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北風のリュート

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「#創作大賞2024」の応募作品、『北風のリュート』をまとめました。
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記事一覧

【連載小説】「北風のリュート」第25話

前話はこちら 第25話:散らばる異変(1) 【6月1日(土)朝 鏡原・小羽田家】  5月25日に…

deko
2時間前
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【連載小説】「北風のリュート」第1話(#創作大賞2024/#ファンタジー小説部門)

第1話:遠いうねり    そこは世界の蝶番のような場所だった。  東と西の大地の深くえぐれ…

deko
1か月前
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【連載小説】「北風のリュート」第2話

第1話はこちら。 第2話:空を泳ぐもの(1) 【2030年3月25日、G県鏡原市】  ああ、今日も…

deko
4週間前
75

【連載小説】「北風のリュート」第3話

前話はこちら。 第3話:空を泳ぐもの(2)  海水浴に訪れたK海岸の岬にはアクアパークと…

deko
3週間前
67

【連載小説】「北風のリュート」第4話

前話はこちら。 第4話:見えないもの 【3月25日、航空自衛隊鏡原基地上空】  今日も曇っ…

deko
3週間前
64

【連載小説】「北風のリュート」第5話

前話はこちら。 第5話:奏でるもの(1) 【4月13日、G県鏡原市】  うーん、やはり曇って…

deko
3週間前
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【連載小説】「北風のリュート」第6話

前話はこちら 第6話:奏でるもの(2) 「珍しいね。それ、リュート?」  レイは竜野川の堤に腰かけ、家から持ち出した楽器を奏でていた。  顔をあげると、眼鏡をかけキャップを目深にかぶった若い男が立っていた。ジーンズにモスグリーンのウインドブレーカーをはおり、荷物でふくらんだリュックを背負っている。フル装備のカメラでも入っているのだろう。航空祭にやって来る典型的なスタイルだ。 「そこの階段を降りてまっすぐ行くと県道に出ます。左に折れると基地の正門が見えます」  レイは視線も

【連載小説】「北風のリュート」第7話

前話はこちら。 第7話:奏でるもの(3) 「このリュート、どこで手に入れたの?」  リュ…

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2週間前
55

【連載小説】「北風のリュート」第8話

前話はこちら。 第8話:奏でるもの(4) 「デブリが長引いて、お待たせしました」  深緑の…

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2週間前
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【連載小説】「北風のリュート」第9話

前話はこちら。 第9話:奏でるもの(5)  ふうっと一つ大きく深呼吸し、レイは覚悟を決める…

deko
2週間前
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【連載小説】「北風のリュート」第10話

前話はこちら。 第10話:奏でるもの(6)  そうだ、と流斗はレイがテーブルに立てかけてい…

deko
2週間前
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【連載小説】「北風のリュート」第11話

前話はこちら。 第11話:謎の増殖(1) 【4月23日 鏡原市中町『小羽田医院』】  はあ、は…

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2週間前
48

【連載小説】「北風のリュート」第12話

前話はこちら。 第12話:謎の増殖(2) 【4月26日 つくば市×鏡原市】  学会を控え論文や…

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13日前
52

【連載小説】「北風のリュート」第13話

前話はこちら。 第13話:謎の増殖(3)  流斗は己のうかつさを呪った。レイからの着信は三日前か。  航空祭で会ったのが2週間前。これまでレイから連絡してきたことはない。立て続けに4回も掛けてきている。何かあったのだ。  まだ21時過ぎ。女子高生に電話するには、ぎりぎり許される時間だろう。 「ごめん、研究室に泊まり込んでて、スマホを家に忘れて……」  早口で謝罪を述べ、ごめん、と繰り返しスマホの画面に向かって深々と頭をさげた。  冷やりとした沈黙が流れた、と流斗は感じた。5