12/07/2020:『Seguir』

今 僕 1

川を遡った先にバスターミナルがあった。掘っ建て小屋のような建物にマイクロバスが2台停まっている。牛舎で餌を食べている牛の後ろ姿みたいだと思った。

さっき筏で見た夕日はもう沈んでしまっていて、藍色の空が村を包んでいた。時刻表を見る。もう今日はバスが出ない。明日の朝、6時半が一番早い便だ。

「乗車チケットなんかないよ。もう顔は覚えたから、大丈夫。そんな帽子を今時被っているやつなんてそ

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憐れな鳥と少女と

monogatary.comにて趣味的に書いているのをnoteでも紹介
30分で書くショートストーリー。
お題「どうぶつたちのつぶやき」
最近、「生きる強さ」をどう描くかを考えるのが楽しい。

鉄格子をはさんで

少女は鳥と向かい合っていました。

世界で最後の一羽。

保護された鳥にはもはや仲間はおらず

ただ今日も

檻の中で生きています。

希望なんて、ない。

まるで自分のようだと少女は嗤

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Thank you so much! SO HAPPY!

79.お母さんが会いに来た

202号室の西口翔です。
学校の帰り道、かさがなかったボクは、ずぶぬれだった。
たまには、ぬれて帰るのも楽しい。
あれ?あれは…

お母さん!?
かさをさして、ボクの前に来たのは、ボクのお母さんだった。
ボクのこと、わすれてなかったんだね。
とても、うれしかった。

「ごめんね、お母さんが会いに来ちゃった…」
お母さんは、ボクにそう言った。
ごめんね…
ねぇ、ボクはお母さんに会ってはいけないの?

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いらっしゃいませ岩永ゆずです。えっ、スキ!?ま、またお越しください!
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35歳からのウソ日記46

2020年7月13日

ペンは剣よりも強し。

一度は耳にしたことのある言葉ではないだろうか。

英国のお偉いさんが自分の地位を利用して、自分の身を守るために発した言葉であるとかないとか。

私たちの見解では「言葉は暴力より強い」ではないだろうか。

学校では開成だとペンと剣のマークで、慶応だとペンが二本交差しているマークとして使われていたりもする。

学ぶ場所にとってはもってこいのスローガンだと

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『赤い流れ星』

“…悪くないんだ…君は…絶対に…”

君と離れてから何も手につかない
気が付けば列車に乗り、流れる景色が夕日に揺れる
星が消えたこの都会できっと君を見つける
埋もれた想い出の轍
ただそれを頼りに足跡を辿る
遠くに君が見えた瞬間から甦るあの頃
気づいてほしいと願いながら立ち去った
期待と失望がせめぎ合う
僕の夢で君は指先を滑らす
君の胸で僕は安らぎを感じる
もう一度、君に逢おうと振り返る
不意に誰か

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今日もあなたは素敵です☆
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STARTER

私は前菜が好きだ。良いレストランは前菜にも
手を抜かない。特にコースの始まりを告げる一品
は、温まりきらないテーブルの雰囲気を変える。
 そして飽くまでも前菜である事を自らに強いる
奥ゆかしさが、何よりも愛しい。

 そう言いながら今日もお腹いっぱい前菜を食べ
てしまう洋三であった。

〈掲載…2007年 製品[ルナⅡブルーム]配布用サンプル袋〉

嬉しいです!これからもご期待くださいませ!
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私の中のワタシとわたし。

突然友達が機嫌悪そうな顔で話があると言ってきた。

「友達ならさ、一言声かけるとかないの?」

この友人は歳はひとつ上だけど一年浪人して大学に入っているので同じ学年のじゅん。

私は法学部の3年で、この学部の3年生360人中60人しか女子がいないので出席番号が近い順で友達のグループが出来上がってしまう構造になっている。私はその中でも女の中では出席番号1番で珍しい名前だったので、何かと人から覚えられ

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うれし〜さぁ〜🐠✨
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『痛心』

俺はモテる。嫌になるほどモテる。

理由の大半は顔だろうけど、会話も服も

モテる基準を満たすように努力してきた。

それなのに、たった一人の女が振り向かない。

苛々するが、時間の問題だと思っていた。

予想外の恋人が出来るまでは。

「こんな枯れたおっさんのどこがいんだよ!」

3秒後、豪快に叩かれ、左頬が熱く痛い。

「そういうとこが嫌いなの。彼がいなくても、
 
 絶対あんたなんか好きには

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ありがとうございます!嬉しいです(^^)
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ゆれる洗濯物と缶ビール

日曜日は掃除をすると決めている。

いい加減で大雑把な私は、昔から部屋を片付けられず、床はペットボトルやら食べ終えたコンビニ弁当などで常に散乱していた。
別に掃除が嫌いなわけではないけれど、掃除を始めても少し他のことが頭をよぎるとそっちに気が向いてしまい掃除をすっかり忘れてしまうのです。

学生の時から、授業である事柄が気になってしまうと、その背景とか関係した人物を調べたくなり、調べないと前に進め

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ありがとうございます!
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ショートショート32 「S町役場のお仕事」

S町役場の行政相談窓口。

透明パネルで仕切られた受付の奥に、4つだけ並ぶデスクの一番端の席で、男は大きく背伸びをしつつ、人目を憚らずあくびをした。

「先輩、町民の方に見られたらまたクレームが入りますよ。」

新卒で入所してきて2年になるショートカットの女性が男を嗜める。

生まれ育ったこの町をもっと良くしたい、そんな熱い志を胸に、町役場に就職、こんな雑用係に配属されて、よく腐らないものだ。こう

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やる気がみなぎってきました!
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