任意点を打つように ボクたちの前に灯ります 少しの間のんびりと揺れて 揺れながら昇りはじめます 高く高く高く ボクたちから 遠ざかってゆきます だんだん小さく ロウソクの灯りくらいになったら ボクたちは そっと胸にしまいます もう 忘れることはありません それから ひとりずつ ひとりぼっちになってゆくんです
窓辺にネコがいる 闇に紛れ部屋を覗いている 近づいても臆することはなく ただ 目を細め ひげと耳をねかせるだけだ ネコを真似て尾を揺らしてみる 濁点を払うようにはうまくいかない ネコが跳ぶ かすかに空気が揺れる ネコから夜へ 夜の深みへ 窓を開けてみる 残された鳴き声に 猫背の孤独たちが尾を揺らしている ひんやりと気持ちのいい夜だ
毎朝 コーヒーを淹れる 季節が巡っても 部屋が変わっても 目覚めが良くても 悪くても 悔しくても 味気のないコーヒーを 何杯 淹れてきただろう 何杯 飲んできただろう 豆を挽く ふたり分 粗目に挽く 深く煎った豆が砕け 香ばしさが漂う キミのブレンドは すごくおいしかった 近所のカフェなんかよりも ずっとね キミを真似て ゆっくり湯を注ぐ ポットを傾けながら思う ボクのこと わかってたかな 手を握ってたの わかってたのかな 魔法のキス 信じてなかったのかな ボクたちは