【連載小説】「北風のリュート」第7話
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第7話:奏でるもの(3)
「このリュート、どこで手に入れたの?」流斗が尋ねる。
「代々、母から娘に受け継がれてきたもの、らしいです」
「家宝ってこと?」
「いえ。結婚するときに母が祖母から持たされたそうで。私がお嫁に行くときにあげる、といわれました」
「母系で伝えてるのか。興味深いね。そうとう古いものなのかも」
納戸の片づけをしていた母が「お嫁に行くときにあげるね」と桐の箱を開け、銀に光る楽器を取り出した。「でもねえ、鳴らないのよ」母は弦を一本はじいたが、空気をかす