銀騎士カート
基本 短いです。 長いのは一本だけ……
大人むきの純文学です……でもキャッチコピーは「面白系純文学」と言っておきます。
経済学の祖アダム・スミスがこんなことを言ってる。 世界にどんな悲劇が勃発しようとも、人間というものは自らの爪先の痛みに関心を向けたがる…… 人間のエゴを……とりもなおさず、野放図の欲望を起爆剤とした資本主義のシクミを見事に言い当てている。 試みに、ついそこの新聞を斜めにでもいいから読んでみよう。 コロナは未だ終点が見えず、政局は猿芝居に終始し、海彼の紛争は後をたたず、地球はカタストロフィーに向け
女性のエレガントなプリーツスカート姿が昔から好きなのだが……どうも、最近はイメージとして蟠っている理想のプリーツスカートを見かけない。 もとより女性のファッションには疎いが、街で見かけるプリーツスカートと言えば、女高生あたりの極端に短い奴か、あるいは成人女性のかなり長めの奴だ。 僕が一番美しいと思っているのは、膝丈あたりの、……今どき流行らない型らしい。 思えば、原点があるのだ。 中学生の時だが……同級生の女子で、ちょっとつり目で、特別美少女というわけでもな
思うに……このところ二日酔いに縁がない。 別に酒を控えているわけでも、突然酒豪になったわけでもない。 大抵はアニメを見ながら、あるいは好きな曲を聞きながら一杯という段取りなのだが、知らないうちに、ここまで見たら一口、ここまで聞いたら一口という一定のリズムが成り立っているようなのだ。結果、飲む量もそこそこに落ち着いて、二日酔いの寄り道を回避しているらしい。 実際……僕はこれまでの人生で「もう酒など飲むものか!」的な二日酔いはあまり経験がない。 たぶん、一人飲みが
食べたら絶対に美味い、と予測がつくのに……まともに口にしたことのない食品が僕にはいくつかある。 その一つが牡蛎フライである。 随分前のことだが、弁当屋でバイトをしていた時……つい牡蛎フライを摘み食い(店長の許可もと)をして……それまで敬遠していたのだが……あんがい美味いかも、と思ったことがあった。 家族の話によると、僕は子供時代「牡蛎」は全く受け付けなかったようで、食卓に上ったことはない。 それでも、家族は全員牡蛎フライが好きで……実際、僕が調理したことも屡々で
8月中は、始終頭の片隅でZONEの「君がくれたもの」が響いていたのだが、9月に入ったとたん、oasisの「Don’t Look Back In Anger」に切り替わった。 、 再結成の噂を耳にしたせいだろうか。 とにかく、ギャラガー兄弟の仲の悪さは有名らしい。 僕としては、シンガーとしては弟のリアムガ好きなのだが、こと先の曲に関してはノエルの方がハマるだろう。 同じノエルの、アニメのテーマソングにもなった「Falling Down」や、リアムがご機嫌な「 Won
一般に「ソース」と言えば、「ウスター」「中濃」「トンカツソース」に分かれる。 一番汎用性に優れた「中濃」が売れ筋らしいが、僕は使わない。 コロッケにはウスター、トンカツにはトンカツソースである。 とにかく、料理にソースは欠かせない。特に僕が好きなのはデミグラスソースである。 以前は「ブルドック」の「掛けるデミグラスソース」というのを重宝していたのだが……なぜか、最近スーパー等で見かけない。 まあ「デミグラス」といえば、ハンバーグを連想するのだろうが……僕がこいつ
猫好きを表明しているからと言って、別に犬が嫌いとか憎いと思っているわけでもないのに、やはり相性が悪いのか……よく吠えられる。 いや、吠えられるどころか、先だってあわや噛み付かれかけたのだ。 バイト帰り、ついすれ違った、毛むくじゃらのでかい犬……何という犬種かは知らないが、出し抜けに飛び掛かってきた。連れていた男性が慌ててリードを引き、僕にして身を翻したものの、持っていたバッグがなければ、もしかしたら流血沙汰になったかも知れないのだ。 当の犬を連れていた男性は、犬を
昔からの古い商店が次々と閉店してゆくのをボヤイテいたところ……近場で最後に残る豆腐屋が店を畳んだ。 と言っても、この豆腐屋を利用したことはなかったのだが……雁擬が美味いという噂で、つい買ってみようと思っていたやさき、なんでもご主人が交通事故にあってしばし休業するとのこと。 買えないとなると、評判の雁擬……ぜひとも食いたくなる。我ながら、天の邪鬼である。 ところが、二箇月経ち、三箇月経ち……別に訊きはしなかったが、どうやらかなり年配らしいご主人……事故を機に引退を覚悟
胎児時代の記憶を持っている人がいるという。 四歳ほどで薄れてしまうらしいが、約三割近くが当の記憶を保持していると報告されている。 はっきり言って、僕はあまり信用していない。言葉というツールなしに、記憶を語るとは何事か、と思うのだが、このへんの事情はややこしいので止めておく。 僕にとっての一番古い記憶というのは……胎児から、誕生、そして些かなりとも言葉を解し始める前の渾沌の中から、ポンと世界に放り出された、という状況にあった。 まさしく、世間が言うところの、胎児の
とんでもなく長い夢を見た。長編SF小説の、登場人物になったのだ。 舞台は、日本のとある寒村。僕は都会生活から挫折して故郷に戻った、しがないシンガーソングライターの役どころらしい。 美人の妹が一人。彼女は女子大を中退した後、実家に戻り、寂れた寒村立て直しのために、村役場で働いている。 家族は他には祖父と祖母。両親は疾うに亡くなっているらしい。 僕にして都会のグータラ生活で鈍った肉体に、野良仕事はキツカッタが、夕餉の後、大都会では一顧だにされなかった歌とはいえ、得意
犬派か猫派かと訊かれれば、僕は断然「猫派」である。 それでも子供の頃は犬を飼っていて、あまり記憶にはないのだが……一匹は柴犬で、お袋が可愛がっていたらしい。ただし、噛み癖があって、周りから非難されたらしく、かなり遠くの公園に当の犬(テクという名)を、とある木に鎖でつないでその場を去ったという。ところが、当のテク……鎖を引きちぎって、遠路我が家に戻ってきたのだ。お袋が感動したは、言うまでも無い。ただしテクは、心臓に虫がわく病であっけなくこの世を去った。 もう一匹は「タオ
寝物語……と言うと、同衾の男女の睦言を連想する人の方が多いかも知れないが、僕としては、子供を寝かしつける時の、絵本等の読み聞かせを思い浮かべる。 たぶん、今でもお母さん達は、子供に何か物語を聞かせているのだろう。子供の情緒のためにも、これからも続けて欲しいと思っている。 かく言う僕も、幼少の砌、お袋のみならず、父親というか兄貴代わりの叔父から寝物語を聞かされたものである。 ところが、僕の場合聞かされたのは絵本などの既存の書物ではなく……常に即興の物語であった。貧
スーパーやコンビニのカツ丼があまりにも美味しくないので、久しぶり……以前よく出前を頼んだことのある蕎麦屋に入ってみた。 昼下がりではあったが、客は僕一人。あんがい、閉店も間近なのかも知れない。 取り合えず小上がりで胡坐を組み、カツ丼を注文する。 思えば、地元商店街から馴染の店が次々に消え、コンビニやチェーン店系の飲食店ばかり犇めいているのだが、この蕎麦屋はやや商店街からは外れた道筋に位置し、僕がガキの頃からお馴染の、昭和の遺物と言える。 アルバイトらしい割合若い
公園の、ベンチの木陰でへばっていると……つい目の前を、ジョギング勇ましく走り行く人を見かける。 日曜日ともあれば、かなり頻繁に出くわすながめである。年齢層も様々、男女も問わない。 やれやれ、この暑さの中、なんで汗だくになって走るのか? と、僕などは思ってしまうのだが……もしかしたら、健康面と同時に、その後の爽快感を期待しているのかも知れない。 確かに、走り終わったあと、冷水シャワーでも浴び、冷房の効いた部屋で飲む冷えたビールは格別なのだろう。 辛い思いをしたか
世間的に言えば、大いに非難されかねないが……僕は、惰眠ほ貪ることが大好きだ。 休みの日など、つい習慣で早めに目が覚めても、一度トイレに立ち……再び床に伏した時の快楽は何物にも変え難い。あと三十分、あと一時間……再びウトウト……気づけば昼近いというのも珍しくはない。 もしも、妻や子供等の家族がいるならば、こんな自由は許されないだろう。 パパ、起きて! 小さな子供がいたなら、無理矢理に手を引っ張られるかも知れない。 妻からは家の片づけを命じられ、子供からは遊びに
先だって、魚嫌い……といった記事を書いたが、そう、忘れていた。好きな魚があることを思い出し……とたん食いたくなってきた。 鰊(にしん)である。まあ、鰊と言っても、干物にした「身欠き鰊」である。思えば、鰊ソバは大好物であった。 しかし、この所とんと食べていない。 まあ、身欠き鰊と言えば、普通甘露煮にするのだろうが……僕は、鰻の蒲焼きのように付け焼きにしたはずだ。もちろん、米のとぎ汁などで臭みを抜き、ショーガもたっぷり加えたと思う。 手間がかかるのが、腹の部分の小骨