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【掌編小説】今日から猫が社長です

とある会社で、ある日突然、社長が猫に代わるという驚くべき出来事が起こりました。新しい社長、ミャオ社長の就任は、社員たちにとってはまさに晴天の霹靂でしたが、意外にも会社は大いに賑わいました。

初めての会議の日、社員たちは緊張の面持ちで会議室に集まりました。ミャオ社長は会議室の中央に置かれたふかふかのクッションの上で気持ちよさそうに丸くなっていました。

「おはようございます、社長!」と、部長の田中さんが声をかけました。

ミャオ社長はゆっくりと目を開け、「ミャー」と一声。田中さんは戸惑いながらも
「今日の議題は新製品の開発についてです」と言いました。

ミャオ社長はのんびりと伸びをしながら、窓の外を見つめました。社員たちは顔を見合わせ、困惑気味の様子でしたが、田中さんが進行役を務めることにしました。

「新製品は猫用の高級ベッドです。どうすれば他社と差別化できるかアイデアを出しましょう」と田中さんが言うと、社員たちは一斉に意見を述べ始めました。

その時、ミャオ社長が突然、テーブルの上に飛び乗りました。そして、プレゼン資料の上を歩き回りながら、気に入った場所に座り込みました。

社員たちは驚きましたが、ミャオ社長が選んだ場所には「ふかふか素材」と書かれていました。

「なるほど、社長はふかふか素材が重要だとおっしゃっているんですね!」田中さんは感心して言いました。社員たちは納得し、次の議題に進むことにしました。

昼食の時間になると、社員食堂では新メニュー「社長監修キャットフード風ランチ」と「猫の気まぐれサンドイッチ」が登場しました。
社員たちは冗談半分で試してみると、意外にも美味しいと評判になりました。特に「猫のきまぐれサンドイッチ」は、毎回具材が変わるというユニークなもので、社員たちは楽しみにしながら食堂に行き、それぞれのサンドイッチを見て笑顔を浮かべました。「今日はチキンカツサンドか!」「僕のはツナとキムチだ!」という声があちこちから聞こえ、オフィス全体が和やかな雰囲気に包まれました。

午後の会議では、ミャオ社長が再び会議室に登場しました。今回の議題は、社員の福利厚生についてです。

「社長、社員のリフレッシュのためにどんな施策を提案されますか?」と田中さんが尋ねました。

ミャオ社長はしばらく考えた後、突然、会議室の隅にある観葉植物に飛び乗り、リラックスし始めました。

「なるほど、緑の多いオフィス環境が大事ということですね!」と田中さんが解釈しました。社員たちはミャオ社長の提案に感謝し、オフィスに観葉植物を増やすことに決めました。

翌日、社員たちは一斉にオフィスの緑化計画に取り組みました。観葉植物が次々と運び込まれ、オフィスはまるでジャングルのように緑に包まれました。ミャオ社長は嬉しそうに新しい植物の間を歩き回り、時折その中に座り込んでリラックスしていました。

その週の金曜日、オフィス全体で「緑の感謝デー」というイベントが行われました。社員たちはオフィスの緑を楽しみながら、リラックスした雰囲気で仕事をしていました。

そんな中、営業部の鈴木さんがミャオ社長の元へ来て、質問をしました。「社長、次に私たちが取り組むべきプロジェクトは何でしょうか?」

ミャオ社長は一瞬考え込んだ後、突然、観葉植物の上に飛び乗り、オフィスの窓から外を見つめました。社員たちはその動きを見て、興味深げに見守っていました。

「外の世界にもっと目を向けろということですね!」田中さんが解釈しました。「新しい市場や可能性を探るべきだとおっしゃっているんだ!」

社員たちはこの提案に大いに賛同し、新しい市場調査プロジェクトを立ち上げました。ミャオ社長の直感的なリーダーシップは、社員たちに新しいインスピレーションを与え、会社は新たな方向性を見つけることができました。

その後も、ミャオ社長は独自の方法で会社を導き続けました。
ある日、ミャオ社長は突然、会議中にお気に入りの玩具を追いかけ始めました。社員たちは戸惑いましたが、田中さんがすぐに解釈しました。「仕事と遊びのバランスを取ることが大切だということですね!」

こうして、猫の社長が率いる会社はますます活気に満ち、社員たちも楽しく仕事をするようになりました。ミャオ社長のリーダーシップは、誰もが予想しなかった形で会社に幸せをもたらしたのでした。




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