千本松 由季/小説家/YouTuber

東京都出身。文化服装学院デザイン専攻科卒。カナダ生活20年以上。マウントロイヤル大学小…

千本松 由季/小説家/YouTuber

東京都出身。文化服装学院デザイン専攻科卒。カナダ生活20年以上。マウントロイヤル大学小説創作講座修了。日本語と英語で小説を執筆。映像化した小説をYouTubeで発信中。ゴシック・アンソロジー『黒の聖餐』(デザインエッグ社)発売中。noteの創作サークルNEMURENUメンバー。

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  • YouTube『百年経っても読まれる小説の書き方』

    誰も言わない感想と文章の分析。 かなり本気の小説創作論。チャンネル登録をしよう! https://www.youtube.com/channel/UCRPUTEZPFUEvKSI2IAaHBjw

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    東京を舞台にした恋愛小説を、英語で書く試み。 https://www.inkitt.com/yukisembommatsu

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    YouTube「百年経っても読まれる小説の書き方」のテキスト版です。YouTubeで放映できない本音もたくさん。

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小説『俺の赤いネックレスとあの人の命日』

 この店には入ったことがある。店員さんの顔も覚えている。 「メンズってどの辺ですか?」  指差された硝子ケースを覗く。……やっぱりメンズは詰まらない。ネックレスならチェーンにチャームが一つぶら下がっているだけとか。ブレスレットなら丸い石が数珠みたいに連なっているのとか。  店員さんは男性たった一人だった。ドアが開いてショップに新鮮な空気が流れた。若いカップルの客が入って来て、店員さんはそちらに行ってしまう。  携帯の時間を見る。まだ大丈夫。……送られて来た住所は確かにこのショ

    • 『エッセイの書き方』

      エッセイの構造とはこんなものである。 一番大事なのは、3の「解決に向けて自分がどう実行してくか」、という部分だ。よくあるエッセイの末尾はこうだ。 3の「解決に向けて自分がどう実行していくかを書く」が完全に抜けている。新聞のコラムが代表的で、なんの意味も無い文章がずらずら並んでいる。新聞のコラムは、まずテーマに全く関係ない最近観た映画などについて語る。それからそのことがなにかを思い出させるということを語る。それからよくあるなんの解決にもならない御託で終わる。 エッセイで問

      • エッセイ『希死念慮』

        希死念慮という言葉はサウンドが非常によくて、四文字熟語の中でも結構冴えている。その意味は自殺したいな、とわやわや考えることである。 今回の希死念慮は原因が分かっているから本当に死にはしない。クエチアピン(英語: Quetiapine)という薬を増やしたことが原因だ。クエチアピンを飲み始めたのは二十年以上前で、その時は身動きが全くできなくて話もできないくらいだった。それくらい強い薬。 それでもって、今回初めて量が増えた。もともと量が多くないと効かない体質で、寝る前に300m

        • +18小説『ラビリンスとメス』

           まともな女より性欲が強いんだ。だからいつまでも止められない。  相手が来ない。こんなことなかった。風が出て、私の長い髪をくすぐる。開いたドアから、焼き鳥の煙が逃げる。髪に煙の匂いがつくのが嫌だなって思ったけど、そんなのもう遅いし。男達は決まって言う。写真より実物がいいって。こんな可愛い子、会ったことないって。……出会い系で。  なんで来ない? ずっと隅で、カウンターの隅で、一人で飲んでる男がいて、私より先にいて、でも写真とは大分違う。横顔しか見えない。レトロなアロハシャツを

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        小説『俺の赤いネックレスとあの人の命日』

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          YouTube書評『イン ザ・ミソスープ』村上龍。誰も言わない感想と文章の分析。

          動画を観てチャンネル登録もしよう。 この動画の台本をご紹介。 この書評は読む人の為ではなく、小説を書く人の為のものなので、 当然ネタバレしています。 初出 1997年 令和5年発行 幻冬舎文庫で読みました。 1月に6年振りに日本へ行った時に買った貴重品。 なぜ村上龍は小説の中で自分の思想を語ろうとするのか? 小説のプロットではない。小説と言うには無理がある。 しかし、小説としての普遍性は持っている。 思想的プロット。登場人物に思想を語らせる。 アメリカ人と日本人の

          YouTube書評『イン ザ・ミソスープ』村上龍。誰も言わない感想と文章の分析。

          エッセイ『雑談』

          全部読めますが、100円ください。よろしくお願いします。 この間みんなに、サイバー攻撃で巨大な損失を被ったKADOKAWAの為に文学賞に出そうという話をして、 そう言ったからには自分自身も出さなくてはいけなくなって、書きました。大変だった。そもそも小説を書くのなんて、苦しみが9割で、楽しみなんて1割くらいだと私は感じる。 それで、毎年言っているんだけど、この文学賞は、はっきりは忘れたけど、四つのファイルの書式をダウンロードして、それは多分「表紙ファイル(タイトルとペンネ

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          YouTube書評『トパーズ』村上龍。誰も言わない感想と文章の分析。

          新作です。ぜひ観てください。感想も貰えたらいいな。 253、『トパーズ』村上龍。誰も言わない感想と文章の分析。 00:00 純粋な心、村上龍の文学を代表する作品 01:50 トパーズの文体について 04:25 村上龍の狂気 05:05 小説世界の分析 12:10 トパーズの映画、三島由紀夫の『憂国』 18:40 梶井基次郎『檸檬』との比較 21:20 村上龍の天才的な技 この作品の台本を公開。 トパーズ 著作憲法をよく理解した上で教育目的で引用しています。

          YouTube書評『トパーズ』村上龍。誰も言わない感想と文章の分析。

          エッセイ『バイト先の会社が倒産して、まさかの現物支給?』

          最後まで読めるようにしておきますが、100円ください。よろしくお願いします。 その宇宙人のバックパックには、取り外しのできる可愛い宇宙人のランチボックスが付いている。皆は、私が誰かにあげるつもりで買ったと思ったらしく、私がこれを背負っているところを見て笑われた。 会社がぶっ潰れて、世間を知っている私とか店長とかは、多分給料を貰えないだろう、という予測をしているけども、若い子達は危機感を持っていない。店長によると、給料が出るにしても半年や一年は掛かるだろう、と。 それで、

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          エッセイ『バイト先の会社が倒産して、まさかの現物支給?』

          『12、純文学を手っ取り早くでっち上げる方法。百年経っても読まれる小説の書き方』

          「純文学を手っ取り早くでっち上げる方法」という、私のYouTube動画が、このところ、大体毎日誰かに観られている。需要があるのだろうと思って、これからそのことを書いてみる。 私のYouTubeチャンネル名は「百年経っても読まれる小説の書き方」だけども、百年前というと、おおよそ夏目漱石の『こころ』になる。1914年に朝日新聞で連載された。 純文学、というより、文学、は漱石が『こころ』に書いた、その通りの書式で書くもの。私はその通り書いてきたし、それ以外の書き方は私は絶対、許

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          『12、純文学を手っ取り早くでっち上げる方法。百年経っても読まれる小説の書き方』

          『11、推敲の極意。百年経っても読まれる小説の書き方』

          小説を書き終わったけど、どうもしっくりすっきりしない箇所がある。思い切って変えてみよう。 私の最新作『十字架とカモノハシ』がどう推敲されたか、その全てお見せします。 場面1、書き直す前の文章。 場面1、推敲した結果。 ポイント:車内に人がたくさんいる、という情景を付け足す。「辺りを見回す」=主人公の視線が180度回る。小説世界の空間を広げる。 場面2、書き直す前の文章。 場面2、推敲した結果。 ポイント:情景に深さを出している。小説世界をしっかり構築する。180

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          『11、推敲の極意。百年経っても読まれる小説の書き方』

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          YouTube書評『憂国』三島由紀夫

          三島由紀夫ファンが泣いて喜ぶ『憂国』(1961年)です。「切腹」を美しく、美しく描いた小説。五年後に映画も創られ、三島由紀夫の、プロデュース、監督、主演。わー、と驚くヌードシーンあり。 熱く語っているので、ぜひ観てください。 253、『憂国』三島由紀夫。誰も言わない感想と文章の分析。 YouTube書評『憂国』の台本を公開。 *著作憲法を良く理解した上で教育目的に引用しています 三島由紀夫 1925年―1970年 三島由紀夫ファンが嬉しくて涙を流す掌編 三島由紀夫の「

          YouTube書評『憂国』三島由紀夫

          小説『十字架とカモノハシ』NEMURENU参加作品。

           こないだ、進路が決まらないのは世情に疎いからだ、と担任に指摘されて悔しかったから、朝の電車通学ではニュースを観ることにしていた。  急ブレーキで電車が止まる。いきなりだったから、車内いっぱいの乗客達の身体は、がくんと前にのめり、悲鳴まで聞こえた。聖華は座っていたから影響はさほどなかった。もし、何らかの事故があったら、ここにいる人達とは運命共同体なんだな。どんな人がいるんだろう、と聖華は辺りを見回す。車内アナウンスが流れる。「只今、停車位置の修正をしております……」。  ほん

          小説『十字架とカモノハシ』NEMURENU参加作品。

          『10、その文章、おかしいよ。百年経っても読まれる小説の書き方』

          読者が、おかしいな、と思う文を書くと、作品に説得力が無くなる。作者は一気に読者からの信頼を失う。 実際に誰かがここ数日に投稿していた文です。内容は変えてあります。 実際にこれを書いた人がいるんだから、この文章をおかしいと思わない人もいる筈だけど。私は何回も読んだけど、やっぱりおかしいと思う。 どう考えても、「毛布に包まる」のが先で、「壁に寄り掛かる」のが後でないと変だ。壁に寄り掛かってから毛布に包まれることはできない。 小説のこの先も読んだけど、第三者がいて、男を毛布

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          『10、その文章、おかしいよ。百年経っても読まれる小説の書き方』

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          YouTube書評『午後の曳航』三島由紀夫

          252、『午後の曳航』三島由紀夫。誰も言わない感想と文章の分析。 三島由紀夫の小説を読んでいると、必ず感じる彼の気配。彼の顔や手や身体の存在。でも、例えば夏目漱石の小説を読んでいても、絶対漱石の顔は思い浮かばない。三島由紀夫の自意識は非常に強力。 『午後の曳航』では、他の作品と比べて彼の自意識が少し薄らいでいる。何故ならば、小説は三人称だけど、視点が頻繁に変わっていくから。 『午後の曳航』 三人の登場人物の視点の変化を書き出してみた。 ページ数は新潮文庫、令和三年十一月

          YouTube書評『午後の曳航』三島由紀夫

          小説『雨が降ったってもう泣かない』

           携帯が鳴った瞬間、雷が落ちた。猛烈な雨が花壇の土をえぐる。 「誰……? ばあちゃん!」 「真澄? あんたなの?」 よく聞こえない。俺は電話に怒鳴る。 「そう! 俺!」 もう一度、雷が落ちる。大地が揺れるほどの。雷は近い。俺は窓を離れて、病室を抜け、廊下に走る。 「あんた、まだ入院してるの?」 「そう、大分いいけど」 俺はうつ病持ちで、もう二ヵ月ここにいる。入院した頃は毎日ずっと泣いていた。今でも泣いてるけど。俺、よく泣くんだ。いい年の男にしては。 「ばあちゃんね、コロナウイ

          小説『雨が降ったってもう泣かない』

          YouTube Shorts 36秒。ダイジェスト書評『限りなく透明に近いブルー』村上龍

          書かなきゃいけないことが、ちゃんと書いてある。 1976年芥川賞受賞作品。 ポルノグラフィでありながら、なぜ純文学なのか? 暫らく前から気付いてはいたんだけど、私のShortsはかなり観られている。Shortsは15秒から1分の短い動画。世の中の人は忙しいから、あんまり長いのは観たくても暇がない。 こちらが今回の書評本編。18分3秒。かなり言いたいことが言えた動画だと思う。 ダイジェストの方は36秒で、この書評のいいところをバッチリ切り取っている。 それでね、問題

          YouTube Shorts 36秒。ダイジェスト書評『限りなく透明に近いブルー』村上龍