トガシテツヤ

北海道から茨城にUターンし、とある物流倉庫でフォークリフトに乗る元ライター。主に小説や…

トガシテツヤ

北海道から茨城にUターンし、とある物流倉庫でフォークリフトに乗る元ライター。主に小説やショートショートです。文苑堂第1回54字の物語コンテスト最優秀賞&特別賞。第12回自作小説の一節コンテスト最優秀賞。note創作大賞2023最終候補。たまにピアノで西村由紀江さんの曲を弾きます。

マガジン

  • 創作大賞2023・2024応募作品

    私が書くのは1万字以内の短編が多いんですが、これからは中・長編や連作短編にも挑戦したいと思います。 「ノクターンによせて」(note創作大賞2023 最終候補作品) 「シネマのように」(第1回Solispia文学賞 最終候補作品)

  • 小説&ショートショート

    小説は主に短編です。フリー台本として、ご自由にお読みください。 (全部ではありませんが、「聴くっしょ!」にも投稿しています)

  • 毎週ショートショートnote

    たらはかに(田原にか)さんが毎週日曜日にお題を出し、そのお題に沿ったショートショートを書く企画です。

  • 140字小説&54字の物語

    140字小説&54字の物語です。

  • 日記とかエッセイとか

    エッセイって言うほど立派なものじゃないけど、気ままに書いてます。

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恋文供養人 第1話「先輩」

***  ギィと不快な音を立ててドアが開く。 「いらっしゃいませ」  相変わらずオールバックが最高にキマっているマスターが、カウンターで頭を下げた。中高生たちに「これがお辞儀だ!」と言いたくなるような、見事なお辞儀だ。 「どうも」  右手を上げて挨拶し、ジャケットをハンガーにかける。カウンターが6席、テーブル3つに椅子がそれぞれ2つずつ。やはり客の姿はない。僕がこのバーに通うようになって丸1年。他の客と居合わせたのは、たった一度きりだ。  奥から2番目の席に座った

    • 暑さで食欲がだいぶ落ちています。 さすがにしんどいわ…。 冬の美瑛と十勝岳連峰の写真をどうぞ。 あー、夏の北海道行きたい。

      • 「恋文供養人」のあとがき的なやつ

        7月23日23時59分、創作大賞2024の応募が締め切られました。 応募された皆さん、お疲れ様でした。 今回の応募総数は11万超えとのことで、めっちゃ驚いています。 (昨年は33,981作品) 私は今回、お仕事小説部門に1作だけ応募しました。 本当はあと2話分あったんですが、間に合いませんでした。完全燃焼とはいきませんでした、とりあえず無事に応募できてホッとしております。 ちなみに、昨年はお仕事小説部門と恋愛小説部門に応募しました。 あとがきを書いていたところ、福島

        • 恋文供養人 第8話(最終話)「マスター」

          【第7話はこちら】 「もうずいぶんと昔の話になります。気が遠くなるくらい、昔の」  席に座った途端、マスターは唐突に話し始めた。 「私はずっと青森に住んでましてね。二十歳の時、親友が2人いました。2人とも高校の同級生で、テツオとミヤコさん。テツオは建築会社社長の息子、ミヤコさんは貿易会社社長の娘。私はごく普通のサラリーマンの息子という、ちょっと変わった組み合わせでした」  マスターはボトル棚から1本のウィスキーの瓶を持ち、僕の目の前に置いた。 「私はバーテンダーの修

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        恋文供養人 第1話「先輩」

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        • 創作大賞2023・2024応募作品
          18本
        • 小説&ショートショート
          121本
        • 毎週ショートショートnote
          81本
        • 140字小説&54字の物語
          155本
        • 日記とかエッセイとか
          67本
        • 演奏(ピアノ)
          14本

        記事

          恋文供養人 第7話「燕」

          【第6話はこちら】  僕は席に座ると同時に、バッグから1通の手紙を取り出し、カウンターに置いた。1年前、仕事中に拾った、あの三つ折りの手紙だ。  マスターは一瞬だけ手紙に視線を落としただけで、何の反応も示さない。 「この手紙が僕のところに来た理由を知りたいんですが」  全ては、この手紙から始まった。 「理由なんてないわよ」  左から女性の声がした。一番左の席に、制服姿の女の子が座っている。高校生だろうか。 「理由なんて知ってどうするの?」 「ただ知りたいだけ。理由

          恋文供養人 第7話「燕」

          恋文供養人 第6話「沢本さん」

          【第5話はこちら】 「あと5分遅かったら、30分くらい待たされてたわね」 「ホント。ダッシュで来て正解だったな」  事務員の沢本さんと、駅前に新しくオープンしたハンバーグ屋さんに来ていた。店内は超満員で、スタッフがせわしなく行き交っている。 昨日、沢本さんに誘われた時、いい機会だと思った。僕も沢本さんと話したいことがたくさんある。 「本間さんの私服姿、初めて見たかも」 「いつも作業服だからね、お互いに」  僕も沢本さんの私服姿を初めて見た。髪型もいつもと違うし、やっぱ

          恋文供養人 第6話「沢本さん」

          恋文供養人 第5話「黒猫」

          【第4話はこちら】 「あのさぁ、ライトなやつがいいなぁ。フミコさんの時みたいなヘビーなやつはちょっと……」 「ライトとかヘビーとか、重さは関係ないと思いますが」 「いやいや、感覚の問題だよ。その……上手く言えないけどさ。フミコさんはとてもいい人だったけど、なんかもういろいろと救いようがなかったじゃない?」 「確かにあれは、私が見てきた中でもなかなか、でした」 「でしょう?」  正直、あのレベルのものが来たら、もう立ち直れないかもしれない。  水割りの中の氷をぐるぐる回して

          恋文供養人 第5話「黒猫」

          恋文供養人 第4話「供養人」

          【第3話はこちら】  例の手紙を拾った数日後。 *** 「話がなげーんだよクソが!」  高校時代の吹奏楽部の副部長、斉藤彩乃さんの結婚披露宴に呼ばれた僕は、居酒屋で怒りを爆発させていた。 「あんまり出席者のことを考えてない祝辞だったよな」 「オメーのやってる仕事内容なんぞに興味ねぇっての!? グダグダと御託並べやがって。マジ死ね!」 「声がデカいって! つーか飲み過ぎだから。酒の味なんて分からんくせに」  一緒に出席した友人が僕の頭を引っ叩く。  新郎は斉藤さん

          恋文供養人 第4話「供養人」

          恋文供養人 第3話「手紙」

          【第2話はこちら】  普通、紙は1枚、2枚と数えられる。でも、僕が勤める会社では、「枚」ではなく「トン」だ。 *** 「オーライ! オーライ! ストーップ!」  朝早くに家庭ごみの集積所やスーパー、飲食店、オフィスなどで古紙を回収したパッカー車が次々と工場の中に入ってくる。特に午前中は戦争だ。  古紙とは主に段ボール、新聞、雑誌のことを言う。持ち込まれた古紙の中からビニールやプラスチック、布、油の付いた紙や汚れがひどいものなど、リサイクルできない「禁忌品」と呼ばれる

          恋文供養人 第3話「手紙」

          恋文供養人 第2話「画家」

          【第1話はこちら】 「少しずつ物量が増えてます。体調に気を付けて、今日も1日、ご安全に!」  尾崎主任の一切無駄のない朝礼が終わり、各自現場へと散って行く。 「本間さん、ちょっと」 「はいはい?」  事務員の沢本さんに呼び止められた。その表情を見る限り、何かやらかしたっぽい。 「伝票、また日付書いてませんでしたよ」 「まさか!? ちゃんと確認したんだけどなぁ」  始業前、ちゃちゃっと書いた伝票の日付が空欄のままになっている。 「えーと、4月28日と……」 「27

          恋文供養人 第2話「画家」

          創作大賞が……(倒

          創作大賞が……(倒

          海のピ|毎週ショートショートnote

          「こんにちは。海のピ警察です。ちょっとよろしいですか?」 クーラーをつけてゴロゴロしていたら、突然警察官が来た。 「あの……何でしょうか?」 「今日が何のピかご存知ですよね?」 今年から7月15日の祝日「海のピ」は、日本国民は「海」に関する何かをしなければいけない、というフワッとした法律が制定された。こいつらは違反者を取り締まる特別警察だ。 「なぜ家にいるんですか?」 「YouTubeで海に関する動画を見てたんですよ。証拠を見せます」 部屋の中に入って来た警察官に、

          海のピ|毎週ショートショートnote

          7年以上北海道(オホーツク)に住んでいた者として、この暑さはしんどすぎる…。(´;ω;`) 8月を生きて越せる自信がない…。 それに、エアコンの温度を何℃にしたらいいのか分からん…。 22℃にすると寒いし、25℃にするとクーラーの意味がない。 (写真は2020年1月の朝撮影)

          7年以上北海道(オホーツク)に住んでいた者として、この暑さはしんどすぎる…。(´;ω;`) 8月を生きて越せる自信がない…。 それに、エアコンの温度を何℃にしたらいいのか分からん…。 22℃にすると寒いし、25℃にするとクーラーの意味がない。 (写真は2020年1月の朝撮影)

          釧路市の幣舞橋(ぬさまいばし)。 夕日の名所ですが、曇っていて夕日が撮れなかった…。 札幌の豊平橋、旭川の旭橋と並び、北海道三大名橋の1つになっています。 (2020年4月撮影) 釧路、根室、またゆっくり旅したいです。

          釧路市の幣舞橋(ぬさまいばし)。 夕日の名所ですが、曇っていて夕日が撮れなかった…。 札幌の豊平橋、旭川の旭橋と並び、北海道三大名橋の1つになっています。 (2020年4月撮影) 釧路、根室、またゆっくり旅したいです。

          暑くて暑くて…なんかもういろいろ無理…。(´;ω;`) とりあえず、知床の流氷の写真を貼っておきます。

          暑くて暑くて…なんかもういろいろ無理…。(´;ω;`) とりあえず、知床の流氷の写真を貼っておきます。

          才能|54字の物語

          才能ってのは、神様がみんなに「使えよ」って言って授けてくれたものだ。 あるかないかじゃない。 使うか使わないか。 (54字の物語) こちらもどうぞ。

          才能|54字の物語