出発地での消去がなされ

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【中編小説】すばらしきこの世界


 その素体ができてから数万年をかけ、時に争い滅びを迎えながらもこの地球という一つの青い星の地上で文明を発展させてきた人類は、二度の世界大戦を終え星全体で繋がりを得た。だが、それから数千年の間、悪化の一途を辿る環境問題になんら有効打を打てず、また全体としてその気もなく、三度目の世界大戦の兆候に怯えながら、しかし大戦を迎えることなくして人類は滅亡の歴史を歩み始めたのである。
 南極が瓦解した。南極

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大好きな虫けら

人はポジティブな面よりネガティブな出来事の方が記憶しやすい。それは、生物的本能によるもので、生きる為には危険を察知する能力に秀でていなければ生存競争に生き残れないから。そしてポジティブな出来事、希望を抱くにはそれなりの勇気が必要となる。なぜなら、自分の期待を裏切られた時の痛みを感じたくないから。

 僕は臆病者だ。傷つく覚悟でポジティブな希望を抱くこともできない、だったらネガティブな予測を信用する

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安息で幸福なわたしたちの今いるここ

15年間耳鳴りを記録し続けてきた楠橋氏は驚愕していた。
 彼の耳鳴りには一定の法則が存在し、長い年月を掛けて楠橋氏にある予言をもたらしたのだ。

 楠橋氏が耳鳴りを記録し始めたのは中学1年生の時に遡る。初めてノートに耳鳴りの時刻を書き込んだのは7月13日午後2時30分だった。
 当時、数学の授業を受けていた楠橋氏は、黒板に並ぶ三角や四角をぼんやりと眺めつつ聞き耳を立てていた。先生が「という格好でぇ

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