銀騎士カート

左脳デジタルの時代ながら、基本、右脳アナログ人間です。 シンギュラリティーが目睫に迫っ…

銀騎士カート

左脳デジタルの時代ながら、基本、右脳アナログ人間です。 シンギュラリティーが目睫に迫ってるとはいえ、いっそ迫っているからこそ言葉に魂を込めて、文章を綴ってゆく所存です。 雑文、エッセーから小説まで……綴ることしか能のない身ですが……

マガジン

  • 小説 小説らしきもの

    基本 短いです。 長いのは一本だけ……

  • 連載した長めの小説です。お暇な時に、どーぞ(^o^)

    大人むきの純文学です……でもキャッチコピーは「面白系純文学」と言っておきます。

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星月夜の夢

                             経済学の祖アダム・スミスがこんなことを言ってる。 世界にどんな悲劇が勃発しようとも、人間というも…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 25章

       25 おたずね者  二人揃ってのおたずね者である。プロジェクトの思惑がどうであろうと、もはやいかなる猶予もならない。当たって砕けろ。冬吉は書見燈を頼…

銀騎士カート
16時間前
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【SF連載小説】 GHOST DANCE 24章

        24 金丹祭  『金丹祭』近ずく。  テレビは、来る日も来る日もそんなキャンペーンに彩られた。半ば年中行事と化した、小杉博士探索のイベントである。…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 23章

         23 闘技士 「全く、君もついていない。又もや、臓器を剔出されるとは……」  涼一郎の声であった。悪夢から覚めた直後である。以前と同じく、脱力感…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 22章

        22 悪夢  答えろ。答えろ。答えろ!  野太い濁声が怒鳴り散らす。はて。ここは、学校の教室か。正面にぼんやりと黒板が見える。黒板にはところせく、…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 21章

        21 移植  手足をベルトで固定されたベッドの上で、冬吉は目が覚めた。甲高い金属音が響き、消毒臭が漂う。手術室か。術衣にゴム手袋のやつらが数人、準…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 20章

        20 希望  それから数日が過ぎた。その間、稲垣博士も涼一郎も顔を見せない。見知らぬ看護師が無愛想に餌を運ぶのみの、息詰まる家畜生活である。美也子…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 19章

         19 たましい  その日の深夜である。カードは再び取り上げられ、むしゃくしゃする冬吉のところに、自由を運ぶ一陣の風のようにささやきが現れて言うこ…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 18章

       18 先祖返り  さすが百年後の医療と褒めてやるべきか、それとも《愛の臓器》なぞ所詮盲腸の親戚とでもいうか、ブローカー一味に剔出を受けてから一週間の…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 17章

        17 復活  数日間、冬吉は昏睡状態にあったらしい。それを教えてくれたのは、目覚めた直後部屋に入ってきたささやきであった。何度か、無駄な見舞いをさ…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 16章

        16 素性  仲秋の夜道を車は走る。おんぼろのくせに、エンジンは快調であった。  空いている車庫をしばらく貸してくれと、近所の高校生に頭を下げられ…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 15章

       15 アダムとイヴ  革命という魔羅を振りたて、病院体制にいどむ刑天のいきごみとは裏腹に、目下の冬吉はプロジェクトの掌中なさけなく、やはり憂慮すべき…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 14章

       14 刑天(けいてん)  少女と生首との整合性いまだつかぬうち、時計は九時を回ってノックとともに、 「螺旋サービスのものでーす。遅くなりました」  冬…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 13章

    1    3 禁じられた遊び  冬吉が部屋の前で美也子と別れると、一服する間もなく待ち構えていたように稲垣博士と涼一郎がやってきた。  まず、稲垣博士が開…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 12章

       12 あかね  明くる日の昼すぎ、ノックとともに入ってきたのは貴宏であった。顔色は相変わらず冴えない。それでも、灰色のカードを冬吉に手渡すと、事務的…

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 10章、11章

       10 PSD  その日の夜である。冬吉はデジタルピアノの前に座り、ヘッドホンを耳に鍵盤を叩いた。そう。涼一郎との『蟻の巣』見学を終え部屋に戻ったところで…

銀騎士カート
2週間前
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星月夜の夢

星月夜の夢

                         
 
 経済学の祖アダム・スミスがこんなことを言ってる。

世界にどんな悲劇が勃発しようとも、人間というものは自らの爪先の痛みに関心を向けたがる……

人間のエゴを……とりもなおさず、野放図の欲望を起爆剤とした資本主義のシクミを見事に言い当てている。

試みに、ついそこの新聞を斜めにでもいいから読んでみよう。
コロナは未だ終点が見

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 25章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 25章

  

    25 おたずね者

 二人揃ってのおたずね者である。プロジェクトの思惑がどうであろうと、もはやいかなる猶予もならない。当たって砕けろ。冬吉は書見燈を頼りに部屋じゅう歩き回って、武器になるものを探した。夜が明け、看護士どもが食事を運んできた時、ぶちのめしてでも脱走する心積もりを固めていた。カードはやつらのを使えばいい。あとのことは、考えの及ぶところではなかった。しかし、武器に使えそう

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 24章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 24章

   

    24 金丹祭

 『金丹祭』近ずく。
 テレビは、来る日も来る日もそんなキャンペーンに彩られた。半ば年中行事と化した、小杉博士探索のイベントである。そこに、サイエンスのにおいはない。あたかも河童や雪男を探す茶番劇にして、小杉博士の十年前の失踪も、けだし千年も昔の神話、伝説の世界のようであった。
どのチャンネルも連日連夜、「不老不死」の妙薬、すなわち「金丹」を合成した仙人小杉博士に

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 23章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 23章

   

     23 闘技士

「全く、君もついていない。又もや、臓器を剔出されるとは……」
 涼一郎の声であった。悪夢から覚めた直後である。以前と同じく、脱力感に首を動かすのも億劫ながら、目の動きで探れば当然のごとくに病室。しかし、それまでとは別の個室のようであった。
 涼一郎の説明によると、美也子が『遊民窟』で思わずプロジェクトの名を出したことが足のつく原因になったらしい。もちろん、稲垣博

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 22章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 22章

  

     22 悪夢

 答えろ。答えろ。答えろ!
 野太い濁声が怒鳴り散らす。はて。ここは、学校の教室か。正面にぼんやりと黒板が見える。黒板にはところせく、ヌラヌラと光った色さまざまの物体がピンで留められてある。腑分けされた内蔵のようであった。
 声の主は教壇にあって鞭を手に、青いサングラスをかけているが、どうも稲垣博士のようである。近くに薄い緑色の液体の入った巨大な壜が置かれ、博士はそ

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 21章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 21章

  

     21 移植

 手足をベルトで固定されたベッドの上で、冬吉は目が覚めた。甲高い金属音が響き、消毒臭が漂う。手術室か。術衣にゴム手袋のやつらが数人、準備に忙しい。

 不意に、一人の男の面が真上から覗き込んだ。貴宏であった。
「なんの真似だ。美也子はどうした」
 見下ろす貴宏の、のびた鼻毛がしきりになびく。何やら昂奮隠しきれず、目は釣り上がって冬吉の質問なぞ無視の構えで言うことに、

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 20章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 20章

  

     20 希望

 それから数日が過ぎた。その間、稲垣博士も涼一郎も顔を見せない。見知らぬ看護師が無愛想に餌を運ぶのみの、息詰まる家畜生活である。美也子のみならず、刑天のことが冬吉には気懸かりであった。判ったつもりの、何がチェリオだ。テロリストと自称するからには、いのちを賭した自爆に違いない。来世を夢と開き直っての無責任か。友よと信頼され、あたかもヒロイックのひとつまみを共有したごと

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 19章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 19章

   

     19 たましい

 その日の深夜である。カードは再び取り上げられ、むしゃくしゃする冬吉のところに、自由を運ぶ一陣の風のようにささやきが現れて言うことに、
「刑天君が会いたいって……」
 冬吉はさっそくささやきをともない、廃墟の地下室に赴いた。

 刑天は、もはや生首なんぞいらぬお世話の、正常な姿でベッドに胡坐をかき、たくましい胸をはだけ、口と開いた臍にビールを流し込んでいた。冬

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 18章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 18章

  

    18 先祖返り

 さすが百年後の医療と褒めてやるべきか、それとも《愛の臓器》なぞ所詮盲腸の親戚とでもいうか、ブローカー一味に剔出を受けてから一週間ののちには抜糸もすみ、冬吉の体力はすでに平常に近ずいた。胸の傷も、肋骨を斜めに走る爪痕に似た。ただし、平常は肉体のみにしてカードの支給はなく、電話も切られて以前の囚人に逆戻りであった。

 白衣を脱いだ涼一郎がひょっこり現れたのは、そん

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 17章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 17章

   

    17 復活

 数日間、冬吉は昏睡状態にあったらしい。それを教えてくれたのは、目覚めた直後部屋に入ってきたささやきであった。何度か、無駄な見舞いをさせたらしい。からだは水を含んだ毛布のように重いながらも、とりたてて苦痛はない。時間は夜の八時。窓にはカーテンが引かれ、輸液のチューブ痛々しく、改めての病人であった。それでも、冬吉が思った以上に元気そうなのに安心したのか、ささやきもちゃ

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 16章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 16章

   

    16 素性

 仲秋の夜道を車は走る。おんぼろのくせに、エンジンは快調であった。
 空いている車庫をしばらく貸してくれと、近所の高校生に頭を下げられたのは一ヵ月ほど前のこと。彼はカー・キチ。と言っても、マイカーを置かせてくれという不料簡ではない。ガラクタ同然の廃車を蘇らせたい。そのための工場代わりということであった。妻は反対したが、俺は高校生のひたむきさに折れた。さっそく、ひどく

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 15章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 15章

   

   15 アダムとイヴ

 革命という魔羅を振りたて、病院体制にいどむ刑天のいきごみとは裏腹に、目下の冬吉はプロジェクトの掌中なさけなく、やはり憂慮すべきは《愛の臓器》の件に他ならない。貴宏と臓器ブローカーとの密談の真相はいかに。究明しようにも、白衣の訪問はぱったり途絶え、ひたすら苛立ちの一週間が過ぎていた。
 来ないとなるといっそ不安が募るは、やはり病のこころだろう。カードを手につい

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 14章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 14章

   

   14 刑天(けいてん)

 少女と生首との整合性いまだつかぬうち、時計は九時を回ってノックとともに、
「螺旋サービスのものでーす。遅くなりました」
 冬吉が扉を開くと、作業着姿の若いやつが立って一礼うやうやしく、訊けば、電話と錠前の取りつけに参じたとのこと。招き入れれば慣れた手つきテキパキと抱えた梱包を解けば、電話は昨今流行という黒いレトロなやつで、なんとコードの先のプラグを壁のコ

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 13章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 13章

    1

   3 禁じられた遊び

 冬吉が部屋の前で美也子と別れると、一服する間もなく待ち構えていたように稲垣博士と涼一郎がやってきた。
 まず、稲垣博士が開口一番、
「どうだったね、デートは」
「まあ、そこそこ」
「それはよかった。さっそく、質問に答えてもらいたい」
 涼一郎は立ったままながら、稲垣博士は椅子にかけて冬吉に向かうとカルテとボールペンで身構え、ひどく真剣な表情でぶつけるには

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 12章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 12章

   

   12 あかね

 明くる日の昼すぎ、ノックとともに入ってきたのは貴宏であった。顔色は相変わらず冴えない。それでも、灰色のカードを冬吉に手渡すと、事務的な口調で言うことに、
「もうじき、美也子君が来ます。さっそくのデートの件、よろしくお願いします。外の案内は彼女に……」
 冬吉は手で制して、
「その前に話がある。単刀直入に訊く。おぬしと美也子さん、恋人同士じゃなかったのか」
 答えも

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 10章、11章

【SF連載小説】 GHOST DANCE 10章、11章

   

   10 PSD

 その日の夜である。冬吉はデジタルピアノの前に座り、ヘッドホンを耳に鍵盤を叩いた。そう。涼一郎との『蟻の巣』見学を終え部屋に戻ったところで自由は打ち止め。カードは取り上げられ、再び幽閉の身に逆戻りであった。おまけに、先ほど食事を運んできたのが美也子とは別口の看護師で、美也子のことを訊いても何も答えず、明日検査があると事務的に告げただけ。
 いくら作り物と理解はしてみ

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