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創作大賞2023・2024応募作品

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私が書くのは1万字以内の短編が多いんですが、これからは中・長編や連作短編にも挑戦したいと思います。 「ノクターンによせて」(note創作大賞2023 最終候補作品) 「シネマの…
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記事一覧

恋文供養人 第6話「沢本さん」

【第5話はこちら】 「あと5分遅かったら、30分くらい待たされてたわね」 「ホント。ダッシュ…

トガシテツヤ
13時間前
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恋文供養人 第5話「黒猫」

【第4話はこちら】 「あのさぁ、ライトなやつ、ないかな。フミコさんの時みたいなヘビーなや…

トガシテツヤ
18時間前
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恋文供養人 第4話「供養人」

【第3話はこちら】  例の手紙を拾った数日後。 *** 「話がなげーんだよクソが!」  …

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恋文供養人 第3話「手紙」

【第2話はこちら】  普通、紙は1枚、2枚と数えられる。でも、僕が勤める会社では、「枚」で…

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恋文供養人 第2話「画家」

【第1話はこちら】 「少しずつ物量が増えてます。体調に気を付けて、今日も1日、ご安全に!」…

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恋文供養人 第1話「先輩」

***  ギィと不快な音を立ててドアが開く。 「いらっしゃいませ」  相変わらずオールバ…

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ノクターンによせて 第5話(最終話)|連載小説

【第4話はこちら】  帰宅すると、夫が機械の図面や電気配線図などを見ながらウンウンと唸っていた。口に出しては言わないが、どうやらまだトラブルが解決していないらしい。私は夫の隣に座り、さっき買ったチョコレートの大袋を出して、「食べる?」と言った。 「なんだ? どうした?」  夫は目をまん丸くしてチョコレートに手を伸ばす。 「生徒さん達にあげようと思って。お菓子で釣る作戦」 「何だそりゃ。今の子供達がチョコレートに釣られるとは思えないけどなぁ」  夫は苦笑いしながら、再

ノクターンによせて 第4話|連載小説

【第3話はこちら】  コミュニティセンターの施設利用状況には「多目的室 13:00~16:00 ピア…

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ノクターンによせて 第3話|連載小説

【第2話はこちら】  インターネットの検索欄に「深町実」と入力する。 『4歳からクラシック…

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ノクターンによせて 第2話|連載小説

【第1話はこちら】  コミュニティセンターから出て、皆川さんからのメールを確認する。 『…

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ノクターンによせて 第1話|連載小説

【創作大賞2023 最終候補作】 *** 「次のレッスンは来週ね」 「ありがとうございました。…

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シネマのように 第5話(最終話)|連載小説

【第4話はこちら】 「妙子?」  メディカルセンターの売店の前で、後ろから声をかけられた…

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シネマのように 第4話|連載小説

【第3話はこちら】  目を開けると、予想通り夜明け前だった。のそのそとベッドから起き上が…

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シネマのように 第3話|連載小説

【第2話はこちら】  カーテンの隙間から、うっすらと月明かりが差し込んでいる。空が漆黒から群青へと変わっているのを見ると、おそらく朝の5時前だろう。使い方に困る時間帯だ。二度寝すると遅刻するし、特に何かをやろうという気にもならない。40という年齢に近づくにつれ、眠りが浅くなってきた。ここ最近、熟睡というものから見放されている。  窓から外を見ると、車通りも人通りもないのに、信号機がしっかり仕事をしていた。歩行者信号の青が点滅し、赤になるのをしばらく眺める。  4年前、広めの