汐田大輝

変幻するネット文芸家。詩(自由詩)や短詩(俳句や川柳等)を投稿します。電子版詩集『方位…

汐田大輝

変幻するネット文芸家。詩(自由詩)や短詩(俳句や川柳等)を投稿します。電子版詩集『方位のない街』を公開。→ https://romancer.voyager.co.jp/?p=324683&post_type=nredit2

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電子版詩集『方位のない街』を公開しました!

デジタル出版ツール Romancer(ロマンサー)を用いて詩集『方位のない街』を作成し、無償公開しましたのでお知らせします。事実上の私の第一詩集となります。電子書籍では…

汐田大輝
6か月前
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悪い遊び 【川柳/自由律俳句】

天国の音が聞こえるモノレール ホチキスに悪い遊びを覚えさす 全自動洗濯機から虹が立つ 黄金のキオスクならば受けて立つ 新境地ひらかんとして熊になる 民度の低いパ…

汐田大輝
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明るすぎる 【詩】

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最初の詩人 【詩】

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針の山 【川柳15句】

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汐田大輝
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生命の神秘 【川柳✖️AIアート】

プレミアムクラスの泡を吹く海鼠 嘲笑が貼りついているアコヤガイ 尼になる夢を見ているチューリップ 一斉にあひるになったヴァイオリン クリオネの精霊が現れる

汐田大輝
11日前
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現場付近 【詩】

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2週間前
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美しい村 【詩】

美しい村で ひと夏を過ごしたことがある その村は これといって 特徴のない村だったが 美しくあろうとする 魂でみちていた たとえばあのニワトリ 頸をスッと伸ばし 一日…

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夏至 【詩】

満員電車の中で ドアにへばりついていると 花火が上がるのが見えた 紅い火花 青い火花 やがて ほんのりと火薬の匂い 吊り革が海藻のように揺れた そういえばあのビルの近…

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3週間前
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ポーランド訛り 【川柳/自由律俳句】

夢のない電柱に蝿がたかる ブラジルはこの経度から折れ曲がる 黴だった頃の記憶がよみがえる 饅頭で塞がれている東口 触角を日傘で隠す 十九歳はリチウム電池の煌めき…

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真昼の丘 【幻想詩】

真昼の丘では 神々も 愚かになるらしい 蜜蜂が集まって 円を描きはじめる (おもしろいものだ) (どれどれ) 待ち切れずに 何かがはじける音 鼻が割れ 目玉が浮き出し…

汐田大輝
1か月前
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東北東 【短歌十首】

黒数珠を擦り合わせては釈迦牟尼の喉に刺さった小骨が痛む 三点で星を支えるマリオから筋肉の声地鳴りのごとく パーティーはまだ終わらない白鳥が一羽残らず灰になるまで…

汐田大輝
1か月前
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『さみしい夜の句会』第3集 発売中です

『さみしい夜の句会』第3集(月波与生編、満天の星発行)が発売されました。 この句集は、川柳人の月波与生さんがX(旧Twitter)上で主催しているネット句会「さみしい夜…

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ふわとろ 【詩】

パン屋さんのはらわた つかみます その感触 おどろおどろ ぎゅっと つかみます ふわとろ ふわとろ (うしろの作業場でよい匂いがいたします) 水曜日のひるま あまた…

汐田大輝
1か月前
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王 【詩/現代詩】

足の裏から 畳の目 よく見えて いとおかし 額の穴から 天井裏 よく見えて いとおかし 尾骶骨の割れ目から プレアデス よく見えて おかし イバラードの都 見わたして …

汐田大輝
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犬時間 【川柳15句】

尼寺で消える魔球を投げていた ソムリエの触れた時空が歪み出す 少年の大志が曲がる磁力線 新民法はマラルメの香り 市役所で擬似炭酸を飲まされる 最初からひょうたん…

汐田大輝
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電子版詩集『方位のない街』を公開しました!

電子版詩集『方位のない街』を公開しました!

デジタル出版ツール Romancer(ロマンサー)を用いて詩集『方位のない街』を作成し、無償公開しましたのでお知らせします。事実上の私の第一詩集となります。電子書籍ではありますが、紙の本と同じような感覚で読むことができますので、ぜひご覧ください。

以下に、この書籍の「まえがき」を転載します。

まえがき

素性不明のデジタル文芸家、汐田大輝の第一詩集です。

この詩集は、作者がこの2年間にネット

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悪い遊び 【川柳/自由律俳句】

悪い遊び 【川柳/自由律俳句】

天国の音が聞こえるモノレール

ホチキスに悪い遊びを覚えさす

全自動洗濯機から虹が立つ

黄金のキオスクならば受けて立つ

新境地ひらかんとして熊になる

民度の低いパセリから摘んでいく

ママチャリで薄い氷をゆくスリル

菩提樹にからまっているモノレール

眼帯の向こうから来る小惑星

朝の来ない夜を泳ぐコンパス

いちはやくタコに沁み入るクエン酸

ノルウェーの木で構成されたスマホ

過記憶

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明るすぎる 【詩】

明るすぎる 【詩】

未だ
何ものでもなかった
ある日



そして
お日さまは

チョキン チョキン チョキン チョキン

巨きな鏡に
映っていたのです

チョキン チョキン チョキン チョキン

ぼんやりしていたら
カニの床屋さん
ぼくの角を切っています

チョキン チョキン チョキン チョキン

  何曜日の
  朝だろう
  今日は

綿あめのように
少女の笑い声が聞こえ
耳に残ります ずっと
いつまでも

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最初の詩人 【詩】

最初の詩人 【詩】

泡になっておる
いつの間にか
泡になっておる
いまだ
言葉になっておらぬものが
泡になって…

(やめなさい
 まだ
 覚えはじめたばかり)

消えてしまうだろうか
触ったら
淡い光を宿しはじめた
こいつ
ぶくぶく ぷくぷく

(やめなさい やめなさい)

不思議な夕立が
立ちこめようとして
果糖の匂いをただよわす

(できはじめておる
 いまだ 言葉になっておらぬものが
 この実を)

(何てこ

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針の山 【川柳15句】

針の山 【川柳15句】

針の山を見ると疲労感が消える

チューリップ畑に尼僧が咲いている

枡席にクロロホルムを補給する

鬼太郎のタングステンが燃えつきる

水曜日はアナーキーなパイを焼きたい

一斉にあひるになったヴァイオリン

鬼太郎がマスクメロンになりたがる

プレミアムクラスの泡を吹く海鼠

天ぷらが貼りついていた左心房

嘲笑が貼りついているアコヤガイ

教会の屋根に刺さったZ会

皇室がプランクトンで満たさ

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生命の神秘 【川柳✖️AIアート】

生命の神秘 【川柳✖️AIアート】

プレミアムクラスの泡を吹く海鼠

嘲笑が貼りついているアコヤガイ

尼になる夢を見ているチューリップ

一斉にあひるになったヴァイオリン

クリオネの精霊が現れる

現場付近 【詩】

現場付近 【詩】

また
一日がはじまろうとしていた
黒糖のような
ねっとりとした一日が

〈妙高警察署によると2024年6月29日午後5時30分頃、新潟県妙高市赤倉の道路上で、男性が運転する普通乗用車とクマが衝突する事故が発生した。車を運転していた男性にけがはない。〉

カステラを口に含み
ザラメのような感触に
苦味を感じている
立方体は
黄色く輝いていて
紅茶に浸すと
ほどよく中和される
ほどよい甘みになる
いも

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美しい村 【詩】

美しい村 【詩】

美しい村で
ひと夏を過ごしたことがある

その村は
これといって
特徴のない村だったが
美しくあろうとする
魂でみちていた

たとえばあのニワトリ
頸をスッと伸ばし
一日中エサを啄んでいるが
自分の
凛とした美しさに気づかぬまま
脚を三重に繋がれている

井戸で冷やした西瓜を
頭からかぶる
(ああ 極楽でござる)
なんていいながら
これもひと夏の思い出
真珠色の勾玉を
唾液で濡らしていく
僕らは気

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夏至 【詩】

夏至 【詩】

満員電車の中で
ドアにへばりついていると
花火が上がるのが見えた
紅い火花 青い火花
やがて
ほんのりと火薬の匂い
吊り革が海藻のように揺れた

そういえばあのビルの近くで
陥没を見かけたことがある
地球がへこんだのか
隕石でへこんだのか
過去と未来が
傷口から溢れ出し
その支流のひとつが
僕らのアパートにも流れ込んだ

(真っ昼間から
 北方訛りの犬が吠えている
 真夜中
 ハバロフスクからコン

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ポーランド訛り 【川柳/自由律俳句】

ポーランド訛り 【川柳/自由律俳句】

夢のない電柱に蝿がたかる

ブラジルはこの経度から折れ曲がる

黴だった頃の記憶がよみがえる

饅頭で塞がれている東口

触角を日傘で隠す

十九歳はリチウム電池の煌めき

ゼンマイがほどけたままの火取虫

空耳を声に出したら蒼ざめる

荻窪を三葉虫で埋め尽くす

あざらしの顔になるまで町歌斉唱

知事室のどの柱にも藁人形

途方もない未来から来た蟷螂

毟られた者らが歌う手毬唄

墓裏で飲まされ

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真昼の丘 【幻想詩】

真昼の丘 【幻想詩】

真昼の丘では
神々も
愚かになるらしい

蜜蜂が集まって
円を描きはじめる

(おもしろいものだ)

(どれどれ)

待ち切れずに
何かがはじける音
鼻が割れ
目玉が浮き出し
頬骨が歪んでいく
醜い神さまたちが
蜜を垂らしている

(黴だったり 
 泡だったり ダニ
 だったりした 神さま
 かつては
 辣油だったりもした神さま)

じゅうじゅう焼かれている
香ばしい匂いがみちる
味噌までがこんが

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東北東 【短歌十首】

東北東 【短歌十首】

黒数珠を擦り合わせては釈迦牟尼の喉に刺さった小骨が痛む

三点で星を支えるマリオから筋肉の声地鳴りのごとく

パーティーはまだ終わらない白鳥が一羽残らず灰になるまで

大深度地下から一夜鳴り止まぬママンの悲鳴パパの足音

回転を止めないブルータスお前も同調してマリオネット

隕石が地面に刺さり燃えている突然終わる映画のように

閏日に溺れていたい昼下がり回転扉の向こうのひかり

オフェリアを演じる

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『さみしい夜の句会』第3集 発売中です

『さみしい夜の句会』第3集 発売中です

『さみしい夜の句会』第3集(月波与生編、満天の星発行)が発売されました。

この句集は、川柳人の月波与生さんがX(旧Twitter)上で主催しているネット句会「さみしい夜の句会」の参加者による合同句集です。年1集ずつ発行され、今年は第3集とのことですが、私は今回、初めて参加しました。「さみしい夜の句会」に投稿し、割と評判がよかった作品を中心に、川柳20句を自選し、掲載いただいています。

この句集

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ふわとろ 【詩】

ふわとろ 【詩】

パン屋さんのはらわた
つかみます

その感触
おどろおどろ

ぎゅっと
つかみます
ふわとろ ふわとろ

(うしろの作業場でよい匂いがいたします)

水曜日のひるま
あまたたび
どんちぇりーの呪い
ほどきたく
パン屋さんのはらわた まっさらに
剥いてゆきまする

どろどろしています

この
ふじょうのみやこ
ほどかんと
パンぐりらの旅路へつかんとするに

(こんどの品評会 参加されますか)

(ま

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王 【詩/現代詩】

王 【詩/現代詩】

足の裏から
畳の目 よく見えて
いとおかし

額の穴から
天井裏 よく見えて
いとおかし

尾骶骨の割れ目から
プレアデス よく見えて
おかし
イバラードの都 見わたして
おもしろし

五年ぶり
羅漢さま 詣でました
みな
タテヤマの方 見ておりまして
片眼つぶったり
脚 上げたりして
あかときのほう 見ていましたら

うましあしかびひこぢのかみ
とりのいわすくふねのかみ
いもはやあきつひめのかみ

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犬時間 【川柳15句】

犬時間 【川柳15句】

尼寺で消える魔球を投げていた

ソムリエの触れた時空が歪み出す

少年の大志が曲がる磁力線

新民法はマラルメの香り

市役所で擬似炭酸を飲まされる

最初からひょうたんだった信号機

カザフスタンの尾が痺れている

観念が薄っすら見える水時計

金星が近づいている鑑真忌

浦島の野望が見える熱海城

エネルギー保存したまま消える夢

異教徒が残していった笠地蔵

柴犬に読んで聞かせる太閤記

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