汐田大輝

変幻するネット文芸家。詩(自由詩)や短詩(俳句や川柳等)を投稿します。電子版詩集『方位…

汐田大輝

変幻するネット文芸家。詩(自由詩)や短詩(俳句や川柳等)を投稿します。電子版詩集『方位のない街』を公開。→ https://romancer.voyager.co.jp/?p=324683&post_type=nredit2

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電子版詩集『方位のない街』を公開しました!

デジタル出版ツール Romancer(ロマンサー)を用いて詩集『方位のない街』を作成し、無償公開しましたので紹介します。事実上の私の第一詩集(^^;)となります。電子書籍で…

汐田大輝
4か月前
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窓の明るい部屋 【川柳/俳句】

妖怪になりかけている生つくね 廃校のところどころに鹿の骨 学び舎に曲がった爪を捨てにいく 美容師の背後からザリガニの群れ 治りかけの偏頭痛たんぽぽを揺らす メー…

汐田大輝
1日前
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円 【詩】

さいきんは 社会というものに興味をなくして 円を描いています 裏庭にきつねがおりましてね よく化かしに来たものでしたが もう 愛想を尽かされました 竹藪がざわざわす…

汐田大輝
2日前
59

高地は晴れている 【詩/環境文学】

さわやかな朝 吹き抜ける風 (今日も夏日の予想) こころをしずめて 明るい丘陵を崩していく 予想外にねじれていた 銀色のフォーク (黄身に溺れていく) 鳴動つづく…

汐田大輝
4日前
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マルゲリータ 【詩/現代詩】

見えない矢が かたちのない速度が 光の束になって (どきゅん どきゅん) 純正の イロガミである マルゲリータ 君を 切り刻んで バラバラにして 空いちめんに 散ら…

汐田大輝
8日前
71

孤独な散歩者の午後 【写真詩】

汐田大輝
11日前
73

花の下 【詩】

火曜日 満開だった 自動車整備工場の裏 市役所も知らない 名所に ことし最後の 花が咲き 壊れかけた橋があった (願わくは…) 絵の中の舟が 近づいていた 砂底を櫂…

汐田大輝
13日前
80

みだらな鳥 【川柳15句】

腹這いで歌えイスラエル国歌 寒そうなブロッコリーに下駄はかす ゆうべからクレオパトラの鼻がない ヒロユキの指が落ちていたベンチ 滋賀県のどこもかしこもケモノミチ…

汐田大輝
2週間前
76

測量 【詩】

まみやりんは 電柱に張りついたまま すれ違っていく電車を 眺めていたものだった それは ある初夏のこと 奇声をあげて走っている連結器の束が 急カーブで触れ合っていた …

汐田大輝
2週間前
76

円環 【詩/現代詩】

少しずつ 始まりに 近づいている (君もその一部なのだから) 朝になると 数知れない鳥が 空を真っ白にする 一つとして覚えていない名前たちの くり返されるさえづり  …

汐田大輝
2週間前
84

世界 【詩/ショート神話】

1. この世界がまだ クリームスープだった頃 神々の夢は かたちを持たなかった オノマトペの豪雨は果てしもなく 顔のない妖怪みたいだった 2. この世界がまだ やわらか…

汐田大輝
3週間前
86

ケー子先生 【詩/現代詩】

僕らの州都は 地面から 3メートルは低かった 晴れの日でもうす暗く 気温は かがんだまま推移した (あの夏の先生は変だった) いつからか モグラというあだ名がついた僕…

汐田大輝
3週間前
92

水瓶座 【川柳15句】

爪先から滲み出すマラカスの蜜 刑務所をさまよっている水瓶座 ウミウシの未来を語る主要五紙 狐狸たちの三々九度に投企する 歌舞伎座の絢爛に似るあわび貝 春風に舐め…

汐田大輝
4週間前
79

ゆでたまご 【幻想詩】

春うららかな一日 街じゅうの頭の中が ビー玉のように鳴っている おかしなすり鉢の中に入れて かき混ぜているみたいな音 春が煮え立つような一日 街じゅうの頭の中が あぶ…

汐田大輝
1か月前
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京都 【詩/現代詩】

ブリキのアパートをくぐり抜け 藪医者の表札をやり過ごせば お屋敷の並ぶ界隈 お寺も神社もないけれど (京都がある) 初めて乗った自転車で 碁盤の目をめぐり 突き当た…

汐田大輝
1か月前
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マンドリン 【川柳15句】

水色のソナタ聴こえるマクワウリ みずうみに首のびていく暖かし 風船みたい豆腐屋の頭蓋骨 春の風邪水飴になっていく耳 偽博士の蜜あふれ出すマンドリン 自転車の蜂蜜…

汐田大輝
1か月前
74
電子版詩集『方位のない街』を公開しました!

電子版詩集『方位のない街』を公開しました!

デジタル出版ツール Romancer(ロマンサー)を用いて詩集『方位のない街』を作成し、無償公開しましたので紹介します。事実上の私の第一詩集(^^;)となります。電子書籍ではありますが、紙の本と同じような感覚で読むことができますので、ぜひご覧ください。

以下に、この書籍の「まえがき」を転載します。

まえがき

素性不明のデジタル文芸家、汐田大輝の第一詩集です。

この詩集は、作者がこの2年間に

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窓の明るい部屋 【川柳/俳句】

窓の明るい部屋 【川柳/俳句】

妖怪になりかけている生つくね

廃校のところどころに鹿の骨

学び舎に曲がった爪を捨てにいく

美容師の背後からザリガニの群れ

治りかけの偏頭痛たんぽぽを揺らす

メーデーの喉に絡まるプラレール

折り返し地点が眠い隅田川

山火事の焦げ目が残る越後獅子

母の日の古傷に塗るマーガリン

稜線が消えかけているうなぎパイ

バランスを失っている桃の花

窓の明るい部屋のハラスメント

素のままで凍

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円 【詩】

円 【詩】

さいきんは
社会というものに興味をなくして
円を描いています

裏庭にきつねがおりましてね
よく化かしに来たものでしたが
もう 愛想を尽かされました
竹藪がざわざわする頃には
ただ円を描いています

謡もやめましたが
まあ ときどき
円を吟じています
愛想のカケラもないところがいい
ただ 記憶はしておりません
何ひとつ覚えていないのです
漢詩だったと思いますが...

ああ眩暈がしてきた
もう寝ま

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高地は晴れている 【詩/環境文学】

高地は晴れている 【詩/環境文学】

さわやかな朝

吹き抜ける風

(今日も夏日の予想)

こころをしずめて
明るい丘陵を崩していく

予想外にねじれていた
銀色のフォーク

(黄身に溺れていく)

鳴動つづく火山の周辺
野いちごの水があふれる
何とも清冽な香りがして

(今日も夏日の予想だ)

ネバーランドで過ごす
半月の休暇

さわやかな朝

眠たげな風

山野草の香りが
沁み込んでいく空気
バレンシアオレンジが
押し流していく

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マルゲリータ 【詩/現代詩】

マルゲリータ 【詩/現代詩】

見えない矢が
かたちのない速度が
光の束になって

(どきゅん どきゅん)

純正の イロガミである
マルゲリータ 君を
切り刻んで バラバラにして
空いちめんに

散らす 舞わす…

(つないでおいてくれよ)

夕べ
カフェーで見かけたのは
青く 赤く ひかる
マルゲリータ
丸く 四角く 三角の
おがクズのかおり
楕円のものには 焦点が合わない
ねえ マルゲリータ

(グッとくるね)

ちょいと

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花の下 【詩】

花の下 【詩】

火曜日

満開だった
自動車整備工場の裏

市役所も知らない
名所に
ことし最後の 花が咲き
壊れかけた橋があった

(願わくは…)

絵の中の舟が 近づいていた
砂底を櫂が這っている
ミドリガメが流れている

(僧侶が立っていた橋
 陽炎のように薄い
 煩悩を 燃やしている)

夢に見た花が
ミラーにさわる

(願わくは 花の下にて)

自転車が右に曲がる

川に映った花がミラーに映る

川底を

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みだらな鳥 【川柳15句】

みだらな鳥 【川柳15句】

腹這いで歌えイスラエル国歌

寒そうなブロッコリーに下駄はかす

ゆうべからクレオパトラの鼻がない

ヒロユキの指が落ちていたベンチ

滋賀県のどこもかしこもケモノミチ

留萌市のカーブミラーが哭いている

向日葵が喰わされている菜葉飯

純金の部屋で魯迅に囲まれる

ヘーゲルがみだらな鳥になる正午

口下手な弁証法が美しい

満月に哭かされているエルサレム

ハンマーで叩かれている真珠湾

天上

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測量 【詩】

測量 【詩】

まみやりんは
電柱に張りついたまま
すれ違っていく電車を
眺めていたものだった

それは
ある初夏のこと
奇声をあげて走っている連結器の束が
急カーブで触れ合っていた
土曜日の午後

先っぽが蛇のカタチの
曲がった杖を持ち
枕木がもつれ
不思議にふわふわする地面
路線図の半分が
赤っぽく光り
通りすがりの車輌に
合図を送っている
高低が狂って
黒い荷物がよろけている
地図をめくったら分岐する羽音

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円環 【詩/現代詩】

円環 【詩/現代詩】

少しずつ
始まりに
近づいている

(君もその一部なのだから)

朝になると
数知れない鳥が
空を真っ白にする
一つとして覚えていない名前たちの
くり返されるさえづり

 日がさす

    日へ病む

あの鳥たちはどこから来たのだろう
いつも気分がよいフリをして

(君もその一部だが)

中心は深い靄
雲が不安気に身を寄せて

「今朝 神通川に
洗濯物を干しに行ったら
◯の姿をした神に出会ったわ

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世界 【詩/ショート神話】

世界 【詩/ショート神話】

1.

この世界がまだ
クリームスープだった頃

神々の夢は
かたちを持たなかった
オノマトペの豪雨は果てしもなく
顔のない妖怪みたいだった

2.

この世界がまだ
やわらかなスパゲティだった頃

バター漬けにされた
頭や指
眼や鼻や唇
喉元に心臓
毛むくじゃらの胴体や
脚の爪の先までもが
あぶらの臭いをさせて
原初の海に呑まれていった

3.

この世界がまだ
山盛りのアスパラガスだった頃

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ケー子先生 【詩/現代詩】

ケー子先生 【詩/現代詩】

僕らの州都は
地面から
3メートルは低かった

晴れの日でもうす暗く
気温は
かがんだまま推移した

(あの夏の先生は変だった)

いつからか
モグラというあだ名がついた僕は
ダウンタウンで
気まぐれによじれていた
モグラのお腹は ずっしりと重く

(光よ)

先生は
気まぐれに
僕を踏みつけた
息子は 眼を瞑ったまま
地面を見上げていた

(1988年夏 あの頃のランチは
 毎日がハンバーグ
 

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水瓶座 【川柳15句】

水瓶座 【川柳15句】

爪先から滲み出すマラカスの蜜

刑務所をさまよっている水瓶座

ウミウシの未来を語る主要五紙

狐狸たちの三々九度に投企する

歌舞伎座の絢爛に似るあわび貝

春風に舐められているムール貝

第三の眼を移植した明石焼

指揮官の左右に侍るウナギメシ

妖精が市民プールに紛れ込む

ヨーヨーに改造されたハイヒール

神々が乱高下するオリンポス

三畳紀ジュラ紀白亜紀トランプ忌

諮られて月影になるさ

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ゆでたまご 【幻想詩】

ゆでたまご 【幻想詩】

春うららかな一日
街じゅうの頭の中が
ビー玉のように鳴っている
おかしなすり鉢の中に入れて
かき混ぜているみたいな音

春が煮え立つような一日
街じゅうの頭の中が
あぶらでいっぱいになる
ゆれている舟は
うえへしたへと波打って
太陽の膨らんだところから
とぷん とぷんと
あの子のスカートに忍び込んでいく
油虫が一匹

それからはもうずっと
奇妙な音が聞こえている
ベッドにころがった君のお腹の中で

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京都 【詩/現代詩】

京都 【詩/現代詩】

ブリキのアパートをくぐり抜け
藪医者の表札をやり過ごせば
お屋敷の並ぶ界隈
お寺も神社もないけれど

(京都がある)

初めて乗った自転車で
碁盤の目をめぐり
突き当たりは小学校の校庭
学校に行かない子どもたちが遊ぶ

(ここにも京都がある)

花壇に夏蜜柑の種を蒔き
30センチくらい育ったところで
校舎が傾きはじめた
扇風機の羽根が毛虫みたいに鳴く

(ここにも京都があった)

十字の街路に佇ん

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マンドリン 【川柳15句】

マンドリン 【川柳15句】

水色のソナタ聴こえるマクワウリ

みずうみに首のびていく暖かし

風船みたい豆腐屋の頭蓋骨

春の風邪水飴になっていく耳

偽博士の蜜あふれ出すマンドリン

自転車の蜂蜜漬けを売る露店

逆さまの戦車になっていくチューバ

傷病兵が転がっている春の土

春が来て明日が来ない兎跳び

テンパって蝶になりたい視力表

眼帯をはみ出している糸みみず

悪徳の限りを尽くせ春の風

透明な殺意を秘めて星朧

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