小説と文鳥

週に一度小説を投稿します。 たまに読書日記。文鳥日記。

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最近の記事

【短編小説】嘘つきはアネモネを抱いて眠る

 きょう、ぼくはおかあさんと「花のおやしき」というところにいきました。  花のおやしきは、ぼくのすむまちにある、お花ばたけにかこまれたおやしきのことです。  おやしきにはむかし、えらいがくしゃさんがすんでいたけど、いまはだれもすんでいないそうです。  おやしきにいってみると、ぼくのしらない花ばかりでした。 「おかあさん、ここに咲いているお花はなんていうの?」 「このお花はね、アネモネっていうのよ」 『嘘つきはアネモネを抱いて眠る』  あるところに、一人の嘘つきがいました

    • 7月になりました。 もふられすぎて7になる文鳥です。 https://x.com/shousetsubuncho/status/1807536682662846961?s=46&t=TdN-FtPR_BxA0Z9kXvI8og

      • 【エッセイ】文鳥はPUI PUI モルカーの夢を見るか?

         文鳥を二羽飼っています。  シルバー文鳥とシナモン文鳥。  シルバーはチンゲン菜が好きで、シナモンはニンジンが好き。  シルバーはクールで、シナモンは感情豊か。  仲良くはないです。よくケンカしています。でも一緒にいます。  たまに離れて過ごしていますが、気づけばまた一緒にいます。  さて、我が家の文鳥には、素敵な遊び相手がいます。 PUI PUI モルカーのぬいぐるみです。 文鳥を迎える前に、私の趣味で買ったものです。 文鳥に丁度良いサイズ感で、乗ったり、つついたり

        • 【短編小説】月まで歩いていく

          うさぎははねる。どこまでも。 いぬはかける。どこまでも。 さかなはおよぐ。どこまでも。 とりはとんでいく。どこまでも。 はなびらはまう。どこまでも。 いきものたちは、 どこまでも遠くに行くことができる。 『わたしは?』  ——私は、今日も歩いていく。 『月まで歩いていく』 #ガマンデイナイトフィーバー🕺  などという、ハッシュタグを投稿につけなければやっていられないぐらいの気分だ。  先週の月曜日、私は取引先からのヒアリング結果をまとめて、マーケティング部の上司(そ

        【短編小説】嘘つきはアネモネを抱いて眠る

          【短編小説】雨、雨、雨、エコー

           ——全部、雨のせいだ。  電車が延着していたのも、焦って出勤したから服は濡れて体が冷えたのも、スニーカーに水がしみ込んで靴下が毎秒ごとに腐っていくのも、低気圧で頭はかち割れそうなのも、 「やだあぁ」 「いきたいぃ」  私が勤める保育園の遠足が中止となり、園児たちが泣き叫んで地獄のうるささなのも、全部、雨のせいだ。 「雨宮先生、どうにかしてくださいよ」 「はあ」  無理だ。だって小学生の通知表の通信欄にはいつも、 「もうすこし おともだちと たのしくすごそうね」

          【短編小説】雨、雨、雨、エコー