お題

#眠れない夜に

夢のような話、目を閉じるのが怖くなる怖い話……。夜に読んでほしい物語を投稿ください! 詳しくはこちら

急上昇の記事一覧

タラコスパ

 「タラコ」は江戸時代あたりから食されていたらしく、今では和食の定番だろう。では……あるが、僕は子供時代から、飯のオカズとしてのタラコがあまり好きではなかった。なにも、タラコ自体が嫌いというより、なぜか飯と一緒に頬張るのが苦手だったのだ。だから、飯抜きで、タラコだけを食べるのならよしとしたらしい。  ついては、おにぎりでもタラコの入った奴は今でも敬遠している。 そんな僕だが、実はタラコスパだけは大好物なのだ。もちろん明太子スパもだ。  あくまで、私見ではあるが「タラコ」とい

スキ
44

海鳴り

国道沿いの脇にある細い坂道を 10mほど上がると ふいに抜けていく風は潮の匂いが濃くなる。 道は緩やかに右へカーブを描いて続く。 8歳の私の足で5~6分ほど行くと 自宅の築山が見えて来る。 築山といってもそれは祖父の趣味で 手作りの庭にある2メートル四方ほどの やはり手作りの小さいものである。 庭は道と住居の境界になっていて、 端に植えられた私の背より高い松の後ろに 玄関の重い引き戸がある。 潮のせいで鉄のレールは錆びていて軋む。 両手でその戸を開けると 中は薄暗い土

スキ
25

夏の終わりに

子供の頃は夏になると、自治会で海の家にいって、みんなで泳いだり、遊んだり、食べたりした。それが中学にもなると、自転車で近くの海に行けるようになり、毎年のように友達と泳ぎに出かけるのが夏の習慣だった。 だいたい、お盆ごろになるとくらげが発生するようになり、それがぼくらの夏の終わりの合図だった。お盆ごろになると幾分夜温が低くなり、浅瀬までくらげが来やすくなるのだろう。そう考えると、今は温暖化の影響か、猛暑も続いているし、クラゲの発生も遅れているのかもしれない。ということはもう少

スキ
29

たりないものだらけ

蒸し暑い部屋に寝転んで怠惰に過ごす。これほど待ち望んでいたものがまた再び平常になりつつある感覚を安楽に受け入れてはビールを飲むこと以上に、素敵なものがこの世界にあるものか。そしてまだまだエアコンを必要とするこの天候にあって、ついつい虫を撮るのも億劫になって万年床に横たわる。我が身の重みを隅々まで感じては、敷布団に開放するときの至福よ。もういっときたりともお前を逃しはしないぞよ。 ゲームでもしようと正午前には起きたものの、いつもの頭痛に少し釈然としない意識は、それは僕自身であ

スキ
9

【ショートショート】ジャンク日和

 私の山の中に住んでいる。まわりには誰も住んでいないし、店もない。こんなところにいると、ときどき、無性にジャンクなものが食べたくなる。  たとえば、牛丼。  たとえば、天丼。  たとえば、カツ丼。  丼が多いな。  ハンバーガーもいいな。  町までおりていけば、松屋も吉野家もかつやもマクドナルドもあるのだが、なにせ遠い。  それに、私たちが行っても売ってくれるかどうかわからない。  私は仕方なく、人間の夫に頼む。 「今日は牛丼が食べたい」  夫はまたかという表情でため息をつく

スキ
4

🙆‍♀️

クソつまんないLINEしちゃった 届くな私の孤独 返事が来ないのが答えなの 命は短いなんて嘘じゃない 長すぎるよ 暇で暇で 穴埋めのために君の音楽を聴くよ あの子と音楽やりたいな でも下心では芸術は生まれないよ 汚いから死になよ 君に届いた時 きっと世界は壊れるよ 歪んだ視界に映る君は 私にとってが変わってしまうかもね

スキ
3

*20 Ernte Dank

 オクトーバーフェストとは名ばかりで、実際九月の十七日に始まった催事は十月の四日には幕を閉じると言うんだから殆どセプテンバーフェストである。という十人いれば十一人は考え付きそうな妙を突っついてみたが、結局今年私は現地に出向かなかった。ミュンヘンに居た頃は平日の仕事終わりにでも会場へ出向いて昼からビールを煽れたが、現地まで電車で二時間も掛かるとなると都合が付かなかった。先日ミュンヘンに住む友人を訪れた際、折角二年振りに開催されるんだから機会を見付けて是非来たいと思っている、と伝

スキ
6

遠くで鳴っている【雑記】

 10年くらい前に住んでいたマンションでは、夜に時々、テーブルを引きずるような音が聞こえていた。どこかの部屋で、ではなく、外で。高層の建物の屋上に木製の床があって巨大なテーブルを引きずっているような音、が遠くから聞こえていた。6年くらい住んでいたけれど、結局何の音かは分からなかった。時々その音のことを思い出す。最近、書いているものの中に塔が出てくるのは、高層の建物が多かったその街のことを思い出しているのかもしれないと思っていて、巨大なテーブル、というものの存在を与えたその音も

スキ
9

【短編】日が昇る四畳半①

子どもの頃の話。 僕は、四畳半の部屋に住むおじいと仲がよかった。その部屋の襖を開けるとおじいはニカって笑って僕を迎え入れてくれた。 家族の中の誰とも血のつながりのないおじいがウチの一室にずっと住んでいた。誰とも関わらず、僕とだけ話すおじい。母がなんとなくおじいの分もご飯を作って、おじいの住む四畳半にそれを届けるのが僕の役目だった。 「今日は、おでん?おじいカラシほしいって絶対言うよ。」 「じゃあ、お皿の端っこにくっつけて持っていって」 「うん」 母は、おじいの好みの食べ物はな

スキ
1

【短編】ボッチとゴダール

スマホの目覚まし機能で起きる毎日に慣れ過ぎた。 子供の頃は、目指し時計のけたたましい音に飛び上がったものだが、今はこの電子音に素直に起きる。 それがこの電子音のせいなのか、年のせいのなのかよく分からないまま、毎朝一番にスマホを手にする。 そして決まって、憂鬱な気分になる。 今日も仕事に出れば、頭を下げ、肩を落とし、疲れて空を見上げる自分の姿ばかりが、意識の中で鮮明になる。 帰りにコンビニで夕食用の弁当を手に取り、炭酸飲料を買う。 今やビールさえ買わなくなった。お酒で気を紛

スキ
1