詩と暮らす(#シロクマ文芸部)
詩と暮らす
朝露に硝子の首飾りをかける蜘蛛の巣は
籬の茂みで、東雲のうすくめざめる時を待つ
疎水べりに野蒜を摘み、菜園に種を蒔き、穀雨を待つ
風に雨の匂いをかぎ、セーターのほつれを繕い
うだる熱気に緑陰を求め
軒の氷柱の滴を聴き
ことばの澱をときほぐし
去年も 昨日も 詩と暮らす
詩と暮らす
曇天のした蓮のうてなで蛙はうたい、
角の青果店の軒先から、つばくろの雛はとうに飛び立った
書棚の埃を払い、ヴェルレーヌの詩集に、消印のかすれた絵葉書を見つける
風鈴がそよぎ、鍋の焦げを