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青豆エッセイ

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エッセイを纏めます。
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記事一覧

「真っ暗な中でキャッチボール」を想像できるか、という話。

「真っ暗な中でキャッチボール」を想像できるか、という話。

先日、とある目的から小学校を訪問した。

入口に立つ警備員に挨拶をして正門を抜けると一年生が校庭でボール投げをしていた。

真上にボールを投げて、ボールが上がっている間に「いちにさんし」と手を叩く。そしてボールをキャッチ……できない(笑) 
頭に受けたり、肩に当たって弾き飛ばしたりしてキャッキャしている。そんな彼らの笑顔は天使のよう。

校舎に入り、各学年のフロアを覗く。

オープンな造りで、教室

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思考|ハエを払う左手のウェーブ

思考|ハエを払う左手のウェーブ

全然、大した話ではないのです。

今朝、マクドナルドでコーヒーを飲みながら本を読みつつ、ふと思ったことなどを紙のノートやらスマホのメモなどに入れていました。

私はカウンターの端に座っておりまして、並びにはこれから出社という男性客が朝食を取っています。
そこへ一匹のハエがやってきて順番に男性客に絡んでいきました。
無言でハエを払う左手。それが次々連鎖して「ウェーブ」しているみたいで面白かったのです

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ある日、罵倒する世界に飛び込んだ。

ある日、罵倒する世界に飛び込んだ。

約一年前に「罵倒教室」という小説を書いた。そのあとがきのようなものを、今更だけど書きたい。

「罵倒教室」の簡単なあらすじとしては、人生が平凡でつまらないと考える実家ぐらしのOLが、特異な体験・刺激を求めて「罵倒教室」の門を叩くという話だ。SNSのやり取りから始まり、講師から指導を受けて最後には対面で罵倒するという試験をクリアしていく。

実をいうと、この話には私の実体験が多く含まれている。守秘義

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ここにある すべて。

ここにある すべて。

午後八時半。チャイムが鳴った。
誰か訪ねてくる予定はない。なにかネット注文していただろうかと考えたが思いつくものはなく、インターホン越しに要件を聞いた。

相手は聞き覚えのある声で「郵便局です」と言った。

こんな時間に郵便物が届くのは珍しい。だけど、これが朝の八時ごろであれば、送り主にだいたい察しがつく。

おじさんだ。

おじさんというのは私の長年の文通相手のことで、御年80歳。私が幼い頃住ん

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創作大賞感想 | わたしの子宮は胎児を殺す。

創作大賞感想 | わたしの子宮は胎児を殺す。

今朝、コニシ木の子さんの感想文から、めぐみ ティコさんのエッセイを知った。

正直な話をすると、このタイトルを読んでもわたしはそんなに衝撃を受けなかった。
『女だから』。
だいたい想像がつく。

そして拝読してみてもやはり予想の範囲を出ない内容だった。
『女だから』。

そうして冷静に読んで受け止めていた。
『女だから』。

だけど
本当にわたしは『女だから』という理由で
めぐみ ティコさんの書か

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エッセイ | もしも女性器が服を着るなら。

エッセイ | もしも女性器が服を着るなら。

 1月に受けた健康診断で、毎年のことではあるのだけど様々な項目で再検査や経過観察を言い渡された。その中で、今回新たに〝ある疑い〟の記載があった。
〝子宮留膿腫〟

 なにそれ、という感じで調べると、閉経後の高齢の女性に起こりやすいものだった。

 無症状で進行するというところが怖い。まるで爆弾を抱えているみたいじゃないの、というわけで、指示通り大人しく半年待って、ついに検査をした。



 婦人

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 #創作大賞感想 | なんのはなしですかコニシ木の子さん。

#創作大賞感想 | なんのはなしですかコニシ木の子さん。

はじめに。

私は文通をひとつの趣味としていますので、これはある意味、大切な方がno+eの街に放った文章に対する返信・お手紙です。

むかしむかしあるところに、
3年間もたった一人で
「なんのはなしですか」と
自分自身や、振り向かない周囲に
叫び続けた〝男〟がおったそうな……。

皆様はこの話をご存知ですか?
これは現代のno+e史に刻まれつつある、壮大な物語の冒頭です。

「なんのはなしですか」

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エッセイ | noteで個人企画に参加するということ。企画への愛を語りたい。

エッセイ | noteで個人企画に参加するということ。企画への愛を語りたい。

 なぜ今なのかは自分でも不明ですが、偏見たっぷりに語ってみたいと思います。



はじまり

 わたしが自分で書いた文章を、恐れ多くも〝作品〟などと呼び始めたきっかけは、超ショートショートを書いたことでした。

 初めは自分で考えた〝お題〟で書きました。それに飽きてきた頃、知人から〝お題〟をもらうようになりました。
 それが楽しくなって、5作くらい出来上がったところでnoteにやって来ました。そ

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エッセイ | 手料理をねだる〝第三の父〟へ送る不幸の手紙。

エッセイ | 手料理をねだる〝第三の父〟へ送る不幸の手紙。

 もやもやしていて他のことに集中出来ないので吐き出してしまおう。

 料理のことである。

 わたしは料理が苦手だ。それなりに頑張ってみた時期もあるし、楽しいと思ったこともなくはないけど、ほんの一瞬だった。そもそもセンスが無い。そして、ずっと認めたくはなかったが、興味がない。

 どうして突然料理のことを嘆いているかというと、発端はおじさんだ。

 おじさんはこの十日ほどの間に、わたし宛に三通の手

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エッセイ| 下書きというよりは隠してる。

エッセイ| 下書きというよりは隠してる。

 隠している記事がある。

 私は基本的に下書きはいつもゼロ。その都度書く。もちろん、続きものの小説を区切って出す時にはためておくけれど、それ以外はいつもその時の想いが新鮮なうちに、と思っている。
 逆に、日記などはある程度時間が経過して鮮度が落ちたと自分で判断したものは下書きに戻す。

 そんなことを繰り返している私のnoteで、初期の頃に投稿して、すぐに引っ込めた記事がある。新鮮なうちに下書き

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エッセイ | おじさんと小説

エッセイ | おじさんと小説

 知人と久々にランチをした休日。出先でヤマト運輸から不在通知をメールで受け取った。
 休日の朝、私のもとに届くゆうパックであれば、それは九割以上の確率で送り主はおじさんだ。だけど、今回はヤマト運輸からの荷物だったために、私はしばし考えてしまった。

 ちなみに、おじさんというのはわたしの長年の文通相手のことで、御年80歳、血縁関係にはない。幼少期の近所付き合いから、住む土地が変わっても30年間文通

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エッセイ | 40歳差の私たち。文通30周年メモリアルイヤーはエメラルドグリーンの輝き。

エッセイ | 40歳差の私たち。文通30周年メモリアルイヤーはエメラルドグリーンの輝き。

 祝日の朝早く、ゆうパックが届いた。
    私にゆうパックを送ってくれる相手で思い当たるのは一人しかいない。おじさんだ。

 おじさんというのは、私の長年の文通相手のことで、昭和19年(1944年)生まれの八十歳である。

 おじさんとは、私が一歳の頃に出会った。

    おじさんは当時私が住んでいた家の、真向かいにある古いアパートの一階に夫婦で住んでいた。
    その頃から、家の前で会えば

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エッセイ | 善悪でだめな時は損得で考えてみるのかもしれない。

エッセイ | 善悪でだめな時は損得で考えてみるのかもしれない。

    どうにもならず、ぐるぐる思考に陥ることがある。そんな時、大抵は推しのライブ動画を真剣に見たり、寝たり、書いたりで気分をあげることができるのだけど、今日はなかなか苦戦している。
    本を読んでみたり、15分仮眠してもだめ。頭の中が熱くて重い。

『善悪で考えずに損得で考えてみなさい』と言った誰かを思い出す。

    確かに、今日のわたしを悩ます問題に関して言えば、自分本位に善悪をつけて

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エッセイ | 創作記念日につき

エッセイ | 創作記念日につき

今日3月8日は、ちょうど一年前に、私が初めて〝超ショートショート〟に挑戦した日です。つまり、物語を書き始めた記念日です。

たまたま書店で見つけた本の「誰でも書ける」という謳い文句を信じて、お遊びで始めた創作でしたが、飽きることなく、一年経った今でもどっぷりハマっています。

(ちなみに、初めて書いた超ショートショートのお題は「スタイルの良い桜」です)

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この一年、小説はお遊びで書いては

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