駅近マンションに引越した彼女の 亡き夫は花を育てるのが趣味だった 空き家になったままの庭の花々を いつでも好きなだけ持っていってねと 彼女が言うので 雨上がりに人知れず咲く一輪がいとおしく 根っこごとわが家に連れてきた 「私を見て!」と そのバラは嬉しそうに 今朝も咲いている