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未だ 何ものでもなかった ある日 空 雲 そして お日さまは チョキン チョキン チョキン …
泡になっておる いつの間にか 泡になっておる いまだ 言葉になっておらぬものが 泡になって… …
また 一日がはじまろうとしていた 黒糖のような ねっとりとした一日が 〈妙高警察署によると2…
美しい村で ひと夏を過ごしたことがある その村は これといって 特徴のない村だったが 美しく…
満員電車の中で ドアにへばりついていると 花火が上がるのが見えた 紅い火花 青い火花 やがて…
真昼の丘では 神々も 愚かになるらしい 蜜蜂が集まって 円を描きはじめる (おもしろいもの…
パン屋さんのはらわた つかみます その感触 おどろおどろ ぎゅっと つかみます ふわとろ ふわとろ (うしろの作業場でよい匂いがいたします) 水曜日のひるま あまたたび どんちぇりーの呪い ほどきたく パン屋さんのはらわた まっさらに 剥いてゆきまする どろどろしています この ふじょうのみやこ ほどかんと パンぐりらの旅路へつかんとするに (こんどの品評会 参加されますか) (まだ焦げ目がついておらぬ お許しねがいます) ふわとろ ふわとろ
足の裏から 畳の目 よく見えて いとおかし 額の穴から 天井裏 よく見えて いとおかし 尾骶…
こんな時代になっても 空腹は止むことがない 悲しみをぎっしり詰め込んで 市場に運ばれる海鮮…
夜もすがら 熱に浮かされていた 下水道から 潮が満ちてくる明け方 (七色の雨が 降っていた…
この黄色と 青の コンパスで 未知の図形を描く 角度を広げながら 平行移動する夏の三角 蠍座…
バタフライをしながら 正気を保つのはむずかしい いつの間にか 三本の角が首から生えている …
その時刻になると 僕たちは 床にはりついて 夕方の音を聴いていたのです (ガタン ゴトン …
さいきんは 社会というものに興味をなくして 円を描いています 裏庭にきつねがおりましてね よく化かしに来たものでしたが もう 愛想を尽かされました 竹藪がざわざわする頃には ただ円を描いています 謡もやめましたが まあ ときどき 円を吟じています 愛想のカケラもないところがいい ただ 記憶はしておりません 何ひとつ覚えていないのです 漢詩だったと思いますが... ああ眩暈がしてきた もう寝ます ×× さいきんは 色というものに興味をなくして モノクロです 言葉も忘れ