見出し画像

ポーランド訛り 【川柳/自由律俳句】

夢のない電柱に蝿がたかる

ブラジルはこの経度から折れ曲がる

黴だった頃の記憶がよみがえる

饅頭で塞がれている東口

触角を日傘で隠す

十九歳はリチウム電池の煌めき

ゼンマイがほどけたままの火取虫

空耳を声に出したら蒼ざめる

荻窪を三葉虫で埋め尽くす

あざらしの顔になるまで町歌斉唱

知事室のどの柱にも藁人形

途方もない未来から来た蟷螂

毟られた者らが歌う手毬唄

墓裏で飲まされた葡萄汁

ポーランド訛りの雨が降りつづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?