青豆ノノ

小さなわたしの世界を、この“街“で育ててみようと思いました。 短編小説、ショートショー…

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小さなわたしの世界を、この“街“で育ててみようと思いました。 短編小説、ショートショート、日記、エッセイ、20字小説を書きます。 好物は豆です🌸 作品についてはサイトマップをご覧下さい→https://note.com/aomame_nono/n/n073dd36a34e6

マガジン

  • ソウ アイ マガジン

    創作大賞2024応募作「ソウアイの星」全16話とその関連記事を纏めます。〝推し活・恋・友情〟の物語です。

  • 青豆の『スキ』マガジン③

    『スキ』です。ともう一度伝えたくなる記事を集めさせていただきました。クスっと笑えるものや、熱いメッセージを感じた記事、などなど。私の心に残った素敵な記事をご紹介させていただきます。

  • 宝物

    時間が経ってから追加させていただくことが多いです。 特別な感謝を込めて作成したマガジンです。

  • 青豆の自己満足

    自作のショートショート・短編小説の中で、気に入っているものを纏めます。 他人の評価は関係なく、自己満足のためにここに集めていきます。

  • #シロクマ文芸部

    小牧幸助様が企画されている「シロクマ文芸部」への参加作品を纏めます。 お題によってエッセイ、ショートショートなど。

最近の記事

創作大賞2024 | ソウアイの星⑤

《最初から 《前回の話   (六)  スマートフォン越しに華の声を聞いて、一瞬のうちに思い出の中に入り込んでしまった。そんなわたしの代わりに、華と会話を続けてくれていたルナが、昨日の朔也からのメッセージについて打ち明け始めた。 『だめかもしんないって。なにか知ってる?』  華は少し、ほんの数秒黙った後、話し始める準備のためか咳をした。 「流香ちゃんだから、やっぱりわたし隠せないや。朔也くんね、年明けたら手術するの」  え、と言った後、わたしはすぐに言葉が見つからなかっ

    • 日記 | 友はわかっている。そして私は呼ばれている。

      偶然のお伊勢さん。 いつでもそうであるように、昨晩、唐突に中学時代の友から誘いがあり、赤羽に待ち合わせることになった。 彼女と赤羽は三度目で、見慣れた景色が増えてきた。 待ち合わせは『純喫茶 友路有(トゥモロー)』。 やけにお尻にフィットする椅子が心地良い。 私はフレンチトーストを、彼女は明太子トーストのモーニングセットを頼んだ。 会うなりプレゼントをくれた友は、今一番私に必要であろうものをわかっていた。 実はつい最近、別の方からもお伊勢系フェイスパックをいただい

      • 創作大賞2024 | ソウアイの星④

        《最初から 《前回の話  (五)  いつも落ち着いた印象だった華が、吉祥寺の街を興奮気味に歩く様子は可愛かった。 「誰かとライブに行けるのが本当に嬉しい」  と華は何度も言った。 「いつも一人?」 「んとね、たまに東京に出てきてる地元の友だちと行ったりする。だけどなかなかね。東京はさ、他に楽しいことたくさんあるから」  それぞれ忙しいよね、とわたしは言った。 「わたしの幼馴染、健っていうの。CALETTeではギター担当。ステージ右側にいるから見てね」  華はずっと口

        • 創作大賞2024 | ソウアイの星③

          《最初から 《前回の話  (四)  翌日は一日中落ち着きなくスマートフォンをチェックしていた。  朔也から連絡がないことが気がかりで仕方なかった。わたしから送ったメッセージに既読のマークは付いていたから、何かしら反応があっても良さそうなものを、なぜ朔也は黙っているのだろう。 『昼休みに電話すれば一発よ』とルナは言う。  少し前に、朔也はバンド活動と両立できるアルバイトで生計を立てていると言っていたけど、現在の詳しい事情は知らない。朔也の個人的な情報は、あえて訊かないよう

        創作大賞2024 | ソウアイの星⑤

        マガジン

        • ソウ アイ マガジン
          8本
        • 青豆の『スキ』マガジン③
          205本
        • 宝物
          7本
        • 青豆の自己満足
          79本
        • #シロクマ文芸部
          39本
        • 青豆の旅・お出かけマガジン『青tabi』
          8本

        記事

          日記 | 渇望

          Xに『#このnoteでいいことありました』というタグがあったので投稿してみました。 私の場合、この『渇望』という掌編を投稿したのをきっかけに、作品を読んでくださる方が増えたような感覚がありました。 昨年の9月に出したものです。 懐かしいな、と思って改めて読んでみると、なかなか狂った話でした。 狂った繋がりで言うと、最近、文通相手のおじさんが、狂ったように手紙を送ってきます。日に二通、毎日、とか。さらに小包まで届く。 どうしたのかな、と少し心配です。 〇倹約家なのに、

          日記 | 渇望

          創作大賞2024 | ソウアイの星②

          《最初から 《前回の話  (三)  ライブが中止になる二日前。めずらしく朔也からメッセージが届いたことにわたしはしばらく気付けなかった。その日は特に忙しい日で、スマートフォンを触る暇がなかったのだ。  夜十時過ぎに家について、夕食にコンビニ弁当をつつきながら、何気なく開いたスマートフォンに表示された名前を見て、疲れも忘れて飛び上がった。  しばらく胸のどきどきが収まらず部屋の中を歩き回るくらいに興奮していた。  一方で、そんなわたしを冷めた目で見ている〝わたしの中のも

          創作大賞2024 | ソウアイの星②

          創作大賞2024 | ソウアイの星①

           ああ、あの日は。 空はグレーで、体を抜けていく音は澄んでいて。  胸の奥に小さな不安を抱えたまま、きっと大丈夫って。  何を根拠に大丈夫だって思ったのだろう。  あなたはあの日、どんな思いであのグレーな空から隠れたのだろう。      (一)  スマートフォンを手に握ったまま、郁美と肩を寄せ合っていた。  開場したら、わたしたちは脇目も振らず最前列を取りに行く。できれば最前列の一番右端を。 マイクを握る彼の、左頬に並ぶ三つのほくろを愛している。それは、も

          創作大賞2024 | ソウアイの星①

          ソウアイの星 | あらすじ | 恋愛小説部門

          推しバンドCALETTeが突然ライブ中止を発表した。 その二日前、ボーカル朔也から弱音を吐露するメールを受け取っていた流香は、マネージャーの華から、朔也が声帯の手術をすると告げられる。 朔也とは恋人に見られる仲の流香だったが、末永く続く関係を求めて〝ファン〟と〝アーティスト〟の立場を貫き距離を置く。しかし朔也に恋心を抱く、流香の中に棲む友人・ルナと衝突してしまう。 ある日、自分の素直な気持ちを抑えられなくなった流香は、手術後の朔也を夜の公園に呼び出す。そこで朔也の気持ちを知り

          ソウアイの星 | あらすじ | 恋愛小説部門

          ショートストーリー | ラムネの音 | シロクマ文芸部

           ラムネの音がしたら目を開けろと言われてから三日経っている。  その間、どんなに耳を澄ませてもラムネの音を聞くことは出来なかった。  僕の近くに、やけにゲップをする男がうろついているのはわかる。それから、おそらくこの近くを湘南新宿ラインが通っている。そして、近隣には小学生を含む家族が最低でも三組は住んでいて、たまに天井裏をネズミが走り、ムカデが這うようだ。だけど、肝心のラムネの音だけはどうしても聞くことが出来なかった。  五日目、初日よりも弱々しくゲップをするようになった男に

          ショートストーリー | ラムネの音 | シロクマ文芸部

          日記 | 可愛いって、言ってくださってよろしくてよ。

           今朝、Xを見ていたら、はるかぜるりいさんの可愛らしいイラストが流れてきた。  表情が明るくて楽しそうだし、なんか可愛い。  そこで、ふと思い出したのは、以前美容室で働いていたときのこと。  わたしは当時スタイリスト一年目で、新入社員の教育係のようなことをしていた。  シャンプーから始まり、いろんなことを朝から夜中まで彼らについて伝えていく中で、どうしてもその中の二十歳の後輩の発言で気になることがあった。  サロンにいらっしゃる御高齢のお客様のことを、御本人を前にして言う

          日記 | 可愛いって、言ってくださってよろしくてよ。

          『創作大賞2024応募作』を投稿する前に。

          創作大賞用の小説が順調に二万字を超えたのでひとまず小説の舞台になる街を訪問します。 今回の舞台は我が青春の街、吉祥寺です。 などなど。小説の舞台となる街の様子を撮ってきました。 滞在できる時間は二時間。とりあえず歩き回りました。 今日はよく晴れて非常に暑いです。 残り一時間。 くぐつ草も行きたかったけれど、今回はこちらでランチ。 10代、20代を過ごした街を舞台に書くのはとても楽しいです。 小説はそろそろラストに向かっているかなという感じです。 プロット通りのラ

          『創作大賞2024応募作』を投稿する前に。

          日記 | 慣れ親しんだものをときどき捨てる。

          気づけば四日も何も投稿していませんでした。 昨日はついに長編を公募に送りました。 ぎりぎりになってストロベリームーンが10:08にどうのこうのという噂を聞き、このタイミングで送るしかないと思い立ちました。 月と私はとても関係が深いのです。(思い込み) 🌜🌚🌛 そして時間を気にするあまり、細かいチェックを怠ったのか、応募完了後に届く自動返信メールが届かない事態に。おそらく、アドレスの誤入力だと思います。 こういうことを必ずやらかすタイプなので、意識して締切の一週間以上前

          日記 | 慣れ親しんだものをときどき捨てる。

          小説を書く人に100の質問

          『小説を書く人に100の質問』のテンプレートをWeb Novel Laboさんよりお借りして書いてみます。 ※ 質問提供サイト は本記事の最後に載せています。 Q.1 筆名(ペンネーム)を教えてください。 青豆ノノです。 Q.2 筆名の由来は?  村上春樹著『1Q84』の登場人物から苗字をお借りしています。あと、豆を食べることが好きなので。 Q.3 主にどんな小説を書いていますか?(長編・短編・掌編など)  140字から10万字超えまで書きます。  今

          小説を書く人に100の質問

          #昔のnoteを振り返ろう

          幸野さんの個人企画に参加します。 #昔のnoteを振り返ろう、だそうです。 それでは振り返ります。 こちら、一年前のものです。 ひっそりとつぶやきました。 まだショート・ショートを書くだけで、エッセイや日記もほとんど投稿していなかった頃で、恐る恐る〝つぶやき〟を利用していたと思います。 🌱🌱 今でも通っているびっくりドンキーのモーニング。 一年前の世の中は『卵』不足で、ゆで卵の提供がストップしていて、代わりにポテトサラダがついてきました。このつぶやきの写真を見て思い

          #昔のnoteを振り返ろう

          エッセイ | もしも女性器が服を着るなら。

           1月に受けた健康診断で、毎年のことではあるのだけど様々な項目で再検査や経過観察を言い渡された。その中で、今回新たに〝ある疑い〟の記載があった。 〝子宮留膿腫〟  なにそれ、という感じで調べると、閉経後の高齢の女性に起こりやすいものだった。  無症状で進行するというところが怖い。まるで爆弾を抱えているみたいじゃないの、というわけで、指示通り大人しく半年待って、ついに検査をした。 ・  婦人科というところは何度行っても慣れない。  今回受診したクリニックでは、まず受付で

          エッセイ | もしも女性器が服を着るなら。

          掌編小説 | アジサイ移植 | シロクマ文芸部

           紫陽花を移植したと聞かされたときは驚いた。目を開けるとそこには、僕を覗き込む知らない二人がいた。  白衣を着た中年の男と、薄ピンク色の入院着姿の少女だった。この二人以外、誰もいないようだ。僕は二人を交互に見たが、すぐに少女のことは見ないようにした。なぜなら彼女は、頭に大きな手術痕があったのだ。その痕を僕が見ることができるということは、つまり少女は坊主頭だった。  僕は白衣の男に話した。 「今この状況を説明してくれるとしたら、その適任者はおそらく貴方なのだと思うけど、まずは

          掌編小説 | アジサイ移植 | シロクマ文芸部