無情会館【毎週ショートショートnote】
栄光の陰には必ず涙がある。
名も知れぬ街のその会館では、いつも不思議な写真展が開かれていた。
そこには勝者の歓喜も、闘いを制した高揚もない。
ただ果敢に挑み、そして無情にも散った者だけが写されていた。
優勝候補とされながら、よもやの敗退に呆然と立ち竦む姿。
勝利目前に不運な負傷でトラックに転がる姿。
”あと少し” が届かずコーチの胸で号泣する姿。
世間は勝者をもてはやす。敗者は忘れられ、時に理不尽な中傷を浴びせられさえする。
競技によっては、マイナーゆえにその選手の存在す