ほんまシュンジ

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マガジン

  • 微睡みの中で恋をして

    日記のような創作のような。創作のような日記。

  • 小説「ライフタイム」

    マガジン「微睡みの中で恋をして」に連載している小説「ライフタイム」のみを抜き出しています。

最近の記事

217 思い込んだら命がけ

人間関係の苦手な部分 思い込みの激しい人は、人間関係を苦手に感じることが多いかもしれない。自分の思い込みに気付けないので、相手の言動の意外性についていけなくなる。どうしてそうなるのか、と考えてみてもさっぱりわからない。だから「人間関係は難しいよね」と言ってしまえば、まあ、それで終わりかな。  自分も思い込みで生きている方だけど、幸いにも本を多数読んだり、ドラマや映画を多数見たり、人の言葉を聞いたりもするので、結果的になんとか生きている。  しかし、思い込みを野放しにして、人間

    • 216 好きと嫌いの間

      恋愛話とは限らない ドラマでは、タテ軸、ヨコ軸、斜めといった人間関係でストーリーを動かすことになる。中でも「好きか嫌いか」は、恋愛話に限らず、人間関係の基本的な構図となるから、どの軸にもそれとなく、散りばめられている。  ドラマが動くとき、好きだった人が嫌いになり、嫌いだった人が好きになる。そこまで極端ではないとしても、好きと嫌いの間を揺れ動くことになる。その曖昧な状況をわかりやすくするために、この「好き嫌い」の圏外にいる人物を配置することも多い。その人たちの誤解や邪推は、当

      • 215 嫌悪せよ、とは教育できない

        昨日の話の続き 昨日の続きのようなことになりそうだ。昨日はこういう話だった。  すると、このようなコメントをいただいた。ありがたい。  確かに、私たちは、いまこの時点で、教育で「嫌悪せよ」と学ぶことはまずない。少なくとも基礎的な教育で、「これとこれを嫌悪しなさい」と教わることは想像しにくい。  もっとも、「自己嫌悪」といった言葉があるように、「こういうことをした自分を嫌悪しなさい」といった道徳的な話としてはあるかもしれない。嫌悪はあまりにも強い感情となるので、「そういうこと

        • 214 AIで創られた思い出

          あらゆる思い出が加工される 美しい思い出が残っている人は幸せな人生と言えるだろう。  その美しさは、人によってずいぶん違う。「あの頃、輝いていた」と思えるような過去。あるいは「一世一代の大舞台」とか。それとも大切な人たちに囲まれている瞬間。  しかし、いまの時代以後の私たちの思い出は、すべてAIによって補正されていることになる可能性が大きい。 「こいつ、嫌なヤツだから消そう」「表情がちょっと変だから直そう」ぐらいからはじまって、「もっと可愛く」とか「もっと素敵に」といった要求

        217 思い込んだら命がけ

        マガジン

        • 微睡みの中で恋をして
          217本
        • 小説「ライフタイム」
          12本

        記事

          213 流動性 流される人生

          流動性は時代の要請か 私が社会人になってから、とくにいろいろな方面で図られてきたのが「流動性」のような気がしている。最初は金融、資本の流動性からはじまって、グローバル化によってそれはいま極限に近く達したのち、むしろ流動性を嫌う囲い込み型が一部に生まれて、いま現在も、そこに確執が生じている。  さらに流動性は労働にも及んだ。その結果、派遣会社に長く所属はしているものの、職場は数年、いや数か月単位で変わっていくスタイルで仕事をしている人たちも多い。  ドラマ「舟を編む」はコロナ禍

          213 流動性 流される人生

          212 虚構では悪を描き切れない

          悪いやつがいっぱい出てくるとしても フィクションとノンフィクションの大きな違いとしては、ノンフィクションは「悪」を悪のまま描けるけれど、フィクションではそうはいかない点だろう。  こう書くと「逆じゃないか」と思われるかもしれないが、フィクションでは悪を描き切ることは困難なのだ。それは、登場する人たちすべてに言えることだけど、直接本文の中で説明しないとしても、フィクションに出てくる人たちにはちゃんと物語に登場する理由があり、しっかりとした背景があるからだ。さらに逆説的に言えば、

          212 虚構では悪を描き切れない

          211 日本酒は得意ではない

          蒸留酒が体に合っている 日本酒は、私が最後に味を覚えた酒だった。ずっと敬遠していた。得意ではなかったのだ。まずその匂い。そして舌に残る甘み。それでいて度数はそこそこあるので、気付くといきなり酔っている。  酒のスタートは、ビールだった。父親は瓶ビールが好きでキリン派だった。つまり苦い昭和のラガービールである。これはさすがに子どもの私にはマズイ。法的にマズイだけではなく、味としてマズイのだ。泡の部分をよく舐めさせてもらったのだが、どうしても欲しいものではなかった。  中学時代、

          211 日本酒は得意ではない

          210 swing shake rock 揺れる話

          『センスの哲学』(千葉雅也著)を読み終えた 『センスの哲学』(千葉雅也著)を読み終えた。スムーズに読めてしまった。こういう快楽は久しぶりだ。センスについて著者独自の観点から読み解いていく。リズムの話が多く、それは生物としての生きる上でのリズムと共鳴している。だから、AIの生成物と人間の生み出したもの(絵画、音楽、小説)には大きな違いが生じるはずだ。とはいえ、AIがぜんぜんダメかといえばそんなことはなく、リズムは模倣できるから、それなりのものを創り出すことは間違いない。  私は

          210 swing shake rock 揺れる話

          209 弱音大会

          朝ドラ『虎と翼』 あっという間に第3週が終わった朝ドラ『虎と翼』。そのまま見ていたら、スカパラが番組を乗っ取っていた。スカパラって、ポジティブな曲しかやらない印象があって、ずっとそれを保つってスゴイことだな。いつ聴いても、どこで聴いても、「元気」そのもの。超人的だ。  朝ドラの話だ。そう、今日は留守番3日目。今日、義母の納骨をすませて午後に向こうを立ち、夜には帰宅予定だ。愛犬には「今夜、帰ってくるよ」と教えている。わかっているかどうかはわからないが。  愛犬は3日に1回しか排

          209 弱音大会

          208 感じる未来

          映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』 留守番の2日目。幸い、締め切りなどもないので精神的には極めて安定している。それでも妙な時間に目が覚めてしまったりもした。朝は6時頃に愛犬に起こされた。いつもよりかなり遅い。通常5時から5時半。早いときは4時半頃だから。その「微睡み」こそが至福でもあるのだが、今朝はあまり微睡まず。ただ一点、書きかけの原稿の修正点のみが浮かんだ。  ワンオペでの留守番ゆえに、忙しい。まず愛犬の腹を満たすこと。それから布団を片付けたり顔を洗ったり。朝食はゆ

          208 感じる未来

          207 穏やかな日だけど

          人間として 義母の通夜、葬儀のため妻と娘は帰郷した。朝からあれこれと荷物をまとめて、忘れ物がないか確認しつつ「早めに駅へ行ってお土産も買わないと」と予定の列車の発車時刻のかなり前に出掛けていった。  すると、家は静寂に包まれ……ない。マンション住まいで、リビング側の道路で大規模な工事が行われているのだ。地面を掘って、上下水道関係の大変な工事である。その音が不規則に起きているので、さすがに都会暮らしの長い私自身はどうということもないけれど、愛犬は落ち着かない。  そもそも私との

          207 穏やかな日だけど

          206 義母の逝去

          たくさんの心配をかけた 夜10時半頃だろうか。  私と妻は通常、10時前に布団に入ることにしていた。なんでも、10時から午前2時ぐらいまでの間に就寝していることによって分泌される「何か」が人間にとって重要らしい、といった話があり、その「何か」をいまでは思い出せないものの、実際その頃に寝付いた方が自然に朝の5時前後に目が覚めるのでリズムがいいのである。もっとも、愛犬もその頃に寝ることを切望していて、たまに起きていると(映画がもう少しで終わる、など)、寝ようよ、と催促に来るのであ

          206 義母の逝去

          205 小説と占いと受け取ること

          占いから得られるもの 占いに興味を持ったのは、高木彬光の小説にはまっていた頃だから、かなり昔の話である。高木彬光原作の映画『白昼の死角』の公開は1979年。もっとも有名なのは恐らく探偵・神津恭介のシリーズだろうが、この映画はそうではなく、経済犯罪ものだった。青森市生まれの高木彬光は、手相をはじめとした占いに詳しく、また株取引などにも詳しい作家だった。そのためか、学生だった私は易経の本と株式投資の本をどちらも古書店で購入して熟読したのであった。もっとも、どちらもさっぱりわからな

          205 小説と占いと受け取ること

          204 シビアな話をしたくない

          社会には問題が山積 世の中は一筋縄ではいかない。そもそも社会には問題が山積している。それをすべて自分のことのように語る必要はない。少子高齢化はその典型で、誰もがこの問題について発言できるけれど、発言しなくてはいけない、ということではないだろう。自分ではどうにもならない。クラゲやプラナリアのように、自分の体を分離して新しい個体を生み出せるのならともかく、私にはそんな芸当はムリだ。街に出て、男女が仲良く歩いているからといって「早く子どもを作りなさい」などと言えるはずもなく、言った

          204 シビアな話をしたくない

          203 不吉なグッドタイミング

          試供品を評価する すでに10年にはなるはずだ。いくつかのネットショップで試供品を評価してきた。評価してきた数は千点を軽く超えているだろう。数えたことはない。いわゆる「お試し」で、日用品、ファッション、ペット用品、家電、さらに食品、酒までも、来る物は拒まないぐらいの勢いで、月に2点から4点ぐらいを試してきた。  たまたま先週、フォーマルな女性用のバッグがあり、こういうものは困るものではないのでさっそく申し込んでおいた。それが届くと、ハンドバッグには数珠を入れる袋と、香典を包む袱

          203 不吉なグッドタイミング

          202 光と影

          美しさとコントラスト いまの時代、スマホで写真を撮ることは当たり前になっている。携帯電話にカメラがついた時から、私たちはとにかく写真を撮るようになった。デジカメも流行した。フィルムと現像の手間がない。メールで送ることができる。それは、当時は画期的だったし、あっという間に普及した。  おかげでいまや、花見スポットへ行けば、誰もがスマホを構えているし、大谷が打席に入ると大勢の観客たちがスマホを向ける。事件や事故の現場でも同様だ。  私は以前は一眼レフのカメラを持ち歩いていた。まだ