63・1000円札を渡したらお礼を言われた

逃げられないように右膝の腱を切られた。 男はそう言った。 聞こえないくらいの小声だった。その上かすれて半分くらい空気が漏れている感じだった。 だけど今まで歩いてきましたよね。 オレは言った。 そんな細かいことはどうでもいい。 さらに壮大に息を漏らしながら、紙やすりをこするような声…

雨の形~あめのかたち~

俯いた君の首筋に雨が落ちていく 小さな水滴がとどまることなく流れ 首から肩へ、首から頬へ シャツの隙間をたどり背中へ腕へ ぴったりと君に寄り添い しっとりと覆いつくすように 雨に形があるのなら、 それはきっと君の姿をしている 文字あそび 雨の形~あめのかたち~ 今日の言葉は、お写真提供…

更新しました。note から引っ越し。→ 街道筋 - たなかなつみ https://tanakanatm.wordpress.com/2021/06/24/%e8%a1%97%e9%81%93%e7%ad%8b-%e3%81%9f%e3%81%aa%e3%81%8b%e3%81%aa%e3%81%a4%e3%81%bf/

更新しました。note から引っ越し。→ 通り雨 - たなかなつみ https://tanakanatm.wordpress.com/2021/06/25/%e9%80%9a%e3%82%8a%e9%9b%a8-%e3%81%9f%e3%81%aa%e3%81%8b%e3%81%aa%e3%81%a4%e3%81%bf/

客として見た帰りに? 6.25

「でもこうやって客の立場としてみるのは面白かった」風林ハウスの真中俊樹が運転する車の助手席には、受雷工務店の竹岸涼香が座っていた。「でもばれたらいろんな意味でまずかったかもしれないわ」  このふたりライバル会社の営業同士ながらも、気が付けば意気投合している。デートのようなことも重…

【54字の物語/ハッピーエンド編】《読めば幸せ独り占め!傑作、いや、ケッ作集》

どうもミックジャギーでございます。 お待たせいたしました!お待たせしすぎたかもしれません!ナイスでゴージャスな54字小説集でごさいます。 え?..全然待ってない? あ、そうですか.. いや、そんな事言わないで下さいよ。 コンテスト入選を目指して、コツコツ作ったんですから..落選でしたけど。 …

62・ぼくがすきな豪雨

たいふうがきた。 すこしまえからテレビでガラスにテープをはりましょうとかうえきばちをへやのなかへとかでんちゅうがたおれていえがつぶれるとかせんでんしていた。 あさになってばあちゃんがみやざきからでんわかけてきた。 かずぼう、はやくにげろって。 ぼくはママのおいはいとタオルとさいふ…

【SS】天国の向こう側

「人は死んだらどこにいくのか?」 これは僕の長年の疑問だった。 「いずれわかる」  と亡くなったじいちゃんは僕に言ったが、死んだ後でじいちゃんは僕に教えてはくれなかった。    死んだらどうなるか? これは教えてくれる人は一人もいない。  どうせすることもないし、一つ死んでみるか。 …

開かずの踏切、スカートの汚れ

久々に会う彼とこじゃれたカフェでディナーをするために、日もとっぷりと暮れた街を新しいスカートを履いて歩いていた。 遮断機のバーが降りはじめて、しかし私は走ることをしなかった。ワイヤレスイヤホンの右側が耳から落ちてしまいそうだったからだ。 真っ赤な警告灯が明滅する。電車が通過すれば…