マガジンのカバー画像

おじさんマガジン

17
長年の文通相手である「おじさん」に関する記事を纏めます。
運営しているクリエイター

記事一覧

ここにある すべて。

ここにある すべて。

午後八時半。チャイムが鳴った。
誰か訪ねてくる予定はない。なにかネット注文していただろうかと考えたが思いつくものはなく、インターホン越しに要件を聞いた。

相手は聞き覚えのある声で「郵便局です」と言った。

こんな時間に郵便物が届くのは珍しい。だけど、これが朝の八時ごろであれば、送り主にだいたい察しがつく。

おじさんだ。

おじさんというのは私の長年の文通相手のことで、御年80歳。私が幼い頃住ん

もっとみる
エッセイ | 手料理をねだる〝第三の父〟へ送る不幸の手紙。

エッセイ | 手料理をねだる〝第三の父〟へ送る不幸の手紙。

 もやもやしていて他のことに集中出来ないので吐き出してしまおう。

 料理のことである。

 わたしは料理が苦手だ。それなりに頑張ってみた時期もあるし、楽しいと思ったこともなくはないけど、ほんの一瞬だった。そもそもセンスが無い。そして、ずっと認めたくはなかったが、興味がない。

 どうして突然料理のことを嘆いているかというと、発端はおじさんだ。

 おじさんはこの十日ほどの間に、わたし宛に三通の手

もっとみる

AIに訊ねてもわからなかったので、どなたかお力をお貸しくだされば幸いです。
おじさんから葉書でクイズを出されました。
「私が育った田沢(秋田)では近所に遊びに行くと必ずかけてもらう言葉があります。それはなんでしょう」
〝○○会ったか?〟が答えだそうで、○○の部分を知りたいです💦

エッセイ | おじさんと小説

エッセイ | おじさんと小説

 知人と久々にランチをした休日。出先でヤマト運輸から不在通知をメールで受け取った。
 休日の朝、私のもとに届くゆうパックであれば、それは九割以上の確率で送り主はおじさんだ。だけど、今回はヤマト運輸からの荷物だったために、私はしばし考えてしまった。

 ちなみに、おじさんというのはわたしの長年の文通相手のことで、御年80歳、血縁関係にはない。幼少期の近所付き合いから、住む土地が変わっても30年間文通

もっとみる
エッセイ | 40歳差の私たち。文通30周年メモリアルイヤーはエメラルドグリーンの輝き。

エッセイ | 40歳差の私たち。文通30周年メモリアルイヤーはエメラルドグリーンの輝き。

 祝日の朝早く、ゆうパックが届いた。
私にゆうパックを送ってくれる相手で思い当たるのは一人しかいない。おじさんだ。

 おじさんというのは、私の長年の文通相手のことで、昭和19年(1944年)生まれの八十歳である。

 おじさんとは、私が一歳の頃に出会った。

おじさんは当時私が住んでいた家の、真向かいにある古いアパートの一階に夫婦で住んでいた。
その頃から、家の前で会えば

もっとみる
日記 | 好き勝手やる。お互いに。

日記 | 好き勝手やる。お互いに。

おじさんから何やらダンボールで届いた。

おじさんは先月誕生日を迎えて、80歳になった。
前年、おじさんの誕生日を数日すぎてから祝辞を述べたら拗ねられたので、今回は年末に一ヶ月早くビール券を送っておいた。
お歳暮ではなく、誕生日プレゼントだと念押して。

そうして一月の末にようやく、わたしから年始の挨拶とおじさんへのバースデーメッセージを送った。実は今回も手元に残しておいたビール券を三枚だけポチ袋

もっとみる
日本人は失恋しているらしい。 (日記)

日本人は失恋しているらしい。 (日記)

今朝、家を出る間際の忙しい時間にチャイムがなった。
朝は大体、化粧をしながらnoteを読んでいたりするのでついついのんびりしてしまう。

インターホンからは「郵便局です」の声。急いで前髪につけていたピンをはずす。姿見の前に2秒だけ立つ。その2秒で靴下の中に部屋着のズボンの裾を入れていたことを思い出し、慌てて直す。そしてフローリングを滑るようにして玄関へ走った。

郵便局の方は大体いつも急いでいる。

もっとみる
床までの心理的な距離だったりする。 (ゆるエッセイ)

床までの心理的な距離だったりする。 (ゆるエッセイ)

先日、夏に使ってそのままにしていたサーキュレーター2台をようやくしまうことができた。
サーキュレーターに睨まれながら過ごす日々にも慣れてしまっていたが、何せ空気が乾燥してきたので、加湿器を出したかった。それにはサーキュレーターをしまうしかないという“置き場所”問題が発生したことにより、ようやく問題解決に至った。
問題、というか悩み事。
サーキュレーターを出しっぱなしにしていることは、私の中の小さな

もっとみる
ブドウの失敗をシャインマスカットで越えていく (日記)

ブドウの失敗をシャインマスカットで越えていく (日記)

おじさんからの郵便物は大抵、朝のメイク中に届く。
おじさんというのは私の長年の文通相手のことで、つい最近「飼い猫のパンダちゃんの注射代が高くなったから今後は贈り物は出来ない」と言っていたのに、その宣言後、二回目の贈り物が届いた。

家のチャイムが鳴った時、私はまだ眉毛を描いている途中だった。前髪をとめていたピンを急いで外し、パーカーを羽織った。下は柄物のレギンスだったけれどスポーティだから許される

もっとみる
てんてんてんは三点リーダーというらしい。(エッセイ)

てんてんてんは三点リーダーというらしい。(エッセイ)

―3ヶ月前。

「超!大事」
という題で書かれた、文通相手のおじさんからの手紙のおもて面を読む。

noteの創作大賞応募期間に送られてきたおじさんからの手紙は、図書館で雑誌の1ページを印刷したA4紙の裏に書かれていた。
おもて面には、「文學界新人賞原稿募集」の告知が印刷されている。

おじさん手書きの面には、箇条書きでこの告知を私に送った主旨のようなものが書き連ねられていた。
おじさんは、過去に

もっとみる
ミスター、ドーナツ (日記)

ミスター、ドーナツ (日記)

あえて苦手なバスに乗った。
文通相手(80歳男性)への貢ぎ物を買いに数駅先の繁華街へ行く。

敬老の日に文通相手から私に果物が届いた。
飼っている猫の注射代が1万円も高くなったから、今後は贈り物はできないと言っていた矢先だった。

なんだか申し訳ないなと思いながらダンボールを開けると、葡萄、りんご、梨があった。毎日まだまだ暑いので、クール便でなかったために葡萄にはカビが生えていた。残念だが直ぐに捨

もっとみる
94円でクイズに答える。 (エッセイ)

94円でクイズに答える。 (エッセイ)

昨日、家のポストを開けるとおじさんから手紙が届いていた。
文通相手のおじさんは、その時々で様々な厚さの手紙を送ってくれる。今回は薄い。
直ぐに読みたい気もしたけれど、午後は用事が詰まっていたので、落ち着いたらゆっくり読もうと一旦放置。noteで記事を読むのと違って、手紙は移動の合間にちょこっと読むとか、そういう慌ただしい読み方をしたくない。
そんなことを思っていたらすっかり忘れて、夜になってしまっ

もっとみる
おじさんと私の間を流れる不要品たち。(エッセイ)

おじさんと私の間を流れる不要品たち。(エッセイ)

土曜の朝。郵便配達のお兄さんは、怪しい衣装ケースを運んできてくれた。
透明な80サイズくらいの使い込まれた衣装ケース。持ち手の部分や全体に、青い養生テープを巻き付けてある。この斬新な梱包を施した主は、やはり文通相手のおじさんだった。

中身は透けて見えているが、どう見ても冬物のジャケットだった。それが2枚、ぎゅうぎゅうに詰められている。

見た感じ、手紙らしきものは入っていないようなので、ひとまず

もっとみる
うれぴー。

うれぴー。

はじめに。

「うれぴー」は死語でしょうか。
【死語辞典】なるものに載っていたので、使う人は少なくなっているのでしょう。
それでも私は、の〇ピーさんが人類の記憶の中に存在し続ける間は使っていても良いと思っています。

*****

今日は年に一度の検診があって(私ではありませんが)大きな病院へ行きました。

広々とした院内。
座り心地の良いソファーがたくさんあって、Wi-Fiもあって、予約なので待

もっとみる