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予期せぬ脱皮

六年前の今日、ご縁あって岡山の津山に旅した。
初めて訪れた地であった。
山に囲まれた盆地にひっそりと息づいている津山は小京都のような印象を受けた。
ホテルの五階の部屋から見渡す景色は、あたかも緑を基調とした一枚の油絵であった。
眼下に流れる吉井川は、よく見なければ気がつかないほどゆっくりと流れていた。
わたしは窓からの景色を飽きることなく見つづけた。
なにかが終わり、なにかが始まろうとしているのを予感しながら。
わたしはこの旅でまた予期せぬ人生の脱皮を遂げたのであった。

photo:万灯会(まんどうえ)© Marico

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