夜から来るキカイ 【詩/現代詩】
いつの頃からか
毎夜のように
訪れるようになった
あの方が
カシャカシャと音を立てて
月のない夜になると
長い砂浜を這って
砂まみれになって
真っ暗な方から
海の方向から
見えない波音が
少しずつ輪郭をあらわし
月のように冷たく
だんだん数が増えて
コールタールのように
黒い水のように
わたしの眠る方へ
眠りかけの小屋の方へ
カシャカシャと音を立てて
壊れかけた機械の音
それは毎夜のように
カマキリに似たかたちの
6本脚の影
コールタールのにおい
わたしの眠る部屋に
静かに忍