【短編小説】最後の裁判【ショートショート】
とある小さな島国の話である。この国では、毎年春の始めに「正義の日」というイベントを開催する。この日、人々は国内の不正行為を選び、それに対する裁判を行う。裁判の結果、罪を犯した者はこの国から追放されるという厳しい措置が取られる。
今年の被告は、老舗のパン屋を営む男だった。彼は「金儲けのため、パンの重さをごまかして売っていた」という疑惑をかけられていた。この国ではパンの重さに対して値段が決まっており、それよりも高い値段でパンを売ってはいけない決まりであった。金儲けのため食料の値