【掌編】チルアウト、三千世界。
十八歳。世界が散った。
誕生日には毎年、ケイちゃんのお母さんがプレゼントを送ってくれた。ケイちゃんは私が関西に住んでいた頃の友達で、と言ってもそれは三歳までの話であり、正直、私はその顔すら思い出せない。しかし母親同士が仲が良く、住む土地が離れてからも「ケイちゃんはブラスバンドを始めたらしい」だとか「ケイちゃんが中学受験に受かったらしい」だとか、数年おきにちょくちょく情報がアップデートされていた。その度私は脳内で顔が黒く塗りつぶされたマネキンに管楽器を持たせたり合格通知を受け