占い師

人生で何度か占い師に相談したことがある。 みんな別々の占い師。 特に眠れないほど悩んでいるというわけではないが、八方塞がり、自分がどっちを向けばいいのか?向く先があるのか?そんな感じの時にたまたま知り合った人に相談をした。 最初は22歳。高校卒業してすぐに勤めた会社を辞めた時だった。…

猫と星

 高い外壁にぐるっと囲まれたお城が月に照らされています。  お城の尖った部分の、夜空に一番近い一つの窓に猫影が浮かびました。  王女の白猫です。  王女はまだお城から出たことがありません。  いつもこうして月夜に寂しそうに町の灯りを眺めています。 「わたくしもあの賑やかな灯りの場…

ここを出たら

彼女は死んだ。僕に鮮烈な思い出だけを残して── 「ここを出たらさ、絵を練習するよ」「いいねそれ」 「私の中にある気持ちを、言葉もいいけど視覚として直感的に表したいんだ」 「ここを出たらさ、曲を作るよ」「頑張れ!」 「一回やってすぐ挫折しちゃったんだ……もっかいやってみるよ」 「ここ…

【掌編小説】私たちの、恋路は最強

この掌編小説は、私と百瀬七海さんとでお届けする、マジカルバナナ的リレー小説のうちの1本です。 七海さんのこちらの物語の最後のフレーズをタイトル(=バトン)とし、そこから一つのお話を仕立てています。 それでは本編へどうぞ。 * - * - * - * 「お前らいつになったら付き合うんだよ」…

和菓子の恩 6.16

「ねえ、今日いったん家に戻ってからこれ持ってきたの」高校生の今治美羽は制服姿のまま。バックから店の名前が入った紙に包まれた箱を出す。「うん、何、饅頭か?」見当もつかず適当に答えたのは、学校は違うが、同じ年の尾道拓海。彼も制服姿だ。幼馴染で、今は付き合っているふたり。今日は学校が終…

人間になりたかった 人魚

足を取られてから 目隠しは外された チューブに繋がれて、何の刺激も無く室内に ただぼんやりと  息を止めてみる 苦しくなってきたら吸う 涙が。 「どうなっちゃうんだろ」 呟いた ぶつぶつと 独り言ばかり増える 他に感覚するものが無い ああ、 きっと外は雨だ ノックの音がして 足音も無く気…

大☆成☆功!

今日は、色々あり投稿はやめておきます。 よって本日の投稿は、お休みとさせていただきます。 勝手を言って、申し訳ないです。 ……と見せかけて。 「テッテレー!」 (おふざけが過ぎてしまい…

ショートショート「ぐるぐると」

ぐるぐると回る洗濯機の中身を見ていた。コインランドリー内には、私の他に人の姿はなかった。先ほどから、天井に備え付けられた蛍光灯がパチパチと点滅している。 洗濯機には残り25分と表示されている。私はいつものように待合スペースにあるベンチで待っていようかと思った。 「うわ」 ベンチに腰…

金縛り

「最近、なんかおかしいんだよね……」  近藤結衣が女子グループの中で話しているのが聞こえてきた。登校したときからずっと彼女の動向を探っていた祐介は、耳を澄ませる。 「夜寝てるとね、急にぱっと目が覚めるの。今まで夜中に起きちゃうことなんてなかったのに。で、びっくりするんだけど、そう…

ダッシュ

 小学生のころ、俺の家はものすごく貧乏だった。父親がある日突然帰ってこなくなったからだ。母親に父さんはどうしたんだとたずねると、「あんなもん、もうあんたの親父でもなんでもない!」と怒鳴られた。俺のあずかり知らないところでいつの間にか話し合い、離婚していたのだ。  父親がいたころも…