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『さみしい夜の句会』第3集 発売中です

『さみしい夜の句会』第3集(月波与生編、満天の星発行)が発売されました。

この句集は、川柳人の月波与生さんがX(旧Twitter)上で主催しているネット句会「さみしい夜の句会」の参加者による合同句集です。年1集ずつ発行され、今年は第3集とのことですが、私は今回、初めて参加しました。「さみしい夜の句会」に投稿し、割と評判がよかった作品を中心に、川柳20句を自選し、掲載いただいています。

この句集はいわゆる川柳句集ではありません。川柳だけでなく短歌、その他エッセイなども掲載されている短詩集です。月波与生さんは川柳人ですが、「さみしい夜の句会」ではジャンルを制限しておらず、短歌でも川柳でも俳句でも、あるいは短い自由詩であっても投稿が認められています。この間口の広さと敷居の低さに引かれてネット句会へ投稿するようになり、さらには現代川柳の世界へ足を踏み入れることにもなりました。

約2年前、句会に投稿を始めた時には、主催者が川柳人であることにさえ気づいておらず、俳句(だと自分では考えていたもの)を投稿していました。一方で、投稿していた作品は、当初から川柳であると受け止められていたふしがあります。いくぶんかアヴァンギャルドの風味をただよわせてはいましたが、有季定型の俳句と思われる作品に対して川柳関係の方からの感想のコメントがつくことがあり、新鮮な印象を受けました。たとえば、初期の頃に投稿し、わりと評判がよかった作品に次のものがあります。

  花いちご地球の中はシュークリーム

おそらく、伝統俳句の界隈では好まれないような気がするこの作品が、川柳関係者には評判がよかったことで、自分でも意識して川柳作品を投稿してみようと思うようになりました。そこで、川柳と俳句あるいは自由律俳句の違いを調べてみたのですが、よくわからず、結局、ジャンル不明の短詩は川柳だと考えればよいという結論を勝手に出して、今日まで来ています。

しかし、現代川柳に近づいていく過程でわかったことがあります。川柳には、大ざっぱにいって、現代川柳(文学性の強い川柳、ネオ川柳ともいう呼び名もある)と属性川柳(サラリーマン川柳やシルバー川柳など、世間一般での川柳イメージに近いもの)の二つの系統があり、この両者は似て非なるものであるということです。個人的な感想ですが、両者の距離は俳句と川柳の間にある距離よりもはるかに遠いように思えます(※注)。現代川柳と属性川柳の違いは一読すれば明確にわかります。私自身は現代川柳に親近感を抱いており(というか、属性川柳には全く興味関心がなく)、現代川柳を短い現代詩、あるいは言葉による現代絵画のように捉えて作品をつくっています。

話が逸れてしまいましたが、この合同句集、川柳も短歌もレベルが高いです。私好みの先鋭的な作品が並んでおり、現代川柳のトップランナーの方々も投稿しています。Amazonからも購入できますので、お買い求めいただくことをお勧めします。

最後に、余計かもしれませんが、私の掲載作品から3句抜いておきます。

  過呼吸の豚が真っ赤な空に似る

  方舟に乗り換えるとき眉を剃る

  巡回の女医から狂い出す神楽

※注  
 現代川柳をマイノリティの文学、属性川柳をマジョリティの文学とする見方があります。拠って立つ基盤が違うということですね。


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