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【短編小説】アンドロイドの声(4)
「歴史的な瞬間です。本日、メガロポリス議会でアンドロイド人権法案が可決されました。この時をもって、アンドロイドに人権が認められます。アンドロイドたちはこのメガロポリスで生きる一人の人間として認められたのです。メガロポリスでは至るところで喜ぶアンドロイドの姿が見受けられます。この件に関して、何人かのアンドロイドが番組の取材に応じてくれており……。」
ニュースでは朝から晩までアンドロイド人権法のこと
【短編小説】夜中の事(1)
ある夏の出来事だった。
当時、私は就職のために東京に越してきたが、高額な家賃を支払う余裕はまるでなく、やむを得ず会社から遠く離れた地価の低い郊外へと住居を構えた。毎日我が家から会社まで、そして、会社から我が家まで片道1時間半の道のりを電車で通う。それが私の日常だった。
その日は朝から仕事は山積みで、夜遅くまで残業していた。一刻も早く仕事を片付けて、ただ家へ帰りたい。そんな一心で仕事を終えたはず