たつきち

或いは「達吉」/ 紹介するもの何もないんですよ、自分 / 100%創作垢 /毎日一本「…

たつきち

或いは「達吉」/ 紹介するもの何もないんですよ、自分 / 100%創作垢 /毎日一本「お話」アップ続けてます。20230814で1000本達成!/日記アカウント( https://note.com/tatsukichi_24_02)

マガジン

  • 掌編2024

    2024年の創作物です

  • 日記2024

    • 133本

    2024の日記・雑記です。

  • かみがみ

    神と呼ばれるモノと境界の話

  • 任務遂行中

    連作短編。上の方が古いお話です。

  • ふたりのはなし・番外編

    「ふたりのはなし」の番外編がだいぶ増えてきたので時系列で並べています。 上の方が幼い頃のお話です。

最近の記事

  • 固定された記事

そういえば…(最終更新20240126)

はじめに この自己紹介以外、アップしている文章は全てフィクション・創作物です。 そのあたりのご理解よろしくお願い致します<(_ _)> ▪️▪️▪️ 自己紹介的なもの何もしてませんでした<(_ _)> 「たつきち」と申します。「たつきち」は「達吉」とも書きます。 何処かのSNSでひょっとしたらお目にかかっているかもしれません。まぁ、あちこちに出没しております。 その昔は「鉄砲玉の達」と呼ばれていました。いやいや、決して他人様にご迷惑をおかけするような、そういう生業をいたし

    • 【二億斉藤】#毎週ショートショートnote

      「三億佐藤と二億斉藤?なんだこれは?」 「集めてほしい」 「ちょっと待て。日本人が今、どれだけいると思っているんだ?一億を切ろうとしているんだぞ?」 窓辺に立つ男は片眉を上げた。 「お前、三億の佐藤をどこに集めるつもりだ?」 「は?」 「情報だけでいい。確かな証拠があればいい。過去に遡って三億の佐藤と二億の斉藤」 「それに何の意味があるんだ?」 「お前が知る必要はない」男は冷たく言い放つ。 「・・・集めればいいのだな」 「ちょっと待って」 傍に立って話を聞いていた妹が私の前に

      • 【冷凍記憶】#毎週ショートショートnote

        冷凍睡眠のコースはふた通り。 ひとつは肉体ごと、もうひとつは記憶のみを冷凍保存するもの。 「お勧めは?」 「条件によって変わります。星団船にお乗りになりますか?」 「あ〜、どうしようか悩んでいます」 「ご家族や親しい方とご一緒ですか?」 「いや。ひとりです」 担当は「でしたら、冷凍記憶コースがお勧めです」と言った。 記憶のみを冷凍保存する。冷凍はコールドスリープに対しての比喩であるが、時折解凍=再生して、記憶を確認してもらえる。 「肉体ごとですと、文字通り冷凍状態になります。

        • 探偵-【君に届かない】#青ブラ文学部

          I cannot reach you.I cannot reach you.I cannot reach you.I cannot reach you… A4用紙に何度も何度も繰り返す「I cannot reach you.」 「なんだこれは?」 探偵は思わず口にした。 「これが毎日届くんです」依頼人は言う。 郵便ではない。 住所の書かれていない封筒が毎日ボックスに入っているのだという。 その依頼人は蒾花町の探偵に紹介を受けたと言ってここへきた。 蒾花町の探偵。あれはちょっ

        • 固定された記事

        そういえば…(最終更新20240126)

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        記事

          【風薫る】#シロクマ文芸部

          「風薫るの薫といえばたいていは通じる」 「羨ましい」 「あぁ」 男3人がオープンテラスで頭を突き合わせている。 「俺は年配の人には割と説明は楽なんだけど、若い人に困るんだよなぁ」 「オレも」 「井上馨の馨です。で、あぁ…ってなる」 「イノウエカオルって?」 「大昔の政治家」 「ふうん…」 「って、お前みたいなリアクションの人には、女子レスリングの伊調馨選手の馨の字です。と」 そう言いながらテーブルの上で指で馨の字を書いてみせる。 「あぁ」 「ほら?伝わるでしょ?」 ふたりがウ

          【風薫る】#シロクマ文芸部

          madam

          「めっきり葬儀が簡素になって花屋も暇になったでしょう」 いつも嫌味を言いにくるマダムに「買い叩かれるよりかはいいですよ」と答えた。 花が高いのだ。 だけど葬儀屋は初めからこの値段でこの量で、と指定されている。 薄利どころか諸経費込みではマイナスになることもある。 近々、葬儀屋と相談しなくては。と思っていた。 マダムは片眉をヒクリと上げた。 20世紀のドラマに出てきそうなマダム。 フルネームは存じ上げないが、苗字は知っている。 だけど私はマダムと心の中で呼んでいる。 マダムは店

          北極熊と虎

          『北極グマとトラは一緒に戦うことはできない』 探偵はじっとそれを見ていた。 ネオン管で描かれた文字。 意味はあるのか?渡邊医師は探偵の背中越しにそれを見て思った。 「いやいや」 渡邊は首を振る。 芸術作品の意味を知るのは作った作家だけだ。 それを良い悪いと評価する外野は愚かしい…とは、目の前の探偵の台詞だ。 渡邊もその言葉に頷いた。 「珍しく、君と意見が一致したね」 探偵が嬉しそうに目を細めたのを渡邊は思い出す。 探偵は北極グマかもしれない。 渡邊は思った。 だけど、自分はト

          北極熊と虎

          殺し屋-永久欠番のあなたへ#青ブラ文芸部

          殺した相手に思い入れはない。むしろそんなものを抱いたら殺し屋なんてやっていられない。 「でも、覚えていますよね?殺した相手を」 「そりゃそうさ。当然だろう?」その人は少し呆れたような顔をした。 「その人がいなくなっても、その人がいた大概のところには別の誰かが入り込んでは、さも『最初から自分がいました』みたいな顔をする。死んだやつのことなんて家族でもなければさっさと忘れてしまう。だから、せめて俺くらい覚えてやってもいいだろう?」 誰も悪いとは言っていない。 同じ統括者から仕事を

          殺し屋-永久欠番のあなたへ#青ブラ文芸部

          【真夜中万華鏡】#毎週ショートショートnote

          「眠れない?じゃあ、これをあげよう」 差し出されたのは万華鏡だった。 「眠れない夜に覗いてみるといい」 断ったつもりだったが、気がつくと鞄の中に入っていた。 眠れない。 わざと難解な本を読んだ。少し前なら数頁も読まずに寝落ちていた。今はつまらないと思いながらも読み進めてしまう。 諦めて電気を消して本を置く。 本を置いた手に何かが当たった。 万華鏡だった。 「真夜中万華鏡とか言ってたな?」 定かではない。 暗闇で覗いても何も見えない。そう思いながらもそのまま万華鏡を覗き込んだ。

          【真夜中万華鏡】#毎週ショートショートnote

          【放課後ランプ】#毎週ショートショートnote

          放課後ランプが灯ったら、振り向かずにまっすぐ家に帰れ。 「さもなくば…」 「さもなくば?」 津田はノートを置くと「そこまでしか書かれていない」と言った。 「ランプと言ったら相当昔だよね」澤が言う。 「うーん」津田が唸る。 「どうした?」 「このノート、日焼けしてるけどそんなに古くないんだよね」 「そうなの?」 津田はミステリー研究家なだけでなく文具オタクだった。 この学校が廃校になったのは3年前。 「『放課後、ランプが灯ったら』ではなく『放課後ランプが、』だとしたら」 「放課

          【放課後ランプ】#毎週ショートショートnote

          BLUE#色のある風景

          青色を好むことで有名な画家の展示会。 どの絵も青色で描かれる。 こんなに青色があるのかと驚くほど、さまざまな青で溢れていた。 一番大きい絵は200号というサイズのものだった。 対になっている2枚の絵は空と海だった。空の青を映しているはずの海。だけど、その青色は全く違った。それでもそこにある空を映しているのだとわかる絵だった。 空と海だけでなく、さまざまなものが青で描かれている。 彼の自画像もそのひとつだった。 少し寂しい青色の彼はじっとこちらを見ている。 口角はやや上がってい

          BLUE#色のある風景

          【子どもの日】#シロクマ文芸部

          子どもの日だというのにその村には子どもの姿はなかった。 その代わりというかのように、どの家でも鯉のぼりが風を受けてたなびいている。 「今年もよろしくお願いいたします」 村長が頭を下げている相手は、渡り祭祀のモチヅキだった。 「お任せください」 子どもたちは昨日から皆旅行という名で村から避難させている。 この辺りでは大昔からサツキ様と呼ばれるカミが端午の節句に贄を求めて現れるという。 現に、昔から幾人もの子どもが行方不明になっていた。 「サツキのカミ様の贄探しをモチヅキ殿に教え

          【子どもの日】#シロクマ文芸部

          鈍色の記憶

          最初に人を殺したのは、まだ研修期間だった。 FとUという、清掃局のエースの任務に同行していた。 このふたりが組む時は、ある程度の人死にが出るケースだとは聞いていた。 僕はシュミレーションでしか人に銃を向けた時はないし、ナイフを突き刺す相手も人そっくりのオーツマタだった。 口調も荒く、やや粗暴な印象を受けるFと穏やかで思慮深いUは一見すると全く合わないように思えたが、何も言わずとも阿吽の呼吸で状況をクリアしていく。 僕は文字通りふたりの後ろをついていくだけだった。 そして、僕ら

          鈍色の記憶

          MIDORI#色のある風景

          今まで進めてきた企画が、向こうの都合で中止になった。 「代替のものを考えていただきたい」簡単に言う。 こちらは「わかりました」と言うしかなかった。 会社に戻って、それまでの資料を、綴じていたイメージカラーのオレンジのファイルごとゴミ箱に投げ込んだ。 それを見ていた上司が「気持ちはわかるよ」と言った。 「今日一日は怒っていいから、明日には気持ちを切り替えてくれよ」と言った。 定時になると上司が「今日はもう帰ろう」と言った。 代替のイベントの選択肢は限られている。 予算はあっても

          MIDORI#色のある風景

          時計屋-【小さなオルゴール】#青ブラ文学部

          港町。漁港と貿易港を持つ町だった。 その漁港付近には古い時計屋が何軒かある。 町全体の半分近くがあるといっていい。 いずれの店主も老齢だが修理の腕は確かだ。 「絡繰時計なら水川の店に持っていくといい」 老眼鏡をずらした店主が言う。 「ミズカワ?」 「店を出て左に歩く。時計屋がいくつかあるが3軒目の店だ」 ライバルとかではなく、それぞれが得意とする分野があるらしく、修理してほしい時計・内容で、あっちの店、そっちの店、と紹介されることが常だった。 「この店から数えて3軒目ですか?

          時計屋-【小さなオルゴール】#青ブラ文学部

          【ラムネ炭酸寝顔】#毎週ショートショートnote

          『夏ラムネ 炭酸寝顔 淡く消ゆ』 「ラムネも炭酸も同じじゃん」 「炭酸は酒。ビール、酎ハイ、ハイボール」 そう答えると君は「ふーん」とストローでアイスティーを吸い上げた。 「じゃあ、寝顔は?」 「君の寝顔だ」 「バッカじゃないのぉ?」 顔を真っ赤にして、ストローでグラスの中の氷を突く。 可愛いなぁ…なんて言ってやらない。 そんなストレートな言葉は君にも僕にも似合わない。 さんざんな夏に出会ったはずの君と僕は、こうして無事にまたふたりで夏を迎えようとしている。 こんな奇跡を信

          【ラムネ炭酸寝顔】#毎週ショートショートnote