【詩】不幸な人たち
彼は職場とネットニュースとまとめサイトが生活のすべてだった。
彼より貧しい人を貧乏人と蔑んでいた。
同時に彼より裕福な人を高慢だと罵っていた。
彼はまとめサイトで得た知識を飲み会で披露する。
部下たちが軽薄な喝采を送る。
満足した彼は豚のように眠る。
そんな彼にも一人の息子がいた。
息子が大学で哲学を学びたいと言った時、彼は激怒した。
そんな金にならないもののために金を出すわけにはいかないと言った。
けれども彼には息子に何をさせたらいいのかよくわからなかった。
かろうじて父としての威厳を保つために言った。
とにかく哲学だけはやめなさい、と。
彼のような人間はこの世のいたるところにいる。
彼らは例外なく不幸であるという点で共通している。
彼らはおそらくいつまでもネットニュースで読んだ記事を自分の意見として披露し続けることだろう。
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