南天鉄塔

けたたましい振鈴の音は、目を開けると聞き慣れた素っ気ないアラーム音に変わった。重い腕を伸ばして音源を探る。 戻った静寂とひんやりとした風が心地よい。 風に踊らされるレースカーテンの隙間から、鼠色の空と鉄塔がちらちら見える。今日も頑として在る鉄塔。猛吹雪や雷に激しく打たれようが、…

ビヨンドー117

雪の降る家

「やはりこちらの物件は独身のお客様に人気ですね。 広くて駅も近いですし、終の棲家としては完璧に近いんじゃないでしょうか? 短所といえば……まあ郊外のマンションで最上階となりますと、ハトやカラスの害がたまに報告されるくらいですかねえ。 しかしここまでバリアフリーの設備が整っていてこ…

「来る」監督:中島哲也/2018

こんなお話幼少期に謎の怪物“ぼぎわん"に遭遇した田原秀樹。 社会人になって、家庭を持った彼の元に謎の訪問者が現れて以来、彼の周りで不可思議な怪奇現象が起こる。 レビュー公開当時、賛否両論があったという本作。 中島哲也が撮るホラーって、さてどんなものなのか・・・。 で、蓋を開けてみた…

日常に蠢く胡乱なもの DAY23

ある日のビニールハウス(その中では本当に農作物が育っているのだろうか・・・) 近所の人の会話 近所の人A:「最近吉田さん見ませんね。」 近所の人B:「畑も放置ですしね。」 近所の人A:「そういえば、         あのビニールハウスって                         何を作ってた…

六年生になった初日に、B先生が言った。 「皆さんに、A先生からプレゼントがあります」 「A先生」は、去年の担任の先生だ。髪が少し茶色なのがとても印象的で、触ったら崩れそうなくらい弱い先生だった。 「皆さんの毎日が楽しくなるように、だそうですよ」 そう言いながらB先生は机の上に猫の置物を置…

いないいないばぁ

随分前の話だそうだ。Iが住むアパートに幼い子供を育てるシングルマザーがいた。物静かな女性ではあったが、よく子供を連れ近くの公園で遊んでいる姿を見た。Iさんも父がおらず、母一人で育ててもらった。その親子を見かける度に、自分の幼い頃を思い出し懐かしさを感じていた。子供も楽しそうに遊んで…

赤川次郎の、復刊が熱い①

黄色ネジです。今日は趣向を変えて久しぶりに本の紹介をしてみようと思います。みなさん、最近良い本に巡り合えましたか?今日ご紹介する本は、赤川次郎先生(以下赤川先生)の『黒い森の記憶』です。この不朽の名作が2018年に復刊されたので、改めて未読の方にオススメしたいと思います。それではいっ…

夏のキャンプ1 思い出(実話)

私が小学生6年生の夏。おやじの会というPTA的な組織の集まりでキャンプに参加したことがあった。 学校の友達とお泊まりするなんて当時の私には特別なことだったし、さらには合法的に夜更かしが許可されるなんて夢のようなイベントだった。 家から1時間ほど車に揺られつつ、途中のスーパーで食材を買っ…

レモンコミックスよ永遠なれ【其の一】

★レモンコミックス ★立風書房の怪奇漫画レ  ーベル名 ★正式名称  株式会社立風書房 ★読みは「リップウ」。  「たちかぜ」に非ず。 ★一九六十六年十一月十  九日、設立。 ★別シリーズに怪奇系児  童書のジャガーバック  ス有り。 ★此方はハードカバー。ひばりに続き、レモンコ ミックスよ…