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もう一度だけ _ 詩

その鏡を割るのを躊躇うのは何故
本当はすごく怖いから
二人きりですごく寂しいから
屈託のない瞳が眩し過ぎるから
イメージの外殻と形容が仲違うから
東の空にも輝けそうなあのピアスを失くしたから
割れた破片にも自分を投影するから
この心の水平線は一ミリも映りはしないから
あの涙の彗星なんて鏡越しに見ても仕方ないから
見ているようで実は鏡像を見ていないから
ただ、躊躇っていることはわかる
まだ、漂っていたいのだと気づく
死んだ珊瑚が緩い海流に身を任せるように
生きて生きて生きてそれでも生きるように

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