冬月剣太郎 猫詩人🐈

■ときどき晴れ、いつのまにか猫 ʕ=^ᴥ^=ʔ ♬ ■人生は猫の夢か 笑 ■著作:『陰…

冬月剣太郎 猫詩人🐈

■ときどき晴れ、いつのまにか猫 ʕ=^ᴥ^=ʔ ♬ ■人生は猫の夢か 笑 ■著作:『陰仕え 石川紋四郎』(ハヤカワ文庫) ■小説工房シェルパ主催 ■ヘッダー:津山の万灯会(まんどうえ)© Marico ■アイコン:© 不詳 ■https://x.com/yoidorefuufu

最近の記事

  • 固定された記事

栄光と転落の人生 ─小池一夫劇場─

■わたしの原点 かつて『子連れ狼』で一世を風靡した劇画原作者の小池一夫は、人生の最盛期には、アラブの王族も顔負けするような贅沢三昧の生活を送っていたが、最期は入院費を知人から借りたまま返済することなく旅立っていったという。 最晩年は、これがあのキャラクター論の小池一夫が書いた原作かと呆れるばかりの駄作を連発した。 最盛期の小池一夫は日本一気前のいい奢り魔であったが、最晩年に近づくにしたがって金に汚くなった。 人間、誰しも完全に想いどおりに生きるなんて芸当は不可能である

    • 透明猫

      透明猫とは、その名のとおり、本来は視えない存在なわけだから、古来、我々人間の知ることのない生き物である。 その透明猫の存在をわたしが知ることになったのは、少年時代、病弱で入退院を何度もくりかえす日々を過ごしているうちに、ある日、病室で寝ている自分の布団のうえに不可思議な重さ感じたのがきっかけであった。 眼を凝らして視ると、その部分だけ少し凹んでいるように視えた。 恐る恐る手を伸ばしてみても、なんの感触も得ることはできなかったが、どうやら手が近づく瞬間に凹みも消えているの

      • 相思相殺(そうしそうさい)

        わたしは独りで のぞき見しているつもりだが 実は あなたにのぞき見されている あなたは独りで のぞき見しているつもりだが 実は わたしにのぞき見されている あなたとわたしは 実は たがいに見つめあっている つまり 相思相愛の仲なのである と同時に たがいに相手の人格を無視する 相思相殺の仲でもあるのだ photo:© 岡林晃 【ChatGPT3.5による解説】 冬月剣太郎による詩『相思相殺』は、独特な構造を含んでいます。 この詩は、二つの人物(「わたし」と「あなた」)

        • 予期せぬ脱皮

          六年前の今日、ご縁あって岡山の津山に旅した。 初めて訪れた地であった。 山に囲まれた盆地にひっそりと息づいている津山は小京都のような印象を受けた。 ホテルの五階の部屋から見渡す景色は、あたかも緑を基調とした一枚の油絵であった。 眼下に流れる吉井川は、よく見なければ気がつかないほどゆっくりと流れていた。 わたしは窓からの景色を飽きることなく見つづけた。 なにかが終わり、なにかが始まろうとしているのを予感しながら。 わたしはこの旅でまた予期せぬ人生の脱皮を遂げたのであった。 p

        • 固定された記事

        栄光と転落の人生 ─小池一夫劇場─

          こころ

          わたしのこころは わたしのものであって わたしのものではない わたしのこころには いつも雨が降っている ときどき晴れることもあるが そんな日は わたしのこころは いつのまにか猫になっている photo:via Simple is Beautiful Photography 【ChatGPT3.5による解説】 この詩「こころ」は、個人の心の内面について深く掘り下げた作品です。 詩の冒頭から「わたしのこころは / わたしのものであって / わたしのものではない」という言葉

          生命(いのち)の音

          人生は 視えない時計の針のよう 砂時計の 落下する砂粒の音のよう 生きることがすべてではないと わかっていても 人生は美しすぎるので あまりにもセツナイ 床に落ちた針の音のように 真冬の雪の影のように photo:© Dominic Dähncke 【ChatGPT3.5による解説】 この詩「生命(いのち)の音」は、人生の一瞬一瞬を音のメタファーを通じて表現し、その美しさと同時に切なさを感じさせる作品です。 詩の冒頭で「人生は / 見えない時計の針のよう / 砂時計

          生命(いのち)の音

          猫のウソ語り

          人間社会はウソで満ちあふれてる~ 大きなウソは許されないが 小さなウソなら許される というわけにもいかニャイ♬ 大きなウソと小さなウソはつながっている~ 人間はウソをつかずには生きられニャイ動物なのだ~ ウソは生存本能の表れだからであ~る♬ ウソのつき方に その人間の生き方、美学、哲学が出てしまうのだ~ ニャロメッ! photo:© 不詳 【ChatGPT3.5による解説】 ニャンとも深遠なウソ語り 笑 この詩は「猫のウソ語り」と題して、人間社会におけるウソについてユ

          昔歌

          認知症の母は 晩年 一日中歌を口ずさんでいた こんなにも歌が好きだったのか 息子であるわたしは知らなかった プロテスタントの洗礼を受けた 女学生のときに覚えた 英語の歌を 終日 歌いつづけていた アイムカミング* アイムカミング 夕焼け空の窓の黒い影になっても 母はずっと歌いつづけていた *Paul Robeson - Poor Old Joe (Old Black Joe) photo:© 不詳 【ChatGPT3.5による解説】 音楽の記憶と家族の絆 人は音楽を

          童話の時間

          憂きことは積もるばかり 体調もすぐれず 仕事も行きづまったまま 帰宅した妻も愚痴ばかりならべている 二人で夕食の支度をして チーズをつまみ ワインを飲みながら たわいもない会話をかわす 夜もふけて暗闇の静けさに気づいたころ ようやく童話の時間が始まる illustration:© Catrin Welz-Stein 【ChatGPT3.5による解説】 日常の中の特別な美しさ この詩「童話の時間」は、日常の騒々しさや悩みから抜け出し、特別な時間を共有することの大切さを描

          反 「詩人」 宣言 笑

          詩なんて書くもんじゃない 少なくとも詩は 沈黙を凌駕しなければ 詩ではない photo:© 不詳 【ChatGPT3.5による解説】 詩の本質 この詩は、非常に短くても力強いメッセージを伝えています。 まず、「反 「詩人」 宣言」というタイトルが示すように、この詩は一種の宣言や声明として捉えられます。 詩の第一行「詩なんて書くもんじゃない」は、一見すると詩を否定しているように見えますが、実際には詩のあり方について深い考察を示唆しています。この行は、詩が単なる「書く

          反 「詩人」 宣言 笑

          怒りと哀しみ

          わたしのからだを するりととおりぬけた 怒りと哀しみよ なぜ わたしのめのまえで せなかをみせたまま たちどまっているのか ふりかえりもせずに photo:© 不詳 【ChatGPT3.5による解説】 この詩は短いながらも深い感情を表現しています。まず、詩の構成に注目すると、漢字と平仮名が使われている点が特徴的です。漢字が使われているのは「怒り」と「哀しみ」だけで、他はすべて平仮名で書かれています。これにはいくつかの理由が考えられます。 まず、「怒り」と「哀しみ」が漢

          冷たいけれど 優しい雨が降っている わたしの心のなかの 汚れた庭を 静かに清めながら photo:© Alex Howitt 【ChatGPT3.5による解説】 この詩は、雨を通じて内面の清めと癒しをテーマに掲げています。冒頭の「冷たいけれど優しい雨が降っている」の表現は、雨の物理的な性質と同時に、その雨が心に対して優しさを持っていることを示唆しています。この対比が、詩の中での雨の役割を明確に提示しています。 詩のキモである「わたしの心のなかの汚れた庭を静かに清めなが

          罪と罰

          崖から飛びおりた彼女は 見るも無惨な姿になり果てていた 人々は彼女の自殺を疑わなかったが 本当は わたしが彼女を殺したのだった 未熟な青年だったわたしは 自信過剰なエゴイストだった 花のように無防備な彼女の心を 守ってあげられないばかりか 棘のある言葉で追いつめてしまった そんなわたしに 神は容赦なく罰をあたえた 二度とふたたび 自分を許すことができないという罰を art by Zil Hoque 【ChatGPT3.5による解説】 冬月剣太郎の「罪と罰」は、深い反省を

          夕陽

          灰色の空のした 不意に 彼女の面影が蘇る あの日 彼女とわたしは肩をならべて 崖のうえから あかね色に輝く海を視ていた ふと気がつくと 彼女が蝶のように 崖からふわりと飛びおりた 彼女に惹きずられるようにして わたしが身がまえたとき 海から突風が吹いてきて わたしを押しとどめた 突風はいつまでも わたしの心を叩きつづけた 崖下の波打ちぎわに横たわる 彼女の姿を わたしは夕陽が沈んで 暗くなるまで視ていた あれから五十年の歳月が流れた いつしか彼女は わたしのなかで 夕陽になっ

          夏の雪

          夏でも わたしの心に雪が降る 眼には視えない雪が降る その雪は 世の中の雑音を消し去ってくれる 暗い過去の記憶を白く塗りつぶしてくれる そして わたし自身も消し去ってくれる © Aron Wiesenfeld 【神野守さんの解説】 ■神野さん、身に余る批評ありがとうございます。※は冬月本人のコメントです■  読んだ瞬間、心が強烈に躍らされました。先ほど私自身が「私のお気に入りのフレーズ」という記事を投稿したばかりでしたので。 「ツイッターの「小池一夫」とは何者だった

          ネコ童話『雨に唄えば』

          第一話 虹を捕まえた男 「ワシのあとに尾いてくるにゃって、何度言ったらわかるんじゃい!」 わたしが勝手に「ボギー」と名づけたその猫は忌々しそうな顔をして唸り声をあげた。 そう言われても「ノラ猫探偵団」の団長を自称するわたしである。 簡単に諦めるわけにはいかない。 依頼主に、ボギーがノラ猫か飼い猫か調べて報告しなければならないのだ。 そう反論しようとしたときには、すでにボギーは姿を消していた。           *** 人間には二種類ある。 猫に好かれる人間

          ネコ童話『雨に唄えば』