千本松 由季/小説家/YouTuber

東京都出身。文化服装学院デザイン専攻科卒。カナダ生活20年以上。マウントロイヤル大学小…

千本松 由季/小説家/YouTuber

東京都出身。文化服装学院デザイン専攻科卒。カナダ生活20年以上。マウントロイヤル大学小説創作講座修了。日本語と英語で小説を執筆。映像化した小説をYouTubeで発信中。ゴシック・アンソロジー『黒の聖餐』(デザインエッグ社)発売中。noteの創作サークルNEMURENUメンバー。

マガジン

  • YouTube ショート 15秒で私の小説をご紹介

    YouTube『百年経っても読まれる小説の書き方』 https://www.youtube.com/channel/UCRPUTEZPFUEvKSI2IAaHBjw

  • YouTube『百年経っても読まれる小説の書き方』

    誰も言わない感想と文章の分析。 かなり本気の小説創作論。チャンネル登録をしよう! https://www.youtube.com/channel/UCRPUTEZPFUEvKSI2IAaHBjw

  • 英文小説 inkitt.com

    東京を舞台にした恋愛小説を、英語で書く試み。 https://www.inkitt.com/yukisembommatsu

  • 『百年経っても読まれる小説の書き方』

    YouTube「百年経っても読まれる小説の書き方」のテキスト版です。YouTubeで放映できない本音もたくさん。

記事一覧

小説『俺の赤いネックレスとあの人の命日』

 この店には入ったことがある。店員さんの顔も覚えている。 「メンズってどの辺ですか?」  指差された硝子ケースを覗く。……やっぱりメンズは詰まらない。ネックレスな…

エッセイ『雑談』

全部読めますが、100円ください。よろしくお願いします。 この間みんなに、サイバー攻撃で巨大な損失を被ったKADOKAWAの為に文学賞に出そうという話をして、 そう言っ…

YouTube書評『トパーズ』村上龍。誰も言わない感想と文章の分析。

新作です。ぜひ観てください。感想も貰えたらいいな。 253、『トパーズ』村上龍。誰も言わない感想と文章の分析。 00:00 純粋な心、村上龍の文学を代表する作品 01:50 …

エッセイ『バイト先の会社が倒産して、まさかの現物支給?』

最後まで読めるようにしておきますが、100円ください。よろしくお願いします。 その宇宙人のバックパックには、取り外しのできる可愛い宇宙人のランチボックスが付いてい…

『12、純文学を手っ取り早くでっち上げる方法。百年経っても読まれる小説の書き方』

「純文学を手っ取り早くでっち上げる方法」という、私のYouTube動画が、このところ、大体毎日誰かに観られている。需要があるのだろうと思って、これからそのことを書いて…

『11、推敲の極意。百年経っても読まれる小説の書き方』

小説を書き終わったけど、どうもしっくりすっきりしない箇所がある。思い切って変えてみよう。 私の最新作『十字架とカモノハシ』がどう推敲されたか、その全てお見せしま…

200

YouTube書評『憂国』三島由紀夫

三島由紀夫ファンが泣いて喜ぶ『憂国』(1961年)です。「切腹」を美しく、美しく描いた小説。五年後に映画も創られ、三島由紀夫の、プロデュース、監督、主演。わー、と驚…

小説『十字架とカモノハシ』NEMURENU参加作品。

 こないだ、進路が決まらないのは世情に疎いからだ、と担任に指摘されて悔しかったから、朝の電車通学ではニュースを観ることにしていた。  急ブレーキで電車が止まる。…

『10、その文章、おかしいよ。百年経っても読まれる小説の書き方』

読者が、おかしいな、と思う文を書くと、作品に説得力が無くなる。作者は一気に読者からの信頼を失う。 実際に誰かがここ数日に投稿していた文です。内容は変えてあります…

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YouTube書評『午後の曳航』三島由紀夫

252、『午後の曳航』三島由紀夫。誰も言わない感想と文章の分析。 三島由紀夫の小説を読んでいると、必ず感じる彼の気配。彼の顔や手や身体の存在。でも、例えば夏目漱石…

小説『雨が降ったってもう泣かない』

 携帯が鳴った瞬間、雷が落ちた。猛烈な雨が花壇の土をえぐる。 「誰……? ばあちゃん!」 「真澄? あんたなの?」 よく聞こえない。俺は電話に怒鳴る。 「そう! 俺…

YouTube Shorts 36秒。ダイジェスト書評『限りなく透明に近いブルー』村上龍

書かなきゃいけないことが、ちゃんと書いてある。 1976年芥川賞受賞作品。 ポルノグラフィでありながら、なぜ純文学なのか? 暫らく前から気付いてはいたんだけど、私の…

『9、「説明」の多い作品。こうすれば小説らしくなる。百年経っても読まれる小説の書き方』

現代小説の危機 「説明」ばかりする小説、ネットに溢れているけど、その一番の問題は、本人が気付いていないことだと思う。 気付こう。 非常にありがちな「説明」だらけ…

200

YouTube書評『エンジェル』石田衣良

長編推理小説、2002年発行。 タイトルに意味が無い。 テーマにリアリティーが無い。 小説の構成に問題あり。 推理小説のタブーを犯している。 小説に気合がなくて、ひょ…

フードバンクに行って食べ物をもらって来た。

全部読める様にしておきますが、100円ください。よろしくお願いします。 生活困窮者への支援について、私の住んでいるカルガリーではどんな活動をしているのか、について…

語学留学、ワーキングホリデーを成功させる為の、たった一つの方法。

全部読める様にしておきますが、100円ください。よろしくお願いします。 海外移住を試みている方も、ぜひ読んでみてください。私はカナダに住んでいるので、語学留学と言…

固定された記事

小説『俺の赤いネックレスとあの人の命日』

 この店には入ったことがある。店員さんの顔も覚えている。 「メンズってどの辺ですか?」  指差された硝子ケースを覗く。……やっぱりメンズは詰まらない。ネックレスならチェーンにチャームが一つぶら下がっているだけとか。ブレスレットなら丸い石が数珠みたいに連なっているのとか。  店員さんは男性たった一人だった。ドアが開いてショップに新鮮な空気が流れた。若いカップルの客が入って来て、店員さんはそちらに行ってしまう。  携帯の時間を見る。まだ大丈夫。……送られて来た住所は確かにこのショ

エッセイ『雑談』

全部読めますが、100円ください。よろしくお願いします。 この間みんなに、サイバー攻撃で巨大な損失を被ったKADOKAWAの為に文学賞に出そうという話をして、 そう言ったからには自分自身も出さなくてはいけなくなって、書きました。大変だった。そもそも小説を書くのなんて、苦しみが9割で、楽しみなんて1割くらいだと私は感じる。 それで、毎年言っているんだけど、この文学賞は、はっきりは忘れたけど、四つのファイルの書式をダウンロードして、それは多分「表紙ファイル(タイトルとペンネ

¥100

YouTube書評『トパーズ』村上龍。誰も言わない感想と文章の分析。

新作です。ぜひ観てください。感想も貰えたらいいな。 253、『トパーズ』村上龍。誰も言わない感想と文章の分析。 00:00 純粋な心、村上龍の文学を代表する作品 01:50 トパーズの文体について 04:25 村上龍の狂気 05:05 小説世界の分析 12:10 トパーズの映画、三島由紀夫の『憂国』 18:40 梶井基次郎『檸檬』との比較 21:20 村上龍の天才的な技 この作品の台本を公開。 トパーズ 著作憲法をよく理解した上で教育目的で引用しています。

エッセイ『バイト先の会社が倒産して、まさかの現物支給?』

最後まで読めるようにしておきますが、100円ください。よろしくお願いします。 その宇宙人のバックパックには、取り外しのできる可愛い宇宙人のランチボックスが付いている。皆は、私が誰かにあげるつもりで買ったと思ったらしく、私がこれを背負っているところを見て笑われた。 会社がぶっ潰れて、世間を知っている私とか店長とかは、多分給料を貰えないだろう、という予測をしているけども、若い子達は危機感を持っていない。店長によると、給料が出るにしても半年や一年は掛かるだろう、と。 それで、

¥100

『12、純文学を手っ取り早くでっち上げる方法。百年経っても読まれる小説の書き方』

「純文学を手っ取り早くでっち上げる方法」という、私のYouTube動画が、このところ、大体毎日誰かに観られている。需要があるのだろうと思って、これからそのことを書いてみる。 私のYouTubeチャンネル名は「百年経っても読まれる小説の書き方」だけども、百年前というと、おおよそ夏目漱石の『こころ』になる。1914年に朝日新聞で連載された。 純文学、というより、文学、は漱石が『こころ』に書いた、その通りの書式で書くもの。私はその通り書いてきたし、それ以外の書き方は私は絶対、許

¥100

『11、推敲の極意。百年経っても読まれる小説の書き方』

小説を書き終わったけど、どうもしっくりすっきりしない箇所がある。思い切って変えてみよう。 私の最新作『十字架とカモノハシ』がどう推敲されたか、その全てお見せします。 場面1、書き直す前の文章。 場面1、推敲した結果。 ポイント:車内に人がたくさんいる、という情景を付け足す。「辺りを見回す」=主人公の視線が180度回る。小説世界の空間を広げる。 場面2、書き直す前の文章。 場面2、推敲した結果。 ポイント:情景に深さを出している。小説世界をしっかり構築する。180

¥200

YouTube書評『憂国』三島由紀夫

三島由紀夫ファンが泣いて喜ぶ『憂国』(1961年)です。「切腹」を美しく、美しく描いた小説。五年後に映画も創られ、三島由紀夫の、プロデュース、監督、主演。わー、と驚くヌードシーンあり。 熱く語っているので、ぜひ観てください。 253、『憂国』三島由紀夫。誰も言わない感想と文章の分析。 YouTube書評『憂国』の台本を公開。 *著作憲法を良く理解した上で教育目的に引用しています 三島由紀夫 1925年―1970年 三島由紀夫ファンが嬉しくて涙を流す掌編 三島由紀夫の「

小説『十字架とカモノハシ』NEMURENU参加作品。

 こないだ、進路が決まらないのは世情に疎いからだ、と担任に指摘されて悔しかったから、朝の電車通学ではニュースを観ることにしていた。  急ブレーキで電車が止まる。いきなりだったから、車内いっぱいの乗客達の身体は、がくんと前にのめり、悲鳴まで聞こえた。聖華は座っていたから影響はさほどなかった。もし、何らかの事故があったら、ここにいる人達とは運命共同体なんだな。どんな人がいるんだろう、と聖華は辺りを見回す。車内アナウンスが流れる。「只今、停車位置の修正をしております……」。  ほん

『10、その文章、おかしいよ。百年経っても読まれる小説の書き方』

読者が、おかしいな、と思う文を書くと、作品に説得力が無くなる。作者は一気に読者からの信頼を失う。 実際に誰かがここ数日に投稿していた文です。内容は変えてあります。 実際にこれを書いた人がいるんだから、この文章をおかしいと思わない人もいる筈だけど。私は何回も読んだけど、やっぱりおかしいと思う。 どう考えても、「毛布に包まる」のが先で、「壁に寄り掛かる」のが後でないと変だ。壁に寄り掛かってから毛布に包まれることはできない。 小説のこの先も読んだけど、第三者がいて、男を毛布

¥200

YouTube書評『午後の曳航』三島由紀夫

252、『午後の曳航』三島由紀夫。誰も言わない感想と文章の分析。 三島由紀夫の小説を読んでいると、必ず感じる彼の気配。彼の顔や手や身体の存在。でも、例えば夏目漱石の小説を読んでいても、絶対漱石の顔は思い浮かばない。三島由紀夫の自意識は非常に強力。 『午後の曳航』では、他の作品と比べて彼の自意識が少し薄らいでいる。何故ならば、小説は三人称だけど、視点が頻繁に変わっていくから。 『午後の曳航』 三人の登場人物の視点の変化を書き出してみた。 ページ数は新潮文庫、令和三年十一月

小説『雨が降ったってもう泣かない』

 携帯が鳴った瞬間、雷が落ちた。猛烈な雨が花壇の土をえぐる。 「誰……? ばあちゃん!」 「真澄? あんたなの?」 よく聞こえない。俺は電話に怒鳴る。 「そう! 俺!」 もう一度、雷が落ちる。大地が揺れるほどの。雷は近い。俺は窓を離れて、病室を抜け、廊下に走る。 「あんた、まだ入院してるの?」 「そう、大分いいけど」 俺はうつ病持ちで、もう二ヵ月ここにいる。入院した頃は毎日ずっと泣いていた。今でも泣いてるけど。俺、よく泣くんだ。いい年の男にしては。 「ばあちゃんね、コロナウイ

YouTube Shorts 36秒。ダイジェスト書評『限りなく透明に近いブルー』村上龍

書かなきゃいけないことが、ちゃんと書いてある。 1976年芥川賞受賞作品。 ポルノグラフィでありながら、なぜ純文学なのか? 暫らく前から気付いてはいたんだけど、私のShortsはかなり観られている。Shortsは15秒から1分の短い動画。世の中の人は忙しいから、あんまり長いのは観たくても暇がない。 こちらが今回の書評本編。18分3秒。かなり言いたいことが言えた動画だと思う。 ダイジェストの方は36秒で、この書評のいいところをバッチリ切り取っている。 それでね、問題

『9、「説明」の多い作品。こうすれば小説らしくなる。百年経っても読まれる小説の書き方』

現代小説の危機 「説明」ばかりする小説、ネットに溢れているけど、その一番の問題は、本人が気付いていないことだと思う。 気付こう。 非常にありがちな「説明」だらけの小説を書いてみる。 ……延々と「説明」が続く。 「説明」を回避する簡単な方法はいくつもあって、例文付きで解説をするので、最後まで読んでください。 どうすれば「説明」化を防げるか? 視点と空間 一番単純なことを言うと、ずらずら「説明」をするのが好きな人は、「神視点=ナレーション=三人称」を止めてみる。「一

¥200

YouTube書評『エンジェル』石田衣良

長編推理小説、2002年発行。 タイトルに意味が無い。 テーマにリアリティーが無い。 小説の構成に問題あり。 推理小説のタブーを犯している。 小説に気合がなくて、ひょっとして作者はこの作品を書きたくなかったのではないか、と邪推してしまう。たまたまいくつかプロットを出版社にプレゼンして、ヤバいことに一番書きたくないのを依頼されたぜ、みたいな。 251、『エンジェル』石田衣良。誰も言わない感想と文章の分析。 動画が20作入った再生リスト、書評「誰も言わない感想と文章の分析

フードバンクに行って食べ物をもらって来た。

全部読める様にしておきますが、100円ください。よろしくお願いします。 生活困窮者への支援について、私の住んでいるカルガリーではどんな活動をしているのか、について書きます。日本で生活を支援する専門家、支援される側の方、ぜひ読んでみてください。 大きく分けて、フードバンクと、生活保護について書いてみます。 セルフレジに仕事を奪われそうになっていて、あんまり体重が減っていくから、これはヤバいな、と判断して、フードバンクに行って食べ物をもらって来た。北アメリカ人ってなんであん

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語学留学、ワーキングホリデーを成功させる為の、たった一つの方法。

全部読める様にしておきますが、100円ください。よろしくお願いします。 海外移住を試みている方も、ぜひ読んでみてください。私はカナダに住んでいるので、語学留学と言っても、「英語」の話だと思ってください。私は最初、ワーキングホリデービザで来ているので、その話もしていこうかな、と思います。 まず、海外に住んで英語の学校に行く人がいますが、それは大きな間違い。クラスに生徒が30人いたとして、英語を話せない人が30人いて、英語を話せるのは先生一人ですよね。 世界中から来た英語の

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