藤澤 仁

ARG「第四境界」総監督|シナリオ制作会社ストーリーノート代表|Project:;CO…

藤澤 仁

ARG「第四境界」総監督|シナリオ制作会社ストーリーノート代表|Project:;COLD|かがみの特殊少年更生施設|人の財布|人の給与明細|幽拐エレベーター|元ドラゴンクエスト シリーズディレクター|DQ7|DQ8|DQ9|DQ10|DQMJ|DQM3|小説「夏の呼吸」

最近の記事

『幽拐エレベーター』の舞台裏 ─10万回閉じ込められた少女

再稼働したエレベーター2024年8月8日。第四境界のコンテンツ、『幽拐エレベーター』が再稼働した。 ほんの数時間で1万人以上が体験し、多くの人が救出結果をポストしてくれたおかげで、#幽拐エレベーターと#第四境界は共にトレンド入りを果たした。 自分の手元に正確な数字を知る仕組みがないのだが、公式発表によれば公開3日でプレイ回数が5万回突破とのこと。いや、すごいすごい。って、いくらなんでも多くないか。 しかも、お盆中には10万回を超えそうとか言ってる。いいのかそんなこと言って

    • かがみの特殊少年更生施設 公式設定資料パンフレットの案内

      今回はタイトル通り、かがみの特殊少年更生施設の『公式設定資料パンフレット』のご案内です。 『令和6年度施設案内冊子』と共に売れ行き好調ですが、内容について言及する場所がなかったので、noteの場を借りてネタバレなしのノイズ画像にて内容紹介をさせていただこうと思います。 なお、『令和6年度施設案内冊子』は以下の販売ページからお買い求めいただけます。 「表紙」 画像からだと質感が伝わりづらいと思いますが、手に持つと高級感のあるマットデザイン仕上げです。 「『かがみの特殊

      • ドルアーガの塔の『31階』の思い出 ─40周年に寄せて

        小学生時代から生粋のゲーセン少年だった僕にとって、ナムコという会社はとにかく特別な存在だった。 『ゼビウス』は言うに及ばず、『マッピー』『リブルラブル』『グロブダー』など、まだまだシューティング全盛だった時代に他のメーカーとは一線を画す自由な発想のゲームを次々と打ち出していた。 当時のゲーセン中学生たちへの影響力たるや、もはやゲームを超えて一つのカルチャーとでも呼ぶべき存在だった。 殊に、ゲームセンターで時々頒布される『NG』というナムコの広報誌があったのだが、僕たちはこ

        • 【近況報告】ストーリーノートの今日この頃 ー2024 夏ー

          過去5年間、ストーリーノートは毎年4月入社の定期採用を行ってきました。 ですが、ここ半年ほどの間に会社に大きな環境変化があり、その対応のために今年は初めて10月入社の中途採用募集を実施することになりました。 大きな環境変化とはどういったことなのか、今回の採用に臨まれる方のためにも、少しまとめてお話ししたいと思います。 去年の8月にも、会社の近況報告をまとめた記事を書いています。 その中で、私は会社の未来と目標について、こんな言葉で語りました。 会社が成長意欲を持ち続けるな

        『幽拐エレベーター』の舞台裏 ─10万回閉じ込められた少女

          『かがみの特殊少年更生施設』が開いた扉─ARGの黎明

          この半年の間に、ARG(代替現実ゲーム)プロジェクトを立て続けに公開した。 2023年10月『人の財布』 2024年1~3月『Project:;COLD 2.0 case.674 ALTÆR CARNIVAL』 2024年4月『かがみの特殊少年更生施設』 作品と呼ぶほどでもないが、ストーリーノート入社希望者に配布した資料の中にも、小さな物語を潜ませた一冊のノートを入れた。そんなわけで、気づけば僕はARGをたくさん作っている。 『人の財布』が売り出された直後は、あまり

          『かがみの特殊少年更生施設』が開いた扉─ARGの黎明

          僕とやまださんの1767日 ─僕がロゲットカードの事業譲渡を決めた理由

          みなさん、こんにちは。 さっそくですが、ご報告です。 藤澤の会社──株式会社ストーリーノートが3年半にわたって運営を続けてきた「ロゲットカード」事業は、2024年の2月1日をもって、株式会社ニシムラ精密地形模型に事業譲渡されることになりました。 藤澤はロゲットカードの事業オーナーでしたが、プロデューサーのやまださんが前面に立っていたこともあって、自分の口から何かを語ることはしないようにしてきました。 ですが、今回ばかりは節目です。 事業譲渡に至った経緯やそこにあった想いな

          僕とやまださんの1767日 ─僕がロゲットカードの事業譲渡を決めた理由

          『人の財布』・『ココフォリア版』・『Project:;COLD2.0』 ─蠢動するARG

          去年の10月から、うちの会社は妙に騒がしい。 長年かけて仕込んできた作品のリリースが、この時期にいくつか集中したためだ。 自社オリジナルの体験型絵本『まいごの女の子とトレンディ☆ゴースト』、『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』(SQUARE ENIX)、Web3.0ゲーム『SYMBIOGENESIS』(SQUARE ENIX)など。 どれか一つだけでも結構な騒ぎなのだが、まったく考えてもみなかった場所から想定外なことが起こった。 それは、2023年10

          『人の財布』・『ココフォリア版』・『Project:;COLD2.0』 ─蠢動するARG

          『面白さ』を巡る冒険

          「グループでシナリオを作るって、どんなことを話し合ってるんですか?」 もしそう思った人がいたとしたら、その感覚は正しいと思います。 だって、不思議に思いますよね。 「物語って作家が一人で作るものでしょ?」 そんなふうに考えている人が、世の中には多いわけですから。 なので、ストーリーノート社内では日々どんな話し合いがされているのか、そんな話を少ししてみたいと思います。 話し合っていることは当然一つではないんですが、無理矢理要約するとすれば……、 「そのシナリオ、本当に

          『面白さ』を巡る冒険

          物語制作会社6年目の“現在地”と”これから” ─シナリオスタッフ募集2024

          物語制作会社ストーリーノートは毎年およそ10名の採用を続けていて、スタッフは順調に増え続けています。 ですが、ここしばらく新作の発表ができていません。 最後が『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オフライン』なので、これももう一年近く前になります。 7月末に絵本のオーディオブック『行商猫のクリストフ』を発表しましたが、5周年記念作品として少人数で作ったものなので、これはちょっと例外的なものです。 では、大勢のスタッフを抱えて、ストーリーノートは現在どんな仕事をしてい

          物語制作会社6年目の“現在地”と”これから” ─シナリオスタッフ募集2024

          物語書きとして、すこし恥ずかしいと思ったこと

          物語づくりを生業として以来、ずっと考えてきたことがあります。 それは、「物語の楽しさって、どうすればもっと気軽に共有できるんだろう」ということです。 たとえば絵描きなら、自作の絵をSNSで披露したり、個展を開いてファンの人に見てもらったり。ミュージシャンなら、Youtubeで新曲を発表したり、コンサートでファンと時間を共有したり。それぞれの道に、それぞれの共有手段が存在します。 「じゃあ、物語だと?」 この答えを、僕はずっと見つけられずにいます。 『物語』というのは、映

          物語書きとして、すこし恥ずかしいと思ったこと

          『悪魔のゲーム』─ファミリーコンピューターの思い出

          40年前の今日に何をしていたのか、僕は明確に覚えている。 僕は平塚の忠実屋まで、予約していたファミリーコンピューターを受け取るために、嬉々として自転車を漕いでいた。 当時ゲーセン少年だった僕は、家でいくらでもテレビゲームが遊べる夢の8ビットマシンの登場に衝撃を受け、その発売を店頭チラシで知ってから、地道にこづかいを貯め続けていたのだ。 貧乏な中学一年生にとって1万4800円(消費税なんてなかった)は目も眩むほどの大金だったが、それが確実に効率の良い投資であることは明らかだっ

          『悪魔のゲーム』─ファミリーコンピューターの思い出

          CEDEC講演─未成熟ジャンル(ARG:代替現実ゲーム)への挑戦『Project:;COLD』における事例

          2022年8月25日(木)に実施した表題のCEDECセッションについて、Youtubeにて公開可能な運びとなりました。 監督を務めた『Project:;COLD』シリーズが『CEDEC AWARDS 2022』にてゲームデザイン部門の優秀賞をいただいたタイミングでもあり、プロデューサーの平さん(※1)からの強めのプッシュもあり、やるなら今なんだろうと重い腰を上げて、実に9年ぶりの単独講演となりました。 (※1)平さん:株式会社マレの平信一氏。ゲームメディア『電ファミニコゲー

          CEDEC講演─未成熟ジャンル(ARG:代替現実ゲーム)への挑戦『Project:;COLD』における事例

          グループで物語を創る、ということ ─シナリオスタッフ募集2023

          ストーリーノートの採用の傾向株式会社ストーリーノートは来春で設立5年となり、定期採用も本年度で4回目になります。 過去のエントリー数は以下の通り、年々増加傾向にあります。 2020年度 109名 2021年度 424名 2022年度 506名 ※処理能力の限度に達したため早期受付終了 大勢に志願してもらえるのはありがたいことですが、エントリー数が多くなれば必然採用倍率も厳しくなり、心苦しさも感じます。 採用倍率は年度によって異なりますが、概ね 50~70倍という狭き門です

          グループで物語を創る、ということ ─シナリオスタッフ募集2023

          Project:;COLDとはなんだったのか ─「現実」と「仮想」の中間に生まれた物語

          8年前、ドラクエの仕事を辞めた後、しばらくは好きなことをしていた。 僕はある映像作品のシナリオを執筆していて、長野県の中野市によく足を運んでいた。 作っていたのは、信州中野の伝承である『黒姫伝説』を換骨奪胎した物語だ。 竜と心を通わせる力を持つ黒姫は、その能力を欲した武田晴信の陣営に攫われてしまう。 そして、黒姫を慕う竜の化身である少年が、姫を助けるために佐久の志賀城で大立ち回りする、由緒正しき冒険活劇だ。 自分ではなかなかの出来だと気に入っており、そのシナリオは今もハー

          Project:;COLDとはなんだったのか ─「現実」と「仮想」の中間に生まれた物語

          追悼 すぎやまこういち先生との思い出

          2021年12月11日。 この日は朝からよく晴れていて、冬空は彼方まできれいに澄み渡っていた。 僕はずいぶん久しぶりに、ドラクエ時代のスタッフと顔を合わせた。 数年ぶりに会った面々を前に、なんだか妙に浮足立ったような気分になって、いつもよりもよくしゃべった気がする。 懐かしさというのはこんなに人を高揚させるのかと、日頃あまり持たない感覚を僕は実感していた。 すぎやま先生のお別れの会を終えたばかりの、築地本願寺前の広場でのことだ。 すぎやま先生と初めてお会いしたのは僕がま

          追悼 すぎやまこういち先生との思い出

          Project:;COLD case.613 その後

          あれから一年2020年11月1日に佐久間ヒカリの自己紹介動画がYoutubeにアップされ、Project;COLDが始動してから一年が経ちました。 https://youtu.be/-kHRWpU3seU 融解班の皆さん、ご無沙汰しております。 総監督の藤澤です。 一周年ということで、その後の展開に注目してくれている皆さんにせめてお礼の言葉だけでもと、この記事を書かせてもらっています。 お祝いのお言葉、誠にありがとうございます。 関係者一同、心より嬉しく思っております

          Project:;COLD case.613 その後