デレラの読書録:村上春樹『一人称単数』
表題作含む8作の短編集。
「小説における描写は、単に描写なのであって、テーマや教訓などは無く、ましてや象徴的な意味はない」ということを、村上春樹はこの作品のなかで少なくとも二度書いている(p.97,p.209)。
しかし、本当にそうだろうか。
小説家という存在は(特に村上春樹は)、そんな単純な生き物では無いとわたしは信じている(実際は分からない、わたしがそう信じているだけだ)。
そう書かれているからと言って、必ずしもそうでは無い。
むしろ、そうで無いからこそ、敢えて