【連載小説】蜘蛛の手を掴む<第十一話>
大儀見鷲子の電話とヒラカタの真相 音丸は着信をうまく取れない。両手が左手に、しかもどちらも女性の手という使いにくいったらない、と冗談もいいたいところだった。電話の相手は、大儀見鷲子だった。メディカルルームで治療中のはずだったが、と音丸は訝し気に電話を取った。
「どうしました?」
「音丸、菜緒さんは?」
「ここにはいないんです」
「どうして?」
「瞬間移動の呪現言語を使いまして…」
状況のわからない鷲子にイチから説明するのは疲れる、音丸は心身ともに疲弊していた。
「立木陵介の