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フードバンクに行って食べ物をもらって来た。

全部読める様にしておきますが、100円ください。よろしくお願いします。

生活困窮者への支援について、私の住んでいるカルガリーではどんな活動をしているのか、について書きます。日本で生活を支援する専門家、支援される側の方、ぜひ読んでみてください。

大きく分けて、フードバンクと、生活保護について書いてみます。


セルフレジに仕事を奪われそうになっていて、あんまり体重が減っていくから、これはヤバいな、と判断して、フードバンクに行って食べ物をもらって来た。北アメリカ人ってなんであんなによく肥えているのだろう? なにを食ったらああなるんだろう? 私は金欠と心労で、体重が減る一方だ。

東京オリンピックで、スタッフ用の立派な弁当が大量にゴミ箱に捨てられていく映像が目に新しい。どうして困窮者にあの立派な弁当が渡らなかったのか? あれから、どのくらいシステムが整備されたのだろう? カルガリーで弁当が余る様なことがあれば、疑問なく即、フードバンクに送られる。

少し、東京のフードバンクについて調べてみた。検索して一番上に出て来るのが、特定非営利活動法人セカンドハーベスト・ジャパンという場所だ。ちなみに英語だとそれはSecond Harvest Japanという綴りだけども、それって二毛作の意味だけどなんだかしっくりこない。余生なお世話だけど、もっと魅力的な名前を付けるといいと思う。

しかし、なんせ、セカンドハーベスト・ジャパンのサイトに行っても、御託が多過ぎて、食べる物をもらう方法に辿り着くまでかなり時間が掛かる。

みんなもやってみよう。何分で食べ物をもらう予約をする場所まで行きつけるか?

まず、どうでもいい巨大な写真が出て来る。その後にどうでもいいようなことが巨大な文字で出て来る。どんな字かというと、「Food for all people すべての人に食べ物を」と書いてある。その後に「あなたが食べるとみんなが〇になる 新しいスタイルのマーケット by marugohan」と書いてある。marugohanってなんのこと? 〇ってなに? 新しい日本語が知らない間に発明されたのか、と思ってmarugohanを検索してみたら、セカンドハーベスト・ジャパンの別のサイトに飛んで、今までのとはまた違う自分達のスローガンをいろいろ掲げていて、

食べる物をもらう方法については一切書いてない。

「Food for all people すべての人に食べ物を」って、腹が減っている人にとって、泣きたいほど馬鹿馬鹿しいスローガンですよね。ちなみにスローガンの場合、普通「a」と「p」は大文字になる。おまけに、「あなたが食べるとみんなが〇になる 新しいスタイルのマーケット by marugohan」だけれども、時間を掛けて考えてみたけど、やっぱり意味が分からない。〇の意味が知りたい。〇ってなに? なんとでも解釈できますよね。なぜ伏字にしたのか? あなたが食べるとみんなが「不幸」になるのかも知れない。

それでその巨大な写真と巨大な文字で書いてあるスローガンの下に、「食品を受け取れる場所・方法」という字が小さく書いてあって、クリックして、そしたらまた御託がいろいろ並んでいて、その下に注意事項が十個くらい並んでいる。ああしなさい、こうしなさい、とかなり強い口調だから、私だったらこんな注意をたくさん言われるくらいなら飢えて死ぬことを選択するかも知れない。

その十個の注意書きの下に、小さく「marugohan(パントリーピックアップ)」と書いてある。そこをクリックすると、やっと食料をもらう手続きができる。

だけど、死にそうに腹の減った年寄りが、「パントリーピックアップ」と読んで、意味が分かるだろうか?

特定の団体を名指しで非難すると訴えられるかも知れないけど、私は正論のつもりだ。東京のフードバンクと検索して一番上に出て来たからしょうがない。でも他の団体も、まあ似た様な部分もあった。彼等を擁護することを言うと、多分、いつもお洒落な企業のお洒落なサイトをデザインしている人に、たまたまウェッブデザインをしてもらったのだと思う。そのデザイナーはきっと食べ物がなくて死の恐怖を一度も味わったことのない良い子で、精神的に健康な人なんだろうと思う。

「パントリーピックアップ」という文字がなかなか現れないのは、その良い子のデザイナーが、その言葉をお洒落だと思わなかったからだと思う。少なくともお洒落な英語を用いたから満足していると思う。

それでその、十個の注意事項の中で一番傑作なのは、「駐車場がないから、公共交通機関を使え、路上駐車はするな」というところ。これはこの団体だけじゃなくて、他の所でもそうだった。東京だから仕方ないけど、しかし、東京には全国の飢えた人々が集まっている。

「駐車場がないから、公共交通機関を使え、路上駐車はするな」と言う前に、車を持っているボランティアを探すなりすればいいと思う。私が飢えて死にそうだったら絶対米を抱えて電車なんかに乗れない。その前にのたれ死ぬ。駐車場がなかったら、作るなり、駐車場があるところに移るなりする。カルガリーの場合、無料のタクシー券が配られる。

じゃあ、カルガリーのフードバンクのサイトを見てみよう。

サイトを開けると直ぐ、ど真ん中にでっかく「NEED FOOD?」とあって、そこをクリックすると、即予約ができる。でもね、カルガリーのフードバンクも、以前はここまで分かりやすくなかった。改善に改善を重ねて、ここまで食べ物をもらう人の立場に変わった。

さっきの私が散々文句を言った、日本のサイトだけども、もしできれば私がボランティアで監修してあげる。在日外国人の為に日本語と英語で、どうすれば食べ物が貰えるか、超分かりやすく書くから、マジで言ってください。「パントリーピックアップ」をもっと分かりやすい日本語にしてあげる。ちなみに英語だと、「パントリー」とは言わない。普通は「Hamper」と言う。

しかし、日本の他のフードバンクの団体も同じようなものだね。サイト内のどこに行けば食べ物をもらう予約ができるのか分かりにくい。注意事項だけが延々と並んでいる。今月は既に締め切りました、とだけ書いてあるのもある。じゃあ、どうすればいいか、とは書いていない。

フードバンクから食べ物をもらうためには自治体から許可をもらう必要がある、と書いてあって、今、直ぐにでも食べる物がない人でも、まず自治体に相談しろ、と書いてあるのを読んだ。凄いよね。そんなことを書けるのが凄い。今、直ぐにでも食べる物がない人に手を差し伸べない。どんな人があんなことを書くのだろう?

でもね、数年前はカルガリーでも、まず貧しい人が援助を求めに行く団体に行って、許可をもらわないとフードバンクに行けなかった。そういう団体に行くと、本当に貧しい、ホームレスぎりぎりみたいな人がいて、子供はぎゃんぎゃん泣いているし、大抵、一時間くらい待たされる。それで収入や支出を色々聞かれ、紹介状をもらう。それが嫌だった。ほんとに。

今はね、なんにも聞かれない。フードバンクに行ったのは三年振りだったから、結構びっくりした。ネットでフードバンクのサイトに行って、申し込みをして、日時を決める。それだけ。収入も支出も聞かれない。今日行ってびっくりしたけど、前はフードバンクの建物の中で、一時間くらい本当に貧しいホームレスぎりぎりの人達と並んで待たされた。その度に、ガス室に入れられる順番を待っている絶望し切って無表情なユダヤ人になった気がした。

今日は、車の中で待て、と言われ、あっちが勝手にカートに食べ物を入れて、車の後ろに置いて行く。私はそれをトランクに入れて、そのまま帰る、みたいな感じ。

いいお天気だった。ボランティアのお兄さん。
カートに入れられて来た食べ物達。



それで、日本の生活保護のことだけれども、なにせネガティブなことが多い。こんな人が不正受給している。どんな風に不正受給している、というような記事が、ネットに散乱している。生活保護をもらう人への非常に差別的な意見が多い。

……なんだか疲れてきたけど、これを書くことが日本人の考え方を変えるきっかけになるかも知れないし……

そもそも、生活保護を受給するために、日本政府は本人からなにもかも奪っていく。車も先祖代々の土地や家も生命保険も車もパソコンもテレビも、なにも残らなくなるまで奪っていく。

そうしないと生活保護がもらえない。非常に間違っている。

私達カナダにいる人の感覚だと、生活保護を受ける人に、なんとか土地を売らなくても車を売らなくても済むように、一緒に、一生懸命考える。今まで働いてきて手に入れたパソコンやテレビを売らなくていい方法を考える。

なぜ、なんの為に生活保護を受ける人から財産を奪うのか? 財産を全て奪われて、彼等はどうやって立ち直ればいいのか?

カナダでは親子、きょうだい、親戚に扶養の義務は全くないから、それも日本とは違う。本人が食えないなら、親が億万長者でも関係ない。生活保護をもらえる。

私の場合、十年一緒にいた精神科医に、もうあんたは駄目だね、と諦められて、回復の見込みのない精神障害者として、生活保護の申請を書いてくれた。その時私は不安感とうつで死にそうで、退院したばっかだったからよく覚えてないけど、ある日病院に行ったら、許可が出たから、と言われ、それから日本で言えば生活保護と障害者年金の中間みたいなのをもらっている。

その時、私の実家はまだ衰退する前だったからお金もあったし、私にはローンが残っているマンションも車もあった。財産のことも、日本にいる家族のことも全く聞かれなかった。年に一度、銀行の口座を調べられるけど、私の場合、家のローンと一生返せる当てのない借金があるから、今までなにも言われたことはない。

作家の、ブレイディみかこの『両手にトカレフ』という作品を読んだんだけど、設定がお母さんは生活保護を受けているけどドラッグで全部使ってしまって、私は学校の制服も買ってもらえない、というもの。

非常に非常に差別的で、いくらフィクションだろうと、海外が舞台だろうと、このようなステレオタイピングをしてはいけない。どうしてもどうしてもこの設定が必要なんだったら、もっと違う風に書く。お母さんはアディクションの問題があって、周りの人にピアサポートを勧められて、何度か行って、友達もできたのに、また行かなくなってしまう、お母さんは弱い人よ、でも私にだってアディクションの遺伝子が受け継がれている、いつ自分の身に起こるかも知れない、お母さんのことはまだ大変だし、私はいまだに制服を買ってもらえない、そのくらいのことは書く。

なぜ、誰も指摘しないのか、それが不思議。まあ、今、私が言ってるけど。

あとなにか言うことはなかったかな?

ええとね、これは番外編だけど、もう一つ小説を思い出した。凪良ゆう作『流浪の月』。あの中で、小学生の女の子が、よく公園にいる男性のことを、あの人はロリコンだけど、まだ犯罪は犯していない、と言うシーンがある。非常に非常に差別的で、フィクションの中でも、小学生にあんなことを絶対絶対言わせてはいけない。

ロリコンの男性を犯罪者と決め付けている。ロリコンというのは、正式にはペドフィリアという、単なる性的倒錯のことであり、彼等は犯罪者でもなければ、病気でもないし、治療が必要なわけでもない。『流浪の月』は映画になって、ロリコンの男性が、どこまでもどこまでも不幸になっていく様を描いている。ストーリーは男性に同情的であるけども、あの映画を観たロリコンの人々が、ロリコンであるためにあそこまで迫害を受けなければならないのか、と人生に絶望すると思う。そういう風に描かれている。

どうして誰も指摘しないんだろう?

私だったらこう書く。男性は少女を監禁した罪で逮捕された。そのせいで、彼は世間で迫害されていく。彼を逮捕した刑事や、精神鑑定をした医者、みんなが彼の人権を守ろうと立ち上がる。刑事や医者がどんな努力をして、人々のステレオタイプを正していくか、私ならそれを書く。


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