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【ほっこり読める小説】塩のサジ

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オリジナルの小説を書こう!と長年の夢を形にしました。「塩かげんのサジかげん」と題し、省略して「塩のサジ」。10分程度で読めるショートショートをベースに書き連ねていきます。まずは、… もっと読む
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記事一覧

【短編小説】最初から、好きだったふたり

「吉野くんのことは嫌いじゃないけど、恋人っていうか付き合うっていうのは、なんというか」 …

塩かげん
11日前
20

冷蔵庫のプリン【第5話】

【疑問六・前田徹はなぜ殺害されたのか?そして、だれに殺害されたのか?】 「副島崎さん、こ…

塩かげん
2週間前
10

冷蔵庫のプリン【第4話】

 冴島奈央子が男だと?吉澤は小田切の突拍子もない仮説にあきれ返っていた。  車が署に着い…

塩かげん
2週間前
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冷蔵庫のプリン【第3話・改稿】

 剛堂大学は学生数五千人規模の小さな大学だ。学部も三つ。文学部・経済学部・理学部。  学…

塩かげん
2週間前
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冷蔵庫のプリン【第2話・改稿】

 前田徹・二十二歳、剛堂大学文学部二回生。山岳クラブが山林で見つけた若い男の遺体と前田徹…

塩かげん
3週間前
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冷蔵庫のプリン【第1話・改稿】

【あらすじ】 大学生の坂木優斗は一人暮らし。ある日冷蔵庫に買った記憶のないプリンがあった…

塩かげん
3週間前
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【短編小説】埋める、悪党

 どうにもこうにもおっかねぇ。小学校の通学路にまた、ひび割れができていやがる。  独り言が呼吸するように出てくる井坂玄治はこの道三十年のベテランだ。腰に巻いている道具入れには、時間パテと角ゴテだけだ。左官屋から埋め屋に仕事替えしたのは、時代の流れだ。だから厳密には左官屋二十九年、埋め屋一年の経歴。埋め屋になってからの方が、施主にゴタゴタ言われることもない。  その辺の道端の時間ひび割れならをパテ埋めして、二万円。半日仕事で市から支給される。時間裂け目なら、丸二日仕事だ。時間

昼メシな総務課【第一話・サムギョプサル】

 会社の総務部総務課はいわゆる掃きだめのような部署だ。一線から退いたというと聞こえがいい…

塩かげん
2か月前
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昼メシな総務課【第二話・餃子】

 前回アップした総務課動画はそれからも伸び続け、一週間も経った頃には二十三万回再生で落ち…

塩かげん
1か月前
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【短編】隕石に、眠る

 不治の病って、ふじの病なのか、ふちの病なのか。どっちかなんて、まぁ今考えても仕方ない。…

塩かげん
1か月前
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【短編】ノート

 先に入ってて、と言われて居酒屋に一人で入るのはなんだか嫌な気分だ。もう三十三にもなるん…

塩かげん
1か月前
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【短編小説】となりのスニーカー

 俺のモノじゃない靴が玄関に一足。吉村はじっと靴を見た。俺のじゃない。なぜウチの玄関にあ…

塩かげん
2か月前
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【短編小説】ただ、恐ろしい

 池田優作の平日は職場と家の往復だ。自転車で通勤できるほどの距離だ。片道自転車で十五分、…

塩かげん
2か月前
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【短編小説】夢見る家族

 六月八日(木)、午前十時  田辺健一はスマホの着信音で目覚めた。会社からだった。そのまま、電話をとらずにいると、一時間のあいだに何度も何度も電話がかかってきた。それでも健一は起きなかった。今日は二ヶ月間準備を進めてきたプレゼンの日だった。    腹が減った、寝続けてもう午後二時を回っていた。昨日はプレゼンの準備も終わって、残業もなかったからぐっすり眠れた。こんなに寝たのは何ヶ月ぶりだろう。しっかし、汗でびっしょりだ。    六月八日(木)、午前十一時 息子の田辺弘樹は目覚め