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06)妙な義理立て

会社員を辞めて、フリーランスになると決めた日。土曜日だった。妻からの勧めもあったが、まさか本当に独立するとはと。それは私もそう思ってる。

特に仕事が決まっていたわけでもないが、独立するとSNSにアップしたら声をかけてくれた会社が数社。いまでもその会社とは取引している。そのなかで声をかけてくれたある方「A」さん。Aさんから、ツテがあるのでいくつか紹介してあげますよ、と。

Aさんとは私がクライアント時代の外部スタッフ。少し仕事で絡んだことはあるが、立場的には私はAさんの会社の代表と会話する立場。なので、強い絡みはなかった。

Aさんは、いいひとで、独立の心構えやお金のことなんかを語ってくれた。紹介できるデザイン会社や個人の方をいくつか見繕ってもらった。

紹介してもらい、そののち各社・個人事業主にご連絡。ほぼすべての紹介先に会うことができた(オンライン含む)。出だしは良好、7社ぐらいあるが1社でもつながりが持てれば御の字。

だが、結論としては仕事につながったのは0社。

当時、この紹介がキーで、やっぱり独立見合わせようという気持ちが芽生えても引っ込めざるを得なかった。自分勝手だけども、紹介までしてもらって「やーめた」ではAさんの信用問題にもつながる。

しかし、現実は紹介先は何とも思っていないのだ。

直接お会いした方は、「この案件出しますね」と言ったきりの会社もいれば、会う前日に「体調不良で…」と言ったきりの方も。この紹介からは何も生まれなかったし、大人の対応としては微妙な方もいた。

つまり、紹介は紹介してくれる人を選ばないとだと思う。誰でもいいから紹介しては論外だが、だれから紹介を受けるかが最重要。

ここでポイントなのが、デザイン・ライティングといった制作周りでない方からの紹介だ。Aさんも「デザイン・ライティング」といった版下制作チームではない。

いわゆる、門外漢からの紹介は慎重にというのが私の教訓。オカンに「隣の〇山さんが、チラシ作ってって言ってたで」みたいなものと思うようにしている。話を聞くと、タダ同然ならチラシ作ってほしいとか、写真撮ってほしいとか、ロゴも費用に巻き取って作ってほしいとか。そういう話になること多くない?門外の方からの紹介は、制作の大事なところ・勘所がわかってないから、「この人を紹介してもいいかどうか」の判断は私が思うところよりズレている。

つまり、あまり合わない人を紹介されるってこと。趣味の合わない友達にコンパに誘われた時の、その先にいる人たちともやっぱり合わない、あの感じ。例えが微妙ですが、そういうこと。

紹介自体は悪くない、門外漢からの紹介もいいだろう。誰に紹介されたかで期待値は変わるということ。そして、紹介された相手も別に義理立ててで顔立てるために会ってくれたりするのだから、期待値はあまり高くもたないこと。これが大切ですね、改めて。

紹介して「あげる」みたいなものに対しては、実は相手も迷惑に思っていることもある。だから、妙な義理立てはいらないな、というのが私の実感です。紹介してもらったからって、「やっぱ、フリーランスになるのをやめて、会社員にもどるわ」という選択肢、これは捨てる必要はなかったなと。そういう意味でタイトルにもあるように「妙な義理立て」はいらんですね。

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