【白影荘の住人】千年少年-1/3

六月下旬。 在所さんが姿を消してから、もう一カ月以上経つ。 それでも僕の日常は続いていくわけで、全然その辺は変わりはない。 でも、それでも僕のすぐ近くにいた人物が忽然と姿を消してしまった事実は変えられない。 今まで生きて来て前触れもなく人が消えるなんてことを経験したことはなく、僕…

【第2部21章】蒸気都市の決斗 (7/8)【勝機】

【目次】 【干満】← 「むー、ボクの推理が当たったかな。君の転移律<シフターズ・エフェクト>は時限式。月の満ち欠けと連動していて、タイムリミットが来ると自動で解除されるわけ」  蒸気都市のスラム、『街区』と呼ばれるエリア、そこに立地するボロアパートの雨に濡れた屋根のうえ。  倒れ伏…

銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十七話(最終回) 漆黒のコントレール

・銀河フェニックス物語 総目次 ・第三十七話 まとめ読み版 ・第三十七話(1)(2)(3) 「五十二戦五十二勝」  レイターは誇るでもなく淡々と答えた。  五十二連勝。  実弾での戦いに負けたら生き残れない。これはスポーツじゃない。逆を言えばレイターは五十二機を撃ち落とし、五十二人の命…

ハヤカワ文庫SF総解説2000:625, 627, 628, 629, 630, 1087, 1088, 1159, 1160, 1183, 1…

ハヤカワ文庫SF総解説2000(2016年1月再版、早川書房)に収録された作品を紹介しています。 (了)

深紅の瞳(4)

「なあ、あんた。あの施設でいったい何が行われているんだ?」 「それはわたしにもわかりません。施設は警備や職員の仕事などそれぞれが完全に分断されていて、同じ施設内でもお互いが干渉することはいっさいありません。ただ……」  今まで淡々と話していた彼女がはじめて視線を落とし言葉を濁した。…

つぶやきまとめ。

[とある少女D] 私が朝を食べた。なのに朝がやってきている。何故?私が食べたはずなのに。朝は私の胃の中なのに。何故? [とある少年C] 明日の朝になったら僕の背中に羽が生える。大きくて、真っ白な、ミルク色の羽。お父さんがつくってくれた薬で、僕は翼を体に生やして空の向こう側に行くんだ。羽を…

ランドマーク(60)

 わたしは小さいころ、両親とよくけんかをしていた。理由は、誰にだってあるような些細なことだ。洗濯物をたたまなかったとか、夕ご飯を残しただとか。そうして勝てるはずもない言い争いに挑み(おそらく両親は争いとさえ思っていなかっただろう)、わたしは敗北した。そしてわたしは泣いた。言語では…

『あんかけ』

現在 地球上で最も早い あんかけ焼きそば(※1)の提供時間(※2)は 11.4514秒 という記録 その記録を支えているのは なんたって料理人の鍋捌き この驚異的な 世界記録が更新された直後 店は長蛇の列 マスコミにも取り上げられ てんやわんやとなった ただ残念なことに それがゆえ 店主は腕…

#宿命の泡沫紋章 第Ⅱ章第10節

さて、孤島にある廃墟と化した要塞からの脱出劇はどうなったのでしょうか。 未だに目的も分からないままですが、物語を進めていく事にしましょう。 メリッサは接近戦が苦手なわけではない(武器は思いっきり接近専用だし)のですが、さすがに狂戦士(バーサク)状態のティール相手だと分が悪いです…

SFもどきのショートショート「殴るな!」

 「すいません、いいですか?」  そう一応言ってみた時、対面して座っている彼の顔が、一瞬だが不快そうに歪んだようだった。  もちろん、彼もおとなだった。さっと笑顔を取り戻して、  「ああ、どうぞ。かまいませんよ」  朗らかな口調で言葉を返してきた。  さすがに、こちらがマナーを守って…