近藤亮太

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最近の記事

怪至考⑥<恐怖音声>はこわいという話

「ほんとにあった呪いのビデオ」シリーズにはいくつかの系統の映像にジャンル分けできるのだけど、このうち俗に「音声系」と呼ばれる(僕が勝手に呼んでいる?)映像がある。 最近はわからないけれど、初期「ほん呪」には音声系の映像が時々収録されていた。 例としては、「誕生日(「ほんとにあった呪いのビデオ7」)」や「ニューロシス(「ほんとにあった呪いのビデオ15」)」なんかがある。 あるいは、有名なかぐや姫の「わたしにもきかせて」のテープ音源なんかもこれに類するものになると思われる。

    • 怪至考⑤「人怖」は怪談なのか?

      YouTubeチャンネルの「オカルトエンタメ大学」が言及していてちょっとおもしろいな、と思った件。 漠然とした線引は各自がしているだろうけど、果たしてどうなんだろう?と考えてみた。 当初、個人的な定義としては「人怖」は「怖い話」ではあるけれど、「怪談」ではない、という感覚が強かった。 読んで字の如く「怪」についての話であるべきで、「人怖」は基本的にそこに「怪」が入り込む余地はあまりない。 「怖い話をしよう」という場において「人怖」が一つのジャンルとして確立されており、そこ

      • 怪至考④『コンジアム』心霊体験の主観と客観

        POVホラーというジャンルの映画は、少なくとも『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』以降、かなりの本数作られてきた。 厳密に言えば「POV」自体は撮影の手法であり、もっと言えば別に「ビデオカメラで登場人物が撮った映像」のみを指すわけでもなく、「主観映像」であればすべて「POV」といって問題ないはずではあるけれど、現在ではほぼ「劇中人物が撮影しているカメラ目線」という意味で差し支えないと思う。 人間食べ食べカエルさんが『コンジアム』の上映を企画し、チケットが無事規定枚数以上売れ

        • 怪至考③肝試しと『怪談新耳袋 殴り込み』と『ゾゾゾ』

          肝試しが好きだ。 正確には心霊スポットを訪れるのが好き、ということなのだけど、多くの人にとってはそれを肝試しと呼ぶのだろうし、なのでわかりやすさを取って、以下、全部「肝試し」として統一する。 大学時代、『怪談新耳袋 殴り込み』(豊島圭介監督,2008年)をツタヤで新作レンタルして鑑賞した。 わざわざ観たのは、当時ドラマ版『怪談新耳袋』を割と熱心に追いかけていたのもあるし、崇拝していた清水崇監督も出ているらしい、という情報や、犬鳴トンネルに行ったらしい、という情報をどこかで

        怪至考⑥<恐怖音声>はこわいという話

          早稲田大学映画サークル上映会@早稲田小劇場どらま館

          はじめに 2022年5月4日。早稲田大学どらま館で行われた映画サークル上映会に行ってきました。 僕が観たのはDプログラムの4作品。 以下、各作品の感想を残しておこうと思うのですが、その前に言い訳というか前置きをしておきます。 自主制作映画に対しての感想って、ある程度良かったところを当たり障りない感じで褒めておけば、作った人たちもそれなりに気持ちよく、書いた本人だって感謝されるかもしれません。 ぶっちゃけ上から目線で批判めいたことを書かれて「なるほど」と思う人なんてどのく

          早稲田大学映画サークル上映会@早稲田小劇場どらま館

          怪至考②考察系怪談について

          考察系怪談というジャンルがある。 いや、明確にどこかでそのジャンルが体系化されたわけではないと思うのだけど、ここ何年かの怪談やオカルト系の界隈を見ていて、「考察」ということが重要視されていると感じる。 その証左か、吉田悠軌氏の『現代怪談考』が2022年に出版されている。あるいは、ホラー作家として雨穴さんが『変な家』をベストセラーにし、書籍・ドラマ・映画とどんどん活躍の場を広げているし、YouTubeでは『フェイクドキュメンタリーQ』が考察要素のあるホラー作品としてヒットし

          怪至考②考察系怪談について

          怪至考①語るほどでもない怪談

          <怪談そのものではなく、怪談にふれる中でとりとめなく考えたことの備忘録。> 大学時代に福岡に一人で旅行に行ったことがある。 普段一人で飲むことなどないのに、気持ちが大きくなった僕は飲み屋に入り、そこで知り合った青年と話をした。 僕がホラー映画や怪談の類が好きだと話をして、自分の見聞きした怪談を1,2つほど語ると、彼も自分が聞いた話を教えてくれた。 彼の大学の先輩が、心霊スポットだという海岸に肝試しに行った。 先輩の車に4,5人で同乗し、しばらく海岸付近をはしゃぎながら歩

          怪至考①語るほどでもない怪談