カタツムリと呼ばれた友人【ショートショート】
中学生の頃、僕には少し変わった巻野という友人がいた。
彼は家を背負っているのだ。
家というのは何かの比喩ではなく、正真正銘、彼の住む家だ。
学校へ行くときも、公園で遊ぶときも、修学旅行に行ったときだって背負いっぱなしだったのだ。
重くないのかと聞いたときも「自分の家だからね」と笑顔で返された。
そんな風貌だったこともあり、彼のことを「カタツムリ」と呼ぶ心ないクラスメイトもいた。
近くにいながら何も言い返せない僕も情けない男だったのだが、彼に「まぁいい、まぁいい」と逆に慰められ