ヨロイマイクロノベルその34
331.
80歳になっても母は「かたたたきけん(えいきゅう)」を使用する。通知が届くと十分かけて原付で実家に戻る。すでに母はうつらうつらしている。わが家の近況を報告しつつ首周りを揉み、右、左、とんとんと叩く。やがて母は完全な眠りに落ち、私はバイクで来たことを忘れて歩いて帰る。
332.
暑さで自動販売機もおかしくなった。当たりつきでもないのに音楽が鳴る。ボタンが光る。押すとまた当たる。違うメロディーが流れる。少し長い。怖くなってきてホットのおしるこを押す。それも当たり、もう