ナル

雑文駄文ばかりになりますが、よろしくお願いします。 詩(のようなもの)、エッセイ、ショ…

ナル

雑文駄文ばかりになりますが、よろしくお願いします。 詩(のようなもの)、エッセイ、ショートストーリーなど色々書きます。 創作意欲はネガティブなときほど出る不思議。 過去と向き合って悶絶中。

マガジン

  • 自作エッセイ

    私、ナルが書いたエッセイと呼べるかぎりぎりの文章を集めました。しょうもないことしか書いてません。

  • 自作小説集

    長いものからショート作品まで、いろいろ書いてみます。怖い話って書いてても怖いよね。

  • 自作詩

    ナルが書いた自作の詩のようなものたちです。読んでいただけたら成仏できます。

最近の記事

桜下鬼刃・あとがき

人生ではじめて、あとがきを書きます。 この「桜下鬼刃」は、僕が書き上げた中では一番長い小説です。 作家気取るな!とか、早く振られ文句書け!とか、さまざまなお声が聞こえてきそうですが、あとがきを書いてみたいので書かせてくださいませ。 以前にも書きましたが、僕は昔から創作が好きでした。 当時大人気だった「NARUTO」に影響され、忍者モノの冒険劇を書いたり、「ジュラシックパーク」のような恐竜パニックを書いたり。 でも、それらを最後まで書き上げることはありませんでした。 もともと

    • 桜下鬼刃(下)

      平太郎の『奇術』は、鬼に確実に痛みを与えていた。 死ぬことのない相手とわかって、平太郎は安心していた。どれだけ本気を出しても、死なない『鬼』。桜と厳爺さんが遠くに逃げるまで、ただただ斬ればいい。たとえそれが永劫であろうとも。 「…平太郎、お主本気を隠しておったのか?これをもっと早く使っていれば、弟どもは死ななかったのになぁ!」 鬼は斬りつけられながら叫ぶ。先ほどまでより、発言にも動きにも余裕がない。痛み自体は、あれの精神に響くようだ。平太郎は『奇術』の速度を上げる。 「巻き込

      • 桜下鬼刃(中)

        幸作の手は、震えていた。 目の前の異形への、恐怖。そしてそれを上回る、怒り。 新兵衛兄さんを殺した奴を、許せるもんか。 がちがちと鳴っているのが、自分の奥歯だと気付いた。 それでも、やるんだ。 「平太郎兄さん、厳爺さん!桜を、桜を頼む!」 幸作、と平太郎が呼びかけるのを、厳爺さんが制した。 「わしも残ろう。二人がかりなら時間も稼げる。あれは、人ではないだろう。」 「…わかった。」 そう言いながら平太郎は、桜を厳爺さんに渡す。 「俺が残る。」 「平太郎、何を…。」 「桜。」

        • 桜下鬼刃(上)

          「お前さん、行くところがないのか?」 その日、平太郎が私を見つけてくれたことを、私は忘れない。 月明かりを背にして平太郎、新兵衛、幸作は私を見下ろしていた。 「なら、俺たちと一緒においで。うまい漬物もあるんだ。」 ねえ、みんな。 みんなに会えて、本当にうれしかったよ。 「…降り出しそうだ。」 平太郎は、どんよりと曇った空を見上げて呟いた。 幸作に目配せする。幸作は作業小屋の新兵衛に声をかける。 「新兵衛兄さん、どうせまた寝てんだろ。帰ろう、雨になる。」 地鳴りのようないびき

        桜下鬼刃・あとがき

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        • 自作エッセイ
          23本
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          13本
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          22本

        記事

          いかにしてナルは振られたか・2

          「振られる」という言い方も悪い。 最近そう思い始めた。「選ばれなかった」とかの方がまだいい気がする。「不採用」だと更に傷つくから、もっと嫌だけど。 というわけで、第二弾。 紙に書いて選ぶ形式を前回から採用しているが、その紙の束を見ただけでちょっと具合が悪い。ちなみに前回紹介したものは焼いて捨てた。暗号文を処分するみたいで、自分がスパイかと錯覚した。そんな妄想に浸っているからもてないんだと思う。でも、楽しいからいいや。というわけで、今回はこちら。 「私より背の高い人無理、ご

          いかにしてナルは振られたか・2

          【ショートショート】蝉

          夏に鳴く虫、といえば何を思い浮かべるだろうか。 おそらく、多くの人が「蝉」と答えるだろう。 一説には、世界には4000種の蝉がいるとされる。我々が認知していない多くの新種もいるだろう。 今日は、そんな蝉の話だ。 その日、男は逆さにひっくり返った蝉を見つけた。道路の真ん中で弱りきっていた。 虫など何年も触っていない。だが、男はその蝉を助けてやりたくなった。 蝉を掴んで、近くの花壇に連れて行く。 その途中で蝉は「じっ」とだけ鳴いた。 花壇の花の上に乗せてやる。もうすぐ死ぬのだろ

          【ショートショート】蝉

          いかにしてナルは振られたか・1

          先日、この記事を書いた。 ものすごく好評だった。 どのくらいかと言えば、創作大賞に出した数々のエッセイの閲覧数を、この子が一人で持っていくくらい好評だった。こっち出せばよかった。歯噛みをしている。恐ろしい子…。 それはそれとして、有料記事は目下挑戦中である。 足りない知識を補いつつ、皆様にお出しできるものになるよう、日々悶絶している。もっと勉強しておけばよかった。 本題はここからである。 上述の記事で特にお声をいただいたのが「振られ文句」についてである。あんたも好きねえ

          いかにしてナルは振られたか・1

          祈りの先の1円

          「思いを馳せる」という言葉だけで、何かをしたつもりになっている。 被災地に、戦争の犠牲者に、悲しい境遇にある人に、「思いを馳せる」。新聞やテレビでも、よく目にするこの言葉。 「思いを馳せる」。そう言って、僕は何か行動しただろうか。 今日は8月9日。 長崎に原爆が投下された日だ。 今日で79年になる。 イスラエルの招待見送りに関わる課題はあるが、大切なことは原爆で亡くなった全ての人々を慰霊し、弔うこと。 遠く、長崎の地に、79年前の過去に「思いを馳せる」。 昨日、8月8日

          祈りの先の1円

          夜空に泡々

          曹達に浮かんでは消える星々 次の星が消えたなら それから何度見送ったのか この店にはふたりきり 夜空の奥にきみが見える わたしより本が大事みたい こっち見てよ、話したいの また星が浮かんで消えた しゅわしゅわと消える星たちが この想いまで連れて行きそうで 今日言わなきゃ、その何度目かの今日に そ知らぬ顔ではじける曹達 曖昧なまま夏が終わりそう 蝉時雨と祭り囃子、壁に向日葵の刺繍 降り出しそうな夕立の前に 次の星がはじけて消えたなら ふたりの恋を、今はじめたいよ はじけ

          夜空に泡々

          夏との相性(音について)

          夏がものすごい勢いで来た。 秋は「深まる」と言うが、夏は言わない、と思う。夏が深まるなんて、どことなく地獄に近づくようで嫌だ。 夏の「音」といえば、なんだろうか。 花火の打ち上がる音。波の音。仲のいいカップルがはしゃぐ声。それに歯軋りする僕のうめき声。時々絶叫。そして、蝉、蝉、蝉、蝉。 夏とは、蝉に支配される季節である。 盛岡という地方都市で暮らしたことはあるが、東京のような大都会で暮らしたことはない。そのため、東京で蝉の声がするのかわからない。盛岡ではそれなりに鳴いていた

          夏との相性(音について)

          【ショートストーリー】黒白

          小さな手に触れた。 柔らかで壊れそうなのに、血が通うそれを、男は見ていた。 2020年代後半、世界各国の紛争地域で「黒い悪魔」と「白い悪魔」が目撃された。それらが現れた地域では、紛争当事者国の首脳が殺害されたり、あらゆる武器が突如として使用不能になったりし、争いが急激に収束するという出来事が相次いだ。どういう形であれ争いが終わることから、人々は彼らの出現を願った。 しかし、2030年代に入ると、「黒い悪魔」がその姿を消し、「白い悪魔」だけが目撃されるようになる。その頃から、

          【ショートストーリー】黒白

          有料の知識って何?

          先日noteから、有料記事を書いてみよう的なお知らせが来ていた。 自他共に認める金の亡者である僕は、キャンペーンを機会に書いてみようと思い立った。 その結果、お金を貰って誰かに教えられる知識がないのではないか、と気付いた。 自分の知識が、中途半端なのである。 何らかのノウハウなどというものは、そもそも持ち合わせていない。 そんなものを知っているなら、まず間違いなく自分で実践している。 神話や語学ならば、かろうじてネタにできるかもしれないが、期間中に書ききれる自信がない。 大

          有料の知識って何?

          乱反射

          空色の瓶ラムネを 晴天に引き合わせる 乱反射する陽光が きみの笑顔に触れる 何年経っても夏は暑いまま ふたりは離れずにいるね 少しだけ微睡んできた恋心 それでも一緒がいい 登り坂、駆け上がる アオハルなんて言葉じゃ足りない ふたりが一緒にいるならば それだけが全ての日々 空色の瓶ラムネ 晴天に引き合わされて 乱反射した陽光と きみの笑顔に触れた どんな夏も冬も一緒にいよう 季節の果ての愛があるはず 少し微睡んできた恋心 それでも、ずっと一緒 空色の瓶ラムネ 心の温度を

          乱反射

          あだ名と眉毛

          何度も言うようだが、僕は盛岡で暮らしていた。 どうして何度も言うのかといえば、盛岡で再び暮らしたいと思っているからである。思い出話をして、その未来に近づかないかと、言霊のようなものに期待しているのだ。 その盛岡時代、僕は外国人の名前で呼ばれていた。 先に言っておくが、僕はハーフではない。だが、見た目のみで僕のあだ名は外国人の名前だった。身ばれを今更恐れて、具体的な名前は控えさせていただく。 僕のあだ名は、その時々で多岐にわたる。 安定して呼ばれ続けたあだ名は、高校時代に苗字

          あだ名と眉毛

          月に麦酒

          欠けていく月を ぼくたちは見ていた 少し昔、泣いているきみの隣 きみは大好きな彼に さよならを告げられていた 葡萄味のサイダーを飲んで 「大好きだったんだ」って笑う それがあんまり哀しいから ぼくが守るって言ったんだ パッチワークのシャツに 海風が残るくらい ぼくたちはそこにいたね、覚えてる? あれからの色んなことは 言葉にしたら泡になりそうで 言わないよ、だけど ふたりこうして今も 苦い麦酒を飲みながら 満ちていく月を見ている きっと、それがすべて パッチワークのシ

          月に麦酒

          【ショートストーリー】忘却隊

          「それ」が遥か遠くの宇宙からやって来たのは、2024年の暮れのことであった。 「アフリカ大陸南西部に宇宙船が飛来した」というニュースに誰もが驚きを隠せなかった。各国宇宙機関の「監視」をかいくぐって突如として現れたからだ。 アフリカ各国、米国、中国、ロシア、そして日本。ほぼ全ての国から代表団が派遣され、宇宙船の乗組員との対話が計画された。 会議が始まったことがニュースで伝えられた頃には、代表団は全滅していた。 たった一体の宇宙人であった。 30本近い触手を持った、人型の宇宙人

          【ショートストーリー】忘却隊