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そういえば…(最終更新20240126)
はじめに
この自己紹介以外、アップしている文章は全てフィクション・創作物です。
そのあたりのご理解よろしくお願い致します<(_ _)>
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自己紹介的なもの何もしてませんでした<(_ _)>
「たつきち」と申します。「たつきち」は「達吉」とも書きます。
何処かのSNSでひょっとしたらお目にかかっているかもしれません。まぁ、あちこちに出没しております。
その昔は「鉄砲玉の達」と呼ばれて
【66 ポップコーン】#100のシリーズ
理想の休日ですか?
うーん…
映画三昧ですかね?
ミステリ映画が好きなんです。
だから、新作旧作お気に入り取り混ぜて合わせて最低3本は観たいですね。
映画館に行くのもいいかもしれませんが、今ってどこも座席指定じゃないですか?隣とか前とか後ろに座った人が最悪でも席変われないのが嫌なんで、家で見ます。
配信でもいいんですが、気に入ったのは円盤買っちゃいますね。学生の頃から。
で、完全防音なんですよ。あ
【65 ゴミ】#100のシリーズ
遺品整理屋が案内したのは元廃校。
「不要と言われるモノを不要となった場所に収めておく。ちょうどいいでしょ?」
そう言ってニヤリと笑う。
体育館にはまだ未整理の物が、そして教室にはカテゴリ分けされた物たちが整然と並ぶ。
「旦那が探しているものがあるといいんですが」
誰も住むことのなくなった家を解体する前に、家の中にあったもの全てを回収する。もしくは、遺族からの依頼を受けて、不要なモノを回収する。
回
【人魚の尾鰭の先の色】#新色できました
馴染みのカフェに置いてあったオーストラリアの雑誌を眺めていた。
読んでいたとは決して言えない。
案外と紙面にある単語は自分の知っているものが多かった。
英語で読んで英語で理解できるほど英語が堪能なわけではない。
読んだ文章を頭の中で和訳しようとしてしまう。
あっているのかあっていないのか不安になる。
もういいや…と写真を眺めていた。
アメリカの色合いよりも優しく、ヨーロッパの色合いよりも明るい。
【山岳カルマ】#毎週ショートショートnote
登山仲間の葬式の後は約束などなくても皆いつもの店に集まる。
「なぜ山に登るのか?」「そこに山があるからだ」
それはあまりにも有名すぎるが、山を登る者にとってそれはまさに真理だ。
「山本は山岳カルマと呼んでいたな」
「カルマ。業ねぇ」
「業は俺たちの業なのか?それとも山の持つ業なのか?」
「どっちにもあるんじゃねぇの?」
山の恐ろしさは誰もが知っている。知っていても、知っているからこそ登るのだ。しか
【文学トリマー】#毎週ショートショートnote
出された名刺には「文学トリマー」とあった。
「え?編集さんですよね」
「そうです。この度担当させていただくことになりました」
歳の頃は30歳前後だろうと思われる、化粧っ気の少なめだが明らかに美人と呼べる担当は口元だけで微笑んだ。
「書籍化の際の、紙面の構成なども担当させていただきます」
小説も、作家が書いたものがそのまま本になあるわけではない。
担当が読んでわかりにくいところなどを指摘してもらって
特殊機関-【帰りたい場所】#青ブラ文学部
旅鼠に関する情報が入って来た。
テロ組織レミング。
テロと言っても彼ら自体には主張する主義主張はない。
あえていうなら常に戦いを求めている。戦いの匂いを嗅ぐと外へ移動する。
傭兵部隊と思われがちだが、そこの組織に属することはない。あくまでも旅鼠は旅鼠として活動する。手段を選ばずではなく、選んだ末の破壊活動。
ゆえに清掃局には「旅鼠は無条件で排除せよ」という指示が出ている。
旅鼠に属する者たちは、生
【白い靴】#シロクマ文芸部
「白い靴を履いた男、ですか?」
「えぇ。ご存知ないですか?」
先週近くであった殺人事件の捜査だという刑事とここの社長の話を背中で聞いていた。
「目撃証言によると、走り去る男は夜でも目立つ白い靴を履いていたというんです」
「はぁ…いや。記憶にないです」
「そうですか…」
そのあとも二、三の質問をして刑事たちは帰って行った。
「なんだか物騒ですね。殺人事件とか」
「うん。5年前もあったんだよね」
「え
【二億斉藤】#毎週ショートショートnote
「三億佐藤と二億斉藤?なんだこれは?」
「集めてほしい」
「ちょっと待て。日本人が今、どれだけいると思っているんだ?一億を切ろうとしているんだぞ?」
窓辺に立つ男は片眉を上げた。
「お前、三億の佐藤をどこに集めるつもりだ?」
「は?」
「情報だけでいい。確かな証拠があればいい。過去に遡って三億の佐藤と二億の斉藤」
「それに何の意味があるんだ?」
「お前が知る必要はない」男は冷たく言い放つ。
「・・
【冷凍記憶】#毎週ショートショートnote
冷凍睡眠のコースはふた通り。
ひとつは肉体ごと、もうひとつは記憶のみを冷凍保存するもの。
「お勧めは?」
「条件によって変わります。星団船にお乗りになりますか?」
「あ〜、どうしようか悩んでいます」
「ご家族や親しい方とご一緒ですか?」
「いや。ひとりです」
担当は「でしたら、冷凍記憶コースがお勧めです」と言った。
記憶のみを冷凍保存する。冷凍はコールドスリープに対しての比喩であるが、時折解凍=再
探偵-【君に届かない】#青ブラ文学部
I cannot reach you.I cannot reach you.I cannot reach you.I cannot reach you…
A4用紙に何度も何度も繰り返す「I cannot reach you.」
「なんだこれは?」
探偵は思わず口にした。
「これが毎日届くんです」依頼人は言う。
郵便ではない。
住所の書かれていない封筒が毎日ボックスに入っているのだという。
その依
【風薫る】#シロクマ文芸部
「風薫るの薫といえばたいていは通じる」
「羨ましい」
「あぁ」
男3人がオープンテラスで頭を突き合わせている。
「俺は年配の人には割と説明は楽なんだけど、若い人に困るんだよなぁ」
「オレも」
「井上馨の馨です。で、あぁ…ってなる」
「イノウエカオルって?」
「大昔の政治家」
「ふうん…」
「って、お前みたいなリアクションの人には、女子レスリングの伊調馨選手の馨の字です。と」
そう言いながらテーブル