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【タンバリン湿原】#毎週ショートショートnote

タンバリン湿原に行きたいとタクトは言っていた。
タンバリン湿原は独自の生態系を持つ湿原で、空から見るとタンバリンのようだった。丸いヘッドの部分は湿原でその周りにジングルのように見える部分は空からだとわからないが実際は険しい岩山。その岩山が湿原を囲むことによって、なん人の侵入を防いでいた。
もしも湿原に足を踏み入れても、人の重さでは身体が沈んでしまう。
湿原はドローン技術が開発されるまで、何もわからない文字通りの秘境だった。
ドローンによっての調査が進み、その独自の生態系が見えてくればくるほど研究者たちは現地に出向いて調査したいと思うようになる。
幾人もの研究者たちがタンバリン湿原に挑んだ。だが誰も岩山を越えることすらできなかった。
タクトも研究者としてその目で湿原を見たいと願っていた。
しかし、彼の身体はそれを許さなかった。
今、その身体を離れた魂は、湿原を目指しているのだろうか?
見上げた空に一筋の雲が伸びていくのが見えた。



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