秋田柴子

一人BARが趣味の物書きわんこ(SS~長編) 東京新聞300文字小説優秀賞、小学館「第…

秋田柴子

一人BARが趣味の物書きわんこ(SS~長編) 東京新聞300文字小説優秀賞、小学館「第2回日本おいしい小説大賞」最終候補、Panasonic×note 思い込みが変わったことコンテスト企業賞、第31回やまなし文学賞佳作→作品集として書籍化。餃子とピザとあんこが好物。

マガジン

  • Web Novel Labo

    • 105本

    noteで出逢った素敵な作品、創作者の背中を押してくれるようなエッセイ、お気に入りの記事などをまとめたマガジンです。【小説Tips】【コンテスト・企画情報】に分類されないものを追加しています。

  • Web Novel Labo【小説Tips】

    • 124本

    noteで出逢った小説・創作に役立つ記事をまとめているマガジンです。

  • #創作大賞2024 エッセイ・感想文

    #創作大賞2024に参戦したエッセイ、及び他の方の作品を読んだ感想記事を集めてあります。頂いた感想文も収録させていただきました!!

  • 【#創作大賞2024】蒼に溶ける

    『創作大賞2024』ミステリー部門応募作品です! 75000字と長めですが、お立ち寄りいただけたら嬉しいです!!

  • エッセイ・呟き

    思うところをただつらつらと書き連ねた文章です。 真面目なものからくっだらないものまで、いろいろ書いていこうと思っています。

最近の記事

  • 固定された記事

なぜ小説を書くのか ~公募落選の現実と、その先に見えるもの 〈3385字〉

2021年11月11日。 全力を尽くして書き、応募した文学賞に見事落選した。 初っ端から暗い書き出しで恐縮だが、事実だから仕方がない。恥ずかしながら相応の自信はあったのだが、残念なことに結果はついてこなかった。 同様の経験をされた方は、この世界に多くおいでのことと思う。成功を手にできるのは、ほんの一握りの人たちだけだ。 それが判っていても、やはり、書く。 プロアマ問わず、物書きの業とも呼ぶべきものだろう。 「好きなものを好きなように書き散らして、それを適当に投稿したら受

    • ときめきビザ【毎週ショートショートnote】

      『ピッツェリアときめき』は、街はずれにある小さなお店です。 でも客足は今ひとつ。そこで店主はあるアイディアを思いつきました。 その名も「ときめきピザ」。 カップルの客に、カットなしの小さなピザをサービスするのです。そのピザを両端から二人で齧っていくと……ベタな設定が受けたのか、今までの閑古鳥が嘘のようにお店は大繁盛! 「カップルで行くと幸せになれるんだって」 ところが最近は店で喧嘩を始めてしまうカップルもちらほら。 せっかくの評判が台無しです。 困った店主は、家から相棒

      • モンブラン失言【毎週ショートショートnote】

        「失礼ですが、大臣は学生時代からモンブランの万年筆をご愛用とか」 質疑応答で切り込む議員の口調は、ひどく刺々しかった。 対する大臣はまだ若い。過去に総理も輩出したというエリート家系の四代目だ。 「お若い身で平然とそんな高級品をお使いの方に、庶民の暮らしの苦労が判るものでしょうか」 そのとおりだ! と無責任なヤジが飛ぶ。してやったりとほくそ笑む議員に向かって、大臣は穏やかに口を開いた。 「仰るとおりです。実はこの万年筆、今は亡き恩師より当時頂いたものでして」 途端に議

        • まずは本を読むことにした ~公募落選につける薬

          ほほ。まあずいぶんと力の入ったタイトルですこと。 ……と、とりあえず気を抜いてみます。書き手の思い入れが満タンの、眉の吊り上がった文章ほど読みづらいものもないと思うので。 さて、本題。 長編の公募に落ちました。(いや、もう少しイロつけた文章にしろや) 落選なんて毎度のことなんですが、長編が落ちるとですね。これがまたなかなか衝撃がでかいのでございます。 真面目な話、真剣に取り組めば取り組むほど、落ちた時のショックは大きいです。特に長編になるとかける時間も労力も桁違いですか

        • 固定された記事

        なぜ小説を書くのか ~公募落選の現実と、その先に見えるもの 〈3385字〉

        マガジン

        • Web Novel Labo
          105本
        • Web Novel Labo【小説Tips】
          124本
        • #創作大賞2024 エッセイ・感想文
          15本
        • 【#創作大賞2024】蒼に溶ける
          31本
        • エッセイ・呟き
          27本
        • 毎週ショートショートnote 参加作品
          98本

        記事

          誘惑銀杏(ギンナンver.)【毎週ショートショートnote】

          「私を食べて」 ずいぶんと率直な売り文句だ。 俺は無造作にひとつ摘まむと、口の中へ放り込んだ。 ――香ばしくて、美味い。 「私を飲んで」 不思議の国のアリスかよ。 昨今流行りの健康ドリンクの類かと鼻を鳴らす。 ――まあ飲めないこともない。 「私に触れて」 ふん、食べる前はこんな形してるんだ。 白く硬い殻がざらりとした触感を放つ。 ――素手じゃ割れないな。ペンチが要る。 「私を踏んで」 だめだ、それはできない。 こんなとこで堂々とそんな真似ができるか。 「私を踏

          誘惑銀杏(ギンナンver.)【毎週ショートショートnote】

          誘惑銀杏(イチョウver.)【毎週ショートショートnote】

          「……それ、なに」 グラス越しに訊ねると、相手はそれを口に咥えたまま、ふふふと含み笑いを洩らした。 「ひひょほ」 「は?」 相手は指先でそれをつまむと、もう一度口を開いた。 「イ・チョ・ウ」 派手なネイルを施された指先に挟まれているのは、確かにイチョウの葉だ。 「それは判るんだけどさ。何でそんなもの咥えてるの。酒飲むのに邪魔でしょ」 「イチョウの葉って、扇みたいに見えない? 中国かどこかのお姫様が持ってそうな感じの」 「ああ、まあ言われてみれば……」 「で

          誘惑銀杏(イチョウver.)【毎週ショートショートnote】

          この雲の向こうに【#夏の1コマ】

          2024年8月24日、18:30ごろ。 この日の昼間もうんざりするような暑さでした。 所用で出かけた帰り、自宅まであと少しのところでこの雲を発見。 急いで家まで帰りました。 こういう雲を見ると反射的に「この雲の中にラピュタが……!」とか思ってしまいます(笑) この数分後には、差す光の色も雲の形も変わってしまいました。 それまでずっと長い時間、こんな感じだったのに。 曇って、不思議ですね。 この日を境に、ようやく気温が少し下がり始めました。 夏の終わりがすぐそこまで来てい

          この雲の向こうに【#夏の1コマ】

          鋭利なチクワ【毎週ショートショートnote】

          「のりふみ君。今度の我が社の創立記念で配るちくわノベルティ、何か考えておいてね」 女性の上司の依頼に、のりふみ君は驚いて固まりました。のりふみ君の会社はちくわや蒲鉾を作る超有名練り物専門メーカーです。 「無難なものじゃ面白くないから、ちくわが地味で垢抜けない食べ物っていう印象を覆すようなものにしてね。攻めていけ、攻めて」 上司は鼻の穴をちくわのように広げて去っていきました。 「ちくわ型のボールペン、ちくわ型の水筒……だめだ、普通すぎる!」 あんまり普通には思えません

          鋭利なチクワ【毎週ショートショートnote】

          無情会館【毎週ショートショートnote】

          栄光の陰には必ず涙がある。 名も知れぬ街のその会館では、いつも不思議な写真展が開かれていた。 そこには勝者の歓喜も、闘いを制した高揚もない。 ただ果敢に挑み、そして無情にも散った者だけが写されていた。 優勝候補とされながら、よもやの敗退に呆然と立ち竦む姿。 勝利目前に不運な負傷でトラックに転がる姿。 ”あと少し” が届かずコーチの胸で号泣する姿。 世間は勝者をもてはやす。敗者は忘れられ、時に理不尽な中傷を浴びせられさえする。 競技によっては、マイナーゆえにその選手の存在す

          無情会館【毎週ショートショートnote】

          非情怪談【毎週ショートショートnote】

          「それではこれより『非情怪談百物語』を開催致します」 陰鬱な司会の言葉に、暗い部屋に集まった参加者からぱらぱらと拍手が上がる。『非情怪談百物語』は、名前のとおり互いに非情極まりない話を語り合う催しだ。必ずしも霊や怪奇現象の話である必要はない。ただし相手に強い恨みを持っていることが必須条件だ。 「夫が若い女性と不倫して、自分はあっさり捨てられた」 そりゃひでえ、呪ってやれ、などの相槌が飛び交う。 「上司のパワハラで病んだのに、無能と言われて辞めさせられた」 ふざけんな、労

          非情怪談【毎週ショートショートnote】

          あとがきに代えて 創作大賞の感想

          本日、8月1日。 長きにわたる創作大賞2024が、昨日で幕を下ろしました。 (審査の方々はこれからが大変だと思いますが) 秋しばの参戦成績は「長編1本、エッセイ3本、感想8本」。 一昨年はやっつけの短編1本、昨年は不参加だったことを思うと、各段の進歩だったと自分を褒めることにします。特に「感想8本」は日頃なかなかできない試みなので、とても楽しかったです。 お祭りは終わりましたが、よろしかったらぜひぜひ~。 ただ正直に言うと、書くと読むを大量にかつ同時進行でさばくのは、マ

          あとがきに代えて 創作大賞の感想

          #創作大賞感想『白山の蛇』 ひよこ初心者さん

          ご本人がおっしゃるように、この作品は『普通の高校生は人形劇の夢を見る』『ひとりぼっちの高校生は少女の面影を見る』に続く第3話です。つまり三部作の最終話ですね。 (続きが生まれそうな気配ではありますが) 更にご本人がおっしゃるように、前2作を読まなくても、単独で充分楽しめます、はい。 でもですね。 読んで。 前の2作を読んでおいた方が、絶対楽しめます。 もし「前のは読んでないけど、先に第3話読んじゃった」という方は、ぜひ前に戻ってみて。 そうするとすでに読み終えた第3話の

          #創作大賞感想『白山の蛇』 ひよこ初心者さん

          【毎週ショートショートnote】見たことがないスポーツ:夫(お)リンピック

          4年に一度の平和の妻点、夫リンピック。 家庭内の平和を保つとされる夫の家事育児スキルを競う熱き戦いだ。 「あーっ! 出ました、大外刈り! ニカタハラ選手の得意技です!」 優勝候補のニカタハラが、鎌と軍手で草ぼうぼうの庭へ躍り出て瞬く間に草を刈り終えた。 「いやぁ、見事な一本ですねえ」 「はい、素晴らしい高得点が出ました。庭仕事は負担が大きいですから」 解説席は早くも大興奮だ。 「続いてはリミットだ! リミット選手、行くか……巴投げ! 決まったあああ!」 流れるよう

          【毎週ショートショートnote】見たことがないスポーツ:夫(お)リンピック

          #創作大賞感想『腐るまで待って』 たらはかにさん

          初めから自分語りで恐縮ですが、私は頭がカタいです。 ショートショートを書く場合、柔軟な発想というもの無くして良作は生まれないので(ショートストーリーはまた別です)、当然のごとく私はショートショートがあまり得意ではありません。 その柔軟で奇抜な着想がぶんぶんと縦横無尽に飛び交うショートショートの世界にあって、なおまばゆい異彩を放つ人(ヒト?  ハコ? カニ?)。 それが『腐るまで待って」の著者、たらはかにさんです。 そのたらはさんが、今年の創作大賞2024で長編に挑まれまし

          #創作大賞感想『腐るまで待って』 たらはかにさん

          #創作大賞感想『猫ヶ洞の王さま』 へいたさん

          へいたさんの書く物語は、読むと不思議な気持ちになる。 ――これは小説か。童話か。それとも絵本のお話なのか。 今のところ、私の答えは 「どれでもあって、どれでもない」 へいたさんの書く物語は「へいたさんのお話」と呼ぶのがいちばんしっくりくる。 おお、新たなジャンルの爆誕だ。 さて、そのへいたさんの筆による『猫ヶ洞の王さま』である。 この物語のベースとなるお話は、過去にも発表されている。 だが今回は、これまでのこぢんまりとしたショートショートをはるかに上回るスケールで、

          #創作大賞感想『猫ヶ洞の王さま』 へいたさん

          #創作大賞感想『ドシャえもん』 はそやmさん

          はそやmさんと言えば、やはり何と言っても 骨皮筋衛門!!!という方も多いのではないでしょうか。 あの伝説の必殺技「ヒラリ・クルリ・プルン・ボスン」を引っ提げて帳面町を闊歩する骨皮筋衛門の捕物譚のアレコレは、まさに脱力系ユーモアの金字塔。 そのはそやmさんが、『創作大賞2024』の締切まで残すところあと1週間を切った……! というタイミングで突如として電撃投下されたのが、この『ドシャえもん』です。 このタイトルを見て、あの国民的、いや世界的なコミック(及びアニメ)を思い浮

          #創作大賞感想『ドシャえもん』 はそやmさん