とけい

愛と創造が人生の意味である。

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【自己紹介】

名前:とけい、とけい・デラックス。 住んでるところ:茨城県水戸市。 年代:アラフォー。 生業:福祉関連。 趣味:本を読む、音楽を聴く、野球観戦、配信アプリを見る。 特技(?):耳を自分で動かせる。英文を読める。 好きな作家:芥川龍之介、太宰治。 好きな音楽:ビートルズ、中島みゆき、ハードバップのジャズ、ロマン派クラシック。 これからの目標:作家として収益を上げる。英検準一級を取得する。NHKのど自慢に出場する。 好きな野球チーム:横浜DeNAベイスターズ、シ

    • 【詩】静けさと報い

      彼の絵は彼が死んだあとに値段がつけられた。 彼を軽蔑していた遺族は莫大な資産を得た。 彼は彼の絵により金銭的に報いられることがなかった。 生前の彼には十分な報いがあった。 描きたい絵をうまく描けるかどうか。 彼の悩みはその一点だけだった。 彼はそれを十分に実現した。 絵筆を手に取り、キャンバスに触れるだけで満足だった。 絵を書き終えた彼が温かい珈琲をすすると、限りないやすらぎが訪れた。 彼は貧困のまま周囲に理解されずに死んだ。 けれども生前の彼は誰よりも満

      • 【詩】父

        父はたくさんの管につなげられながら、母の語る死後の平穏を拒否して息を引き取った。 かつて僕にとっては暴君だった父が、そのときは他の誰よりも立派な人間に思えた。

        • 【詩】炎と労苦の果て

          僕は炎の上で音を立てて肉塊を焼きながら人生のはかなさを感じた。 それは必ずしも人の生に限らなかった。 娑婆苦に生きる生き物すべてのはかなさだった。 古人は太陽の下に新しいものはないと言った。 はるか後の現在でも大差のないことは明らかだった。 新しいものはなくても、生き物はすべて労苦しなければならない。 僕はこの事実に思い当たると肉を焼く手を止めた。 肉は黒く焦げついていた。 人間に食べられるためかりそめの生を生きた牛のことを思った。 僕らは人間の労苦のみなら

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        【自己紹介】

          スキが2000回超えたとの通知が来ました。 みなさまのおかげで活動を続けることができます。 感謝です!

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          【詩】孤独を超えて

          群れる人々に幸福はおとずれない。  孤独な人々にも幸福はおとずれない。 群れるのは問題ではない。 孤独なのが問題でもない。 論理の不在はつねに愚行にいたる。 あなたは交流を楽しみながらも群れてはならない。 孤高であっても孤独であってはならない。 あなたの知らないところに賢者はいる。  多くは過去に書かれた文章の中にいる。 彼らと対話せよ。 もう群れることも孤独になることもないだろう。 そのときにあなたは幸福の入口に立っている。

          【詩】孤独を超えて

          【詩】Substitute for Love

          人は愛を求めて街へと出かける。 賑やかな通り、無数のネオン、交差する人々。 そのどこにも愛は見つからない。 目を凝らしても、手を伸ばしても、彼らの表情は虚ろだった。 愛のない場所をさまよう者は、 永遠に愛から疎外されている。 愛することもなく、愛されることもないまま取り残されていく。 愛することと愛されることは相関している。 常に愛することが先行している。 ただ愛を待つ者にそれは訪れない。 誰かが愛の代わりに代理品を作りだした。 愛の不足を補うために彼ら

          【詩】Substitute for Love

          【詩】不幸な人たち

          彼は職場とネットニュースとまとめサイトが生活のすべてだった。 彼より貧しい人を貧乏人と蔑んでいた。 同時に彼より裕福な人を高慢だと罵っていた。 彼はまとめサイトで得た知識を飲み会で披露する。 部下たちが軽薄な喝采を送る。 満足した彼は豚のように眠る。 そんな彼にも一人の息子がいた。 息子が大学で哲学を学びたいと言った時、彼は激怒した。 そんな金にならないもののために金を出すわけにはいかないと言った。 けれども彼には息子に何をさせたらいいのかよくわからなかった

          【詩】不幸な人たち

          【詩】理解力と苦悩の間で

          彼女はみずからの子どもを愛おしく抱きかかえながら言った。 「こんなにもたくさんの人間が生まれているのだから、神様は人間を愛してるのだ」と。 けれども僕は人間はあまりにも増えすぎたと思っている。 その結果として僕らは互いに苦しめ合っている。 そこに神の愛ではなく憎しみを感じないこともない。 一方で他国の戦線から戻ってきた彼は、 人間の理解力は雀の涙ほどでしかないと言った。 戦地では、少しの誤解が命取りになると。 僕は彼女の考えよりも彼の考えにより親しみを感じる。

          【詩】理解力と苦悩の間で

          【詩】愛と屍

          彼は精神的な不能者だった。 そのために性と愛を同一視した。 性的欲望の伴わない愛は幻想だと考えた。 僕は彼の思考が間違いであったことを知っている。 彼と彼の思考のあとを辿った者たちはいずれも不幸だった。 彼自身は後にアルコール中毒に陥った。 追随者の多くは絶望にいたり、ある者は自害した。 性的欲望の伴わない愛はたしかに存在するものだった。 彼らは精神的に不能であるがゆえにそれを認めることができない。 彼らはみずからを憎み、他者をも憎んでいた。 愛の不在は愛

          【詩】愛と屍

          【詩】超越

          貧しい人には貧しい人の地獄がある。 富んだ人には富んだ人の地獄がある。 僕たちは両者を超越するべきだ。 ある人はマムシの毒をもっている。 ある人はカラスの狡猾さをもっている。 彼らを見習ってはならない。 彼らはみずからの行いにより罰を受ける。 あるときは蛇のように賢く、 あるときは鳩のように素直でありなさい。 君はみずからの行いにより恵みを受ける。 地面を見つめてもその下へ向かってはならない。 空を見上げてその上にある世界を想像しなさい。 貧と富を超越

          【詩】超越

          【詩】超人

          彼が棒を振れば球はどこまでも遠くへ飛んでいった。 彼が球を投げれば誰もとらえることができなかった。 彼が走れば誰も止めることができなかった。 彼は次第に超人と呼ばれるようになった。 彼の悩みは球をうまく飛ばせないこと、うまく球を投げれないこと、うまく走れないことだけだった。 彼は多くの喝采を受けた。 同時に彼は孤独だった。 けれども孤独は彼を苦しめない。 彼は孤独を受け止めた上でどこまでも天に近づいた。 彼は人間の作った神の裁きを受けない。 周囲の裏切りも

          【詩】超人

          【野球ネタ】ミスを恐れるべきではない。ただし例外あり。

          野球において、ミスは少ないに越したことはありません。 三振や併殺打、エラー、四死球などは、避けられるのであればそれに越したことはないでしょう。 総合したときに少ないほうが望ましいのは、言うまでもありません。 しかし、ミスを恐れるあまり消極的なプレーに走ってしまうと、逆に勝つ確率も下がってしまうと思うのです。 例えば、三振や併殺打を恐れて当てにいくバッティングばかりをしていたら、どうなるでしょうか。 安打になる確率も減りますし、長打もほぼ望めなくなるのではないでしょうか

          【野球ネタ】ミスを恐れるべきではない。ただし例外あり。

          【詩】存在と差異

            彼は生きると同時に死んでいた。 むしろ死にながら生きていたのかもしれない。 彼は孤独でありながら多くの交流を楽しんでいた。 目覚めながら同時に眠ってもいた。 むしろ眠りながら目覚めていたのかもしれない。 家族は彼の寝ているところをみたことがなかった。 また彼が仕事をしない日も見なかった。 彼は非常に年をとっていた。 それと同時に非常に若かった。 ある人は彼は成熟していると言った。 ある人は彼は精力的だと言った。 彼は言った。 生きることと死ぬこと

          【詩】存在と差異

          【詩】指輪

          黒い服を着た人が集まっていた。 泣いているのは私ひとりだった。 式が終わり、冷たい風が吹き抜けた。 人々はみな陽気な笑みを浮かべていた。 私は自分の足元ばかりみつめていた。 みんなは、知らない。 彼がいかに立派に生きて、いかに立派に死んだかを。 指輪を交換した私たちの未来は明るいはずだった。 彼は車に轢かれそうな女の子を助けようとした。 彼はかつて存在した誰よりも立派な人だった。 私には薬指の指輪だけが残された。 この指輪だけはいつまでも外すことはないだ

          【詩】指輪

          【詩】涙の追いつけない場所

          彼の悲しみが疾走していた。 涙は追いつけなかった。 どのパーティでも主役は彼だった。 輪の中の彼はみんなに笑顔を振りまいていた。 彼の悲しみを見た人々は沈黙した。 そして彼の涙はポーズだとみなした。 けれども確かに彼の悲しみは疾走していた。 ついて来れる人は誰もいなかった。 彼は笑いながら地獄に落ちていた。 涙は彼を一時的に解放するに過ぎなかった。 涙はとめどもなく流れ、いつしか彼は息絶えていた。

          【詩】涙の追いつけない場所